殺戮
楽しくなり、ダルマを量産する。
今まではいじめらる側だった少年は水を得た魚のように、腕を振り続ける。
木々が揺れ、悲鳴が風に解けていく。
集中しすぎて、盗賊が最後の一人になるまで全く気が付かなかった。辺りは血の池と化しており、とても美しかった。
「おい。お前。 俺の部下たちを殺すのは楽しかったか?」
こいつは何故こんな事を聞いてくるのだ……あぁ、俺は笑っているのか。
だけど、なんでお前も笑っているんだ?
「こいつらは俺が育てて殺す予定だったのに。あーあ、勿体ねえなぁ? あと3年すればマトモ二戦えるようになったのになぁ」
バスターソードを肩に乗せ、残念そうにしている盗賊のボスがいる。
助けようと思った少女は、木の影で震えている。
「……ヒィッ」
俺が近くに行くと化け物を見たかの様な反応をする。
ゾクゾクッ
……あぁああぁ。堪らない! 恐怖に歪む表情。小刻みに震えるからだ。それでも生きようとして這いずりながらも距離を取ろうとするその足掻き。
君は俺のコレクションだ!
ザシュッ
「やっぱりお前はイカれてるな。」
盗賊のボスはニヤニヤしながら俺の近くへ寄ってくる。俺は最高の戦利品を手に持つ。
俺はアイテム作成能力で保全液入の注射器とドライアイスをつくる。鮮度が命である。
どうやらボスは襲ってくる気配は無く、ただただ俺を眺めている。殺しても良かったが、何故か気が乗らない。
ある程度処理を終えたら真空パックに入れ、空気を抜く。それをドライアイス入りの容器へと入れれば完成だ。
…………はぁ 。……美しい。
ホルマリンは標本としては優秀だが、着色したり、もろくなってしまう為、あまり好まない。
また、今回は血液と保全液の完全な入れ替えは行っていないため、持って数日だろう。
「コレクション第1号の君はアイリスと名付けよう」
そう言い僕はアイテムボックスに彼女を保存する。
アイテムボックスは入れたものの時間を止めてくれるようだ。1つ残念な点があるとしたら鑑賞の際は劣化することだ。
「君はどうする?逃げる?それとも僕と戦う?」
「……逃がしてくれそうにはないようだが? 俺から1つ提案がある。 俺の特殊魔法を用いればアイテムボックスに格納しなくても死体の腐敗を止めることが出来る」
「……見返りは?」
「初物が欲しい!」
つまりコイツは処女愛好家の変態ってことだ。……気持ち悪い。
「俺の獲物以外なら、好きにすればいい。 ひとまずアイリスの処理をしてみろ」
〇 ● 〇 ● 〇
原理は分からないが死体の処理は完璧だった。生きていると言われても疑わないほどだった。
僕はニヤリと笑う。
「ダニエル、これからも手を貸してくれ」
「おう、トウマもいい女がいたら教えてくれ」
僕は今日、盗賊のリーダーだった男ダニエルと正式に手を組んだ。
〇 ● 〇 ● 〇
あれから約3ヶ月ほどダニエルと共に帝国の都市を求めて旅をしている。その間に3つの村、1つの街を通った。
村に関しては2つ程地図から消してしまった。俺の好みはいなかったが、ダニエルはご満悦だ。
どうやらこいつは、年齢が12を超えて処女であれば誰でもいいとのことだった。
かなり大きな街では貴族と言う偉いやつがいるらしい。夜中に貴族が住んでいる建物に入り1番偉そうな奴を殺した。集まってくる奴も殺した。
今回は様々な毒物を作り実験をした。毒では無いが硫酸を飲ませたやつは面白かった。
この家にはどうやら娘が1人居るようで、俺は早速、愛に行く。
父親と同じでピンク色の髪の少女が部屋の隅で怯えていた。俺は持っていた父親と思しき首を転がす。
「……お父さん。……どうして!! なぜこんな酷いことを!」
泣きながら僕に訴えてきた。あぁ。素晴らしい! 絶望を超えて怒りへと転換したその感情。怯えていながらもこちらへ向ける殺意。反抗心。
……よし、コレクションにしよう。
宿でダニエルに処理をしてもらう。
どうやら空間魔法の応用のようなものとの事だ。鑑定を使用してもよく分からなかった。
鮮やかな手際で処理をし終える。
翌日、街を後にする。ダニエルが言うには帝都まであと半月もあれば着くとのことだ。
道中出会った奴らをひたすら襲ったおかげで、金や物資は特段問題ない。
身分証も予め何個か用意した。準備は整った。
もっとテンポよく人を殺したいですね