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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第八章 頼りになる『相棒』

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第29話 いつもの『月島屋』

 誠達は本部を出てなじみの焼鳥屋『月島屋』にたどり着いた。考えてみれば誠がこの『特殊な部隊』に配属になってからは他の店で飲んだことが無かった。


 そもそもその『もんじゃ焼き製造マシン』体質から友達のほとんどいない誠には外で飲む経験など成人してからもあまりなかった。


「いらっしゃい……今日は島田君達は?」


 月島屋を仕切る女将の家村春子が四人をいつものように温かい笑顔で迎えた。いつもなら島田とサラ、それにパーラが一緒に来ることが多いので彼女がそう言うのもとうぜんだった。


「ええまあ、サラとパーラ、それに島田を筆頭とした技術部の連中はカラオケだってさ。ここにもカラオケの機械はあるってのによう。焼鳥以外の物も食べたいとか抜かすんだ。どうせチェーンのカラオケ屋の料理の味なんて知れてるのに。まったく味音痴の連中には困ったもんだぜ」


 先頭を肩で風を切って歩くかなめはそのまま春子の横を通り抜けてカウンターの端に座った。


 誠はその隣に座り、その隣にカウラとアメリアが腰を掛ける。それはいつものフォーメーションでまるでそれが決められているように見事なものだった。


「じゃあ、とりあえずビールにする?」


 わざとかなめにそう尋ねるアメリアだったが、かなめの答えは決まっていた。


「アタシはキープしてる『レモンハート』で」


 春子の問いにかなめはあっさりと自分が専用にキープしてある地球から取り寄せたラム酒の名前を答えた。


 すぐさまかなめの愛飲するラム酒の瓶とグラスが出てくるあたりが、いかに彼女がこの店に通いなれているか誠にもよくわかった。


「でも……何度も聞くようだけど焼鳥にラムって合うの?」


 ビールの中瓶を受け取りながらアメリアはかなめを見つめつつそう言った。


「アタシが何を飲もうがアタシの勝手だろ?ラムにあわないつまみはねえ!それより、神前。テメエは何を頼むんだ?」


 ご機嫌なかなめはそう言いながら誠の顔を覗き込んだ。


「え!えーと……とりあえずビール。それと食べるのは串盛り合わせで良いですよね?」


 無遠慮に近づけられたかなめの上機嫌の眼差しに、誠は思わず頬を赤らめながらそう叫んだ。


「少し少ないんじゃないの?まだ夏は続くんだから……ちゃんとたくさん食べたほうがいいわよ。シシトウとポテトフライ。それにカシラとボンジリ!」


 アメリアが誠とカウラの間に流れた少しいい雰囲気をぶち壊すべく、そう叫びつつビールの注がれたグラスを誠に渡した。


「はい、運転手のベルガーさんは烏龍茶ね」


 春子はそう言って大きめのグラスに注がれた烏龍茶をカウラに差し出した。


「わかってます」


 『スカイラインGTR』を運転してきたカウラはそれを受け取ると静かに一すすりしてそのグラスをカウンターに置いた。


「それじゃあ、串焼き盛り合わせ!」


 春子は待っていたかのようにいつも頼む串焼き盛り合わせをカウンターに並べた。誠達が来るときには必ず頼むメニューなのでまるで用意していたようにも誠には見えた。


「待ってたんですか?」


「いつものことよ。なんと言ったってうち一番のお得意様だもの」


 誠の問いに春子は笑顔で答えた。




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