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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』  作者: 橋本 直
第二十四章 楽しい昼食

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102/201

第102話 のんびりしたひと時

「さて、腹は膨らんだし、海でも見ながらのんびりするか」 


 そう言うとかなめはまたパラソルの下で横になった。誠はその横に座った。海からの風は心地よく頬を通り過ぎていく。かなめの横顔。サングラス越しだが、満足げに海を見つめていた。


「じろじろ見るなよ、恥ずかしい」 


 らしくも無い言葉をつぶやいてかなめはうつむく。誠は仕方なく目をそらすと目の前の浜辺ではしゃぐ別のグループの姿を見ていた。


「平和だねえ」


 かなめののんびりとした言葉に誠は思わず苦笑いを浮かべていた。


「そう言えば西園寺さん。こんなことしてていいんですかね」 


 照れるのをごまかすために引き出した誠の話題がそれだった。


「なんだよ。突然」 


 めんどくさそうにかなめが起き上がる。額に乗せていたサングラスをかけ、眉間にしわを寄せて誠を見つめる。


「何でもないです!」


 誠の頭をよぎったのは『近藤事件』についての事だった。


 あの事件で表ざたになった法術の存在について今のところは何一つ解決していない。その中心人物である自分が仕事もせずに海でのんびりしていていいのだろうか?そんなご門が誠の頭の中を渦巻いた。


 しかし、今の状況で仕事の話をかなめにしたところでかなめの機嫌を損ねるだけだ。それは経験上分かってきていたので誠は自然と黙り込んだ。


「そうか、なんでもないか……ならいい」


 そう言うと先ほどはくわえているだけだったタバコに火をつけた。誠はもうかなめを注意する気にはなれなかった。


 タバコの煙を吐き出すと、サングラス越しに沖を行く貨物船を見ながらかなめがつぶやいた。


「船が見えるな……どこに行くんだろうな」 


 そう言うとかなめは再び沖を行く船を見ていた。ランが言うには『跳べる』古代遼州人達は船を造らなかったらしい。遼大陸の南部とここ東和共和国のある東和列島以外の地域は地球人がこの星にやってくるまで無人のまま放置されていたと言う。


 『修羅の国』と呼ばれるベルルカン大陸もまた無人の砂漠が広がるだけの地域で遼州人はその存在すら知らなかったと言う。


 誠はあの船がベルルカンに向っているような気がしていた。


「でも……こんな時もベルルカン大陸では内戦をしているんですね」


「デモもストもあるか!それにいずれベルルカンの内戦も止むはずだ!とりあえず休むぞ」


 そう言ってかなめは砂浜に横になった。誠も面倒なことはごめんなので静かに押し黙って海を眺めていた。




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