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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第三十三章 崩壊する『男子下士官寮』と言う看板

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第140話 政治を捨てた皇帝

「あそこの皇帝は即位後しばらくは親政をしていたが、現在はすべてを選挙で選ばれた宰相アンリ・ブルゴーニュに一任しているからな。皇帝の重石が取れた今。その一部が暴走することは十分考えられるわな。ようやく平和が訪れたとはいえ、30年近く戦争状態が続いた遼南だ。地方間の格差や宗教問題で、いつ火が入ってもおかしいことはねえな」 


 バックミラー越しに見えるかなめの口元は笑っていた。


「西園寺は相変わらず趣味が悪いな。まるで火がついて欲しいみたいな顔をしているぞ」 


 そう言うとカウラは中央分離帯のある国道に車を乗り入れる。


「ちょうど退屈していたところだ。多少スリルがあった方が人生楽しめるもんだぜ?」 


「スリルで済めばね」 


 そう言うとアメリアは狭い後部座席で足を伸ばそうとした。


「テメエ!半分超えて足出すな!」 


 後部座席でかなめが怒鳴り声をあげる。


「ごめんなさい。私、足が長いから」 


 アメリアはそう言って短気なかなめをからかっていた。


「そう言う足は切っとくか?その方がこの車の狭い後部座席にはぴったりくる」 


「冗談よ!冗談!」 


 後部座席でどたばたとじゃれあう二人を見て、誠は宵闇に沈む豊川の街を見ていた。東都のベッドタウンである豊川。ここでの暮らしも一月を越えていた。職場のぶっ飛んだ面々だけでなく、寮の近くに広がる商店街にも知り合いが出来てそれなりに楽しく過ごしている。


 遼州人、地球人。元をたどればどちらかにつながるであろう街の人々の顔を思い出して、今日、彼を襲った傲慢な法術師の言葉に許しがたい怒りの感情が生まれてきた。


 誠は遼州人であるが、地球人との違いを感じたことなど無かった。先月の自分の法術の発現が大々的にすべてのメディアを席巻した事件から、目には見えないが二つの人類に溝が出来ていたのかもしれない。


 そんなことを考えながら流れていく豊川の町の景色を眺めていた。



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