魔王誕生
今回の主人公はサイコパスです!この後の展開が気になりますね。
――――――ここは……どこ?
そこは僕が思い描いていた楽園そのものだった。中央には赤色の水が流れている噴水あり、様々な拷問器具が置いてある。
ここで遊んだらどれだけ楽しいのだろうか。
すると真後ろからコツコツと足音が聞こえた。
何もない空間からソレは口が裂けるくらいの笑顔で現れた。
美智だ。腸をぶら下げてゆっくりと歩いている。
目が離せないほど神秘的で、気が狂いそうになるほど愛おしい。
だけど僕は知っている。美智はこんな風に笑えない。
「お前は誰だ! なんで美智の姿なんだよ!!」
『貴方にはそう見えるのですね。この場所はあなたが想像している楽園。この姿はあなたが思い描いている最も尊い姿に見えるのです』
意味が分からない。いったい誰なんだよ。
『私はこの宇宙を管理している管理人です。残念ですが貴方は死にました。ですが、貴方には別の世界で魔王として生まれ変わって頂こうと思っております』
「……魔王? ……わかった。」
『あら、随分と聞き分けがいいのですね。何か質問などありますか?』
正直魔王でも何でもいい。またあの感覚を味わうことが出来るのなら。
「俺は……なんで死んだんだ?」
『貴方は美智さんの妹さんと母親に殺害されました』
「そうか……。なんでバレたんだ……。 あぁあの時か」
美智の親が来た時に興奮していて失言をしたんだったか。
『ほかに質問などありますか?』
「どんな世界なんだ」
『少し前に出来たばかりの世界で【クオン】です。様々な種族やモンスターがいますので、いろいろと楽しめると思いますよ?』
クオン……永遠か。悪くない。
今までに出来なかったことをやることが出来る。つまり、やりたい放題ということだ。
「……それは……いいな。」
脳がアドレナリンを過剰に分泌する。考えただけで体が震えてくる。
『転生時のご要望などあれば反映させますが?』
緩む顔を引き締めなおす。
「なら、高い身体能力と道具を直ぐに出せるようにしてくれ」
どんな奴も生け捕りにする身体能力、すぐに取り出せる道具があればどこでも楽しめる。あぁ、考えただけで頭が溶けてしまう。
『それでは何点かスキルを授けます。他にご希望はありますか?』
「便利そうな機能を適当に追加してくれ。」
『承知いたしました……では準備が整いました。転送します』
体が光に包まれていく。味わったことのない感覚が全身を刺激する。
次第にそれは激痛になる。
「ああああああぁぁっぁあぁっぁぁっぁぁああああぁあああ」
● 〇 ● 〇 ● 〇 ● 〇 ●
目を覚まし、ゆっくりと体を起こす。
そこは祭壇の上だった。
周りに人の姿はなく、見たことのない植物が生い茂っているだけだ。
ここが新しい僕の楽園【クオン】か。
―――――――― この日、魔王が誕生した。
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