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ep1.タコ

 ひどい目覚めだ。

 変な夢でも見たせいか?


 とてつもない違和感を持って目覚めた俺、泉誠司16歳はまず状況を整理した


 ひどい寝心地だ、寝返りして床まで行ったか?まあ俺寝相悪いもんな。

 って、ここは本当に床なのか?まるで岩の上で寝てる気分だ。

 視界が揺らぐ


 まるで海の中だな。

 


 視界が定まらない目を擦っていると、突然タコが現れた


 ッッ!なんだこれ!


 あまりの衝撃にその場を離れた


 なんだ!?突然タコが出てきたぞ!?


 急に視界に現れたタコを探すべくあたりを見渡す。


 あれ?どこにもいない。

 それよりここ、部屋じゃないな、

 ...トンネル?いや、洞窟か、

 なんで俺洞窟いんの。部屋で寝たはずだよな?

 ってか俺、背縮んだ?

 

 急な展開に頭をフル回転させている間はタコのことなんて忘れていた。


 何、俺拉致られた?親に売られたんか?いや、流石にそんなことしないか、俺の親は。

 あ、出口あるじゃん、早く出よう、、、、、、ん?


 出口の向こう側は妙に青かった

 

 なんだあれ、外が青いぞ。

 とにかく確認してみるか。

 

 .....

 出口まで来てわかったことが一つあった。


 地面が、ない。

 

 え、これ出れなくね?


 冷や汗が出た

 不安に押し殺されそうになりながらも、必死に頭を巡らせた。


 どうすれば帰れる。

 救助を待つか?

 いや、今は夏休みのど真ん中だし、親二人は昨日の夜海外旅行に行ったばかりだ。俺の不在に気づく人はいない。

 カイトは?いや、カイトもそういえば昨日旅行に行ってくるって言ってたな、

 そもそもの話、ここに救助はくるのか?

 地面は少なくともここからは見えない、、、え、前も見えない、、、?右も、左も、、、

 空は!?、、、見えない、、、、。一面真っ青だ。


 まるで海の中にいるみたいだ...


 

 すぐに思考を取り消した。

 もしそれが正しかったとしたら絶対に帰れないし、救助なんて来ない。

 海面が見えないほど深いのだ。

 そもそもここが海ならなんで俺は息ができている。


 未だ自分が寝ぼけているのだと信じて目を擦ろうとした。


 タコが現れた。

 衝撃でその場を離れた。


 っっ!!


 ...毎度毎度急に現れてきやがって、今はそれどころじゃないのに。

 次出てきたらシメておいしく食ってやる。


 ...はあ。


 ため息をつき、天を仰いだのち、俯いた。


 うわあっ!!!


 視界に映ったのは人間の下半身ではなく、タコの足。


 な、なんだこれ!?

 お、俺がっ、、、タコ!?


 自分の足をまじまじと見つめた

 

 嘘だと願う心を嘲笑うかのように、その感覚は嫌ほどハッキリとしていた

 なぜ今まで気づかなかったのだろうか。

 いや、本当はわかっていたのかもしれないが、頭がソレを自分だと認識することを拒んでいただけなのかもしれない。

 否定する余力は残っていなかったが、

 認めることは尚更できなかった

 夢だと信じ、覚めるのをひたすら待った ーーーーーーーーーーーーーー。

 


 ...

 悪夢が覚めることはなかった

 ひどくショックを受けたせいか、しばらくは動けなかった

 瞼はないので目は閉じれない

 飢えと孤独に苛まれ、あまりの苦しさに泣き出したと思えば、涙は流れず。自分はタコになったんだということを突き付けられた気がして、心の中でまた泣いた







 ...何日が経ったのだろうか。

 数日を経て、俺は自分がタコになったことを段々と受け止め始めていた。

 悩んでいても何も始まらないと思い、まずは身の回りの状況を整理することにした。


 まずは現在俺が寝泊まりしてるこの洞窟についてだ。

 俺はここを拠点Aと名付けた。

 拠点Aの高さはせいぜい俺の頭2個分、横幅は俺が足を伸ばせばちょうど壁に届くほどの横長設計だ。

 奥行きは俺が足を伸ばした時の5倍ほどある。なかなかに広い。

 中には何もないし、出口は1つしかない。少し寂しい。


 

 次に俺自身だ。

 認めたくはないが、俺は何らかの形で人間からタコになった。

 ここにきた経緯は不明。

 タコなので勿論8本足。感覚は足。腕はないが、そこまで違和感は感じない。

 吸盤は意識したら吸い付く感じだ。まだ慣れていないので、要練習だな。

 口は見えないが、感覚はあるので咀嚼はできそう。

 基本瞬きはできない。目が乾くんじゃないかって?ここは海だからなのか、それともタコだからなのか、全く乾かない。最初は目を閉じれないことに違和感を感じたが、今は慣れた。

 呼吸は、、、一応している。タコなんだから鰓呼吸なんだろうけど、どうやってしてるかの感覚はない。



 そしてここは異世界だ。

 それが分かったのは数時間前、、、







 〜数時間前〜







 俺、本当にタコなんだな。

 ...ってか人間からタコって何だよ。

 もろにファンタジーじゃねえか。

 ってかファンタジーならもっと他にあるだろ、なんでよりによって人間ですらない「タコ」なんだよ。

 あーなんか考えてたらイライラしてきた、

 もしここが異世界ならチートスキルの1つや2つでも備わってないかね、

 魔法とかあんのかな、

 ってか異世界といったらステータスだよな、

 そういうのあんのかな、

 ...試してみるか。


 「ステータスオープン」


 、、、、、、、、、、、、

 何やってるんだろ、俺。




[...認識しました、ステータスを表示します。]


----------------------------------------------------------------------

個体名:??? 種族名:ミズダコ

状態 :海王の呪い(小)

称号:転生者


Lv:1 (1/10)

HP:10 (10/10)

MP:5 (5/5)

攻撃力:3↓(down)

防御力:2↓(down)

素早さ:2↓(down) 


ランク:G


固有スキル:

 [潜在能力Lv.MAX]


スキル:

 [吸い付くLv.5/10]、[締め付けるLv.1/10]、[噛むLv.1/10]、[墨を吐くLv.1/10] 、[色覚Lv.1/1]


耐性:

 [寒冷耐性Lv.4/10]、[飢餓耐性Lv.3/10]、[窒息耐性Lv.1/10]、[物理攻撃耐性Lv.1/10]、 [魔法攻撃耐性Lv.1/10]


加護:

 なし

----------------------------------------------------------------------


 うわっ!!

 なんだこれ?突然出てきたぞ!

 個体名?種族名?なんか色々書いてあるぞ。


 ...これが俗に言う、「ステータス」というものなのか?

 .........まあ、これでここは異世界だということは確定したな。

 ってか転生って確か一回死んで、死んで生まれ変わることじゃなかったっけ、?

 ってことは俺あっちで死んでるの!!?


 ...まあ落ち着け、死んだと決まったわけじゃない、まずはステータスの確認だな。



 種族名、ミズダコ、、、まあ分かってましたよ。

 まあ種族はいいとして、この海王の呪い(小)ってなんだ、、、?

 

[詳細を表示します]


 うおっ!すごいな!これ。

 自動で表示されんのか。


[海王の呪い(小)]

説明:現在の海王が自分の領域内にいる全ての生物にかけている呪い。

   その呪いは海王に近づくほど強力になり、最大で一部ステータスが半減する。

   海王の近くには生物は寄りつかない。

   領域を出れば呪いは解かれるが、領域内にいる場合効果を防ぐことは不可能。

   海王が死亡すれば呪いは消滅する。

効果:[攻撃力低下(小)]、[防御力低下(小)]、[素早さ低下(小)]


 ......領域全体に呪いぶちまける海王やばすぎでしょ。絶対関わらないようにしよう。



 その後俺は気になるステータスの詳細をどんどん表示していった。




[転生者]

説明:はるか彼方からやってきた異世界の者。

   一度死んで、この世界に転生した。

効果:なし


 やっぱり俺向こうで死んどるやないかい!

 嘘でしょ?まだ家族に別れの言葉言ってないのに、、、



 〜数分後〜


 まあいい、過ぎたことだし、切り替えて次行こう。




[潜在能力Lv.1/1(MAX)]

説明:生まれ持って特別なものが得ることのできる特別なスキル。

   他者とは格別な潜在能力の差が生まれる。

   種族の限界を超えることも可能。

   主に進化先に影響する。

効果:進化先の選択肢増加、獲得経験値up、進化上限最大化etc...


 なにこれすごい。

 これぞチートって感じするな!

 一気にテンション上がったわ!

 まあこういうの1つくらいなきゃミズダコとかやってられんわ。




[締め付けるLv.1/10]

説明:相手に巻き付き、締め付ける。

   窒息させることができるかも?


 なんで疑問系なんだ。こっちが聞きたいよ。




[噛む]

説明:相手に噛みつく。


[墨を吐く]

説明:緊急退避時に有効。

   黒い墨を吐き、目眩しをする。



 何この落差。

 ...使えそうな攻撃スキルは一切ないな。

 もし敵がきたら生き残れるのか?これ。

 まあ敵がと鉢合わせないよう祈るしかないか。



 

 ある程度気になるスキルを覗き終わった後に他のスキルにも簡単に目を通しておく。



 ミズダコは寒冷耐性が高いんだな。

 それはそうか、冷たい海の中で生活してるんだし。

 ...ってか魔法攻撃耐性あるじゃん、

 つまりこの世界には魔法があるのか!?

 夢に見た剣と魔法のファンタジー世界!って、タコだから剣は握れないのか。

 まあいい、その分魔法で楽しんでやるぜ!


 さあ最後はパラメータのチェックだ。

 気になる箇所は、、、



[Lv]

説明:EXP上限を突破するとレベルが上がる。

   レベルが上がるとパラメータが増加する。

   レベル上限を突破すると進化する。

現在:Lv.1/10 現在EXP:0/20



[HP]

説明:0になったら死亡する。

   レベルアップすることによって上限が増える。

   進化でHPは全回復する。



[MP]

説明:レベルアップすることによって上限が増える。

   主にスキル使用時に消費され、不足している場合、スキルの使用は不可能。

   1分で1ポイント回復する。進化でMPは全回復する。




 固有スキルの潜在能力は強そうだが、パラメータは低いっぽいな。

 防御力2でHP10って、ちょっとしたことですぐ死にそうだ。

 今後の課題はまずレベルを上げてパラメータを上げることだな。有用な攻撃スキルも欲しい。

 スキルの入手方法が分からないうちは、理想の攻撃スキルの入手はまだまだ遠いか。


 それと個体名って名前のことか?自力で登録できんのかな、これ。


[個体名登録を行いますか?]


 お、できるっぽいな、じゃあ"するか"。


[認識しました]


 ん?


[個体名???の名称をスルカに変更...完了しました]


 え?


 ちょ、おい、嘘でしょ?

 ステータスオープン。


[ステータスを表示します]



----------------------------------------------------------------------

個体名:スルカ 種族名:ミズダコ

状態 :海王の呪い(小)

称号:転生者

 ・

 ・

 ・

----------------------------------------------------------------------


 ...マジで「スルカ」になってるじゃん、、、

 これ変えれないの?


[個体名の変更は不可能です]


 まじかあ。







 〜現在〜







 ...という感じだ。

 認めたくないが、やはり俺は向こうで死んでここ異世界に転生してきたらしい。

 原因不明。死因不明。

 家族に会いたい気持ちはあるしまだ悔いは残っているが、

 一度死んだ身だ、向こうに戻ろうとは思わない。

 とにかく俺は、”タコ”として新しい人生の幕を開けたってわけだ。

 泉誠司なんて人間はもういない。

 このハードモードのセカンド”タコ”ライフ、堪能しまくってやるぜ!

 


 改めて、俺の名前は”スルカ”だ。

 よろしくな!

こんにちは。

異世界転生ものは前から書いてみたいなと思っていて、今回始めて小説を書きました!

初めての執筆なので、温かい目で見てもらえると嬉しいです!

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