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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第三十三章 崩壊する『男子下士官寮』と言う看板

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第135話 ヤンキー寮長への挨拶

「たぶん島田がまだいるだろうから挨拶して行くか?菰田は……たぶん白石さんに絞られてるからそれどころじゃないだろうな」 


 帰り支度をするとかなめはそう言って誠達をハンガーへ誘った。


「そうだな。一応、奴が寮長だからな」 


 心配する誠を置いてかなめ達は歩き出す。頭を抱えながら誠はその後に続いた。


 管理部ではまだパートリーダーの白石さんの菰田への説教が続いていた。飛び火を恐れて皆で静かに階段を降りてハンガーに向かった。


 話題の人、島田准尉は当番の整備員達を並ばせて説教をしているところだった。


「おう、島田。サラはどうしたんだ。どうせオメエのバイクでサラのアパートまで送るんだろ」 


 かなめの突然の声に島田は驚いたように振り向いた。


「止めてくださいよ、西園寺さん。俺は隊では『硬派』で売ってるんですよ。いきなりサラの話はしないでくださいよ。俺にも面子ってもんがあるんですから」 


 そう言って頭を掻く。整列されていた島田の部下達の顔にうっすらと笑みが浮かんでいるのが見える。島田は苦々しげに彼らに向き直った。もうすでに島田には威厳のかけらも無い。


「とりあえず報告は常に手短にな!それじゃあ解散!」 


 部隊で留守番をしていた整備員達は敬礼しながら、一階奥にある宿直室に走っていく。


「サラ達なら帰りましたよ、パーラさんの四駆に同乗して。もしかすると月島屋で飲んでるかも知れませんが……ああ、あそこは今日は休みでしたね。さすがの小夏もアンだけはしゃぎまわったら疲れるだろうし、お世話になった女将さんも早く寝かしてあげたいし」 


 そう言って足元の荷物を取ろうとした島田にアメリアが走り寄って手を握り締めた。


「島田君ね。良いニュースがあるのよ」 


 アメリアの良いニュースが島田にとって良いニュースであったことは、誠が知る限りほとんど無い。いつものように面倒を押し付けられると思った島田が苦い顔をしながらアメリアを見つめている。


「ああ、アタシ等オメエのところに世話になることになったから」 


「よろしく頼む」 


 島田はまずかなめの顔を見た。何度と無くだまされたことがあるのだろう。島田は表情を変えない。次に島田はカウラの顔を見た。カウラは必要なことしか言わないことは島田も知っている。そこで表情が変わり、目を輝かせて島田を見ているアメリアを見た。


「それって寮に来るってことですか?」 


「そうに決まってるじゃない!」 


 アメリアの叫びを聞くと島田はもう一度かなめを見る。その視線がきつくなっているのを感じてすぐにカウラに目を移す。


「よろしく……頼む」 


 照れながらカウラが頭を下げる。


「ちょっと、どういうことですか……」


 島田はしばらく呆然と立ち尽くした後、そのままものすごい形相で誠に向って歩み寄った。


「おい、神前。説明しろ」 


「それは……その……なんと言うか……」


 とても考えが及ばない事態に喜べばいいのか悲しめばいいのかわからず慌てている島田に誠はどういう言葉をかけるべきか迷っていた。 



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