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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第四十五章 午後の引っ越し作業の続き

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第189話 山のようないかがわしい漫画

「かなめちゃんさすが手が早いわね。その作者、アタシの知り合いだから……かなめちゃんの好きなレズSMモノの好みのシチュエーションを教えてくれれば、新作を書いてくれるかもよ」 


 アメリアの生暖かい目での提案にかなめは一瞬歓喜の表情を浮かべた後、口をへの字に曲げて怒りの表情にそれを変えて壁を蹴飛ばした。


「そんなことしたら壊れちゃうわよ!でも、リアル『女王様』とお話ししたいって言ってたから……東都戦争の時非合法のSMクラブに身分を隠して務めてたそうじゃないの。けちけちせずに教えてあげなさいよ、その体験」 


 気が利くひよこがすばやくかなめの蹴った壁を確かめる。不機嫌なかなめを見てアメリアはすっかりご満悦だった。


「じゃあとりあえずこの部屋に置きましょう」 


 そう言うとアメリアは図書館の手前の空き部屋の鍵を開ける。


「なんでオメエがここの鍵持ってんだよ。いつの間に島田から借り出したんだ?」 


 確かにアメリアが『図書館』の隣の空き部屋の鍵も開けることができるマスターキーを持っているのは謎だった。


「いえね、以前サラが島田君にスペアーキーもらったのをコピーしたのよ」 


 そう言うとアメリアは扉を開く。誠は不機嫌そうなかなめからダンボールを取り上げると、そのまま部屋に運び込んだ。次々とダンボールが積み上げられ、あっという間に部屋の半分が埋め尽くされていく。


「ずいぶんな量ですね」 


 誠が見上げるような高さに積み上げられたアメリアの欲望のコレクションにただひたすら絶句していた。


「お待たせしました!ってアメリアさん。こんなにあるって聞いてないですよ」


 アメリアに頼まれてサラとお使いに行ってきた島田が、いつもは閉められたままのはずの空き部屋が開いているのが気になったのか、部屋に入ってきてそう言った。


「島田君。これでもかなり減らした方なんですよ」 


 島田にパーラが耳打ちする。


「今日はこれでおしまいなわけね。棚の設置は後日」 


 アメリアはそう言うと寮の住人のコレクションに手を伸ばす。


「こんなの、この部屋に置ききれませんよ!そうだ!壁をぶち抜いて『図書館』を拡張すると言うのはどうでしょう?」


 最初は困った顔をしていた島田だが、ひらめきが走ると図書館側の壁をさすりつつそう言った。


「島田君良いアイディアね。それでいきましょう。じゃあ、私は一休みしながらこの本を読むから」


 そう言ってアメリアは厚めの成人向け同人誌の総集編を読み始めた。


「好きだねえ、オメエは」 


 手にした漫画の表紙の少女の過激な股を広げた格好を見て呆れたようにかなめが呟いた。 


「何?いけないの?」


 開き直るアメリアにかなめはあきれ果てたと言うような表情を浮かべる。


「オメエの趣味だ、あれこれ言うつもりはねえよ」 


 開き直るアメリアにそう言うとかなめはタバコを取り出して部屋を出て行く。一つだけ、先ほどまでかなめが抱えていたダンボールから縄で縛られた少女の絵がのぞいている。


「やっぱりこう言う趣味なのね、かなめちゃんは」 


 そう言うとアメリアはその漫画を取り上げた。


「なんですか?それは」 


 ひよこの声が裏返る。


「百合で女王様もの。まさにかなめちゃんにぴったりじゃないの」 


 ぱらぱらとアメリアはページをめくる。


「だが、それを買ったのは貴様だろ?」 


 カウラはそう言うと、そのページを覗き込んでいる誠とフェデロを一瞥した後、部屋から出て行った。


「ごめんね、ちょっとトイレに!」


 そう言うとアメリアは冊子を置いてカウラに続いて部屋を出て行った。


「すまんが西、これでコーヒーでも買ってきてくれ」 


 食堂についたカウラが西に一万円札を渡す。


「全部アメリアの荷物だからあの娘が出すのが良いんだけど、そうするとまた余計な仕事を押し付けられるかもしれないからね」 


 パーラがそう言って島田に疲れた笑みを浮かべた。



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