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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第二十五章 海に来たからには泳ぐ

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第103話 子供レベルの喧嘩

「やっぱりアタシのクルーザー回せばよかったかなあ」 


「西園寺さん、船も持ってるんですか?」 


 そんな誠の言葉に、珍しく裏も無くうれしそうな顔でかなめが向き直る。


「まあな、それほどたいしたことはねえけどさ」 


 沖を行く釣り船を見ながら自信たっぷりにかなめが言った。


「かなめちゃん!神前君!」 


 いつの間にか隣にアメリアの姿があった。 


「なに?アタシがいるとおかしいの?」 


 もう食事は終わったのだろう。アメリアの後ろからはカウラをはじめ『特殊な部隊』の隊員達が次々とやってくるのが見える。


「そうだな、テメエがいるとろくなことにならねえ」


 かなめがそう言うと急にアメリアがしなを作る。 


「怖いわ!誠ちゃん。このゴリラ女が!」 


 そのままアメリアは誠に抱きついてくる。


「アメリア、やっぱお前死ねよ」 


 逃げる誠に抱きつこうとするアメリアをかなめが片腕で払いのける。 


「貴様等、本当に楽しそうだな」 


 付いてきたカウラの姿が見えた。その表情はかなめの態度に呆れたような感じに見える。


「そうよ、楽しいわよ。かなめちゃんをからかうのは」


「なんだと!このアマ!」


 アメリアを殴ろうとするかなめの右手が空を切った。 


「カウラいたのかパチンコは行かないのか?去年は……」


「今日は我慢する。クバルカ中佐にそのことを告げ口されると後々面倒なことになることは去年学んだ」


 なんだかよくわからないことを言うカウラに誠はただ愛想笑いを浮かべるしかなかった。 


 かなめは砂球を作るとアメリアに投げつけた。


「誠君、見て。かなめったらアタシの顔を砂に投げつけたりするのよ」  


「仲良くしましょうよ、ね?お願いしますから」 


 誠が割って入った。さすがにこれ以上暴れられたらたまらない。そして周りを見ると他に誰も知った顔はいなかった。


「島田先輩達はどうしたんですか?」


 二人しかいない状況を不思議に思って誠はアメリアに尋ねた。 


「島田君達はお片づけしてくれるって。それと春子さんと小夏ちゃんとひよこちゃんは岩場のほうで遊んでくるって言ってたわ」 


 アメリアはそう言いながら荷物の中にあったビーチボールに空気を入れ始めた。


「小夏め、やっぱりあいつは餓鬼だなあ。まあひよこは海を見ながらポエムでも書くんだろ、アイツらしいや」 


 かなめは笑いながら二人のしそうなことを想像していた。


「かなめちゃん。中学生と張り合ってるってあなたも餓鬼なんじゃないの?」 


 砂で団子を作ろうとしながらアメリアが呟いた。


「んだと!」 


 かなめはアメリアを見上げて伸び上がる。いつでもこぶしを打ち込めるように力をこめた肩の動きが誠の目に入る。


「落ち着いてくださいよ、二人とも!」 


 誠の言葉でかなめとアメリアはお互い少し呼吸を整えるようにして両手を下げた。



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