彼女の腸
今回は転生前のエピローグになります。
前作で誤字脱字報告していただいた方々ありがとうございます。
出だしは少し重めですがよければ行ってください。
家の倉庫から出てきた少年は血の付いた工具をもっていた。
木々は天からの雫で喜びに満ちて、悲鳴は雨音と絡まった。いい音色だった。
―――――― 僕は人を殺した
少年が物心つく前の出来事だ。最初は近所にいたカエルだった。次第にスズメやネズミ。物心がついた時には猫や犬。次第に回数を重ねていくうちに抑えられない衝動が湧き上がる。
人間ってどんな感じなんだろう?
少年は幼い頃から虐められていた。小動物に手をかけるようになったのもその頃だ。
僕は周りが怖くて、憎くい。だけど同じくらいに羨ましかった。いつも一人だったから。
年齢が上がっていくうちに虐めがエスカレートしていった。始めは悪口や無視、モノを盗まれることは日常茶飯事だ。中学に上がった時に暴力を受けるようになった。何度も何度もなんどもなんどもなんども。僕が壊れるには十分だった。
なんで僕がこんな目に合わなくちゃいけないんだ? なんで? 僕が何をしたって言うんだ……。
家に帰るとストレスを吐き捨てるように、飼育ケースのハムスターを乱暴に取り出した。
いつだって処理はうまく出来ていた。今まで一度もバレなかった。
にやける顔を引き締める。
「今日はどんな風にしようかな」
僕は掴んでいるハムスターを見て言った。何度やってもゾクゾクする。
庭に出て濡れている工具台に固定する。今日は雨か。雨は好きだ。虚しい感情も世界と共有できる感じがする。感傷に浸っている間に雨は激しさを増していく。
僕は長く楽しむために、少しづつ皮を剝ごうとしたとき。
「透 磨……君?」
幼馴染の美智がいた。
バレた……?マズイマズイマズイマズイまずい。
チャイムは雨で気づかなかったんだ。庭は玄関から死角になっているから油断してた。
向かいに住んでいて、幼い頃はよく一緒に遊んだ。
美智は次第に透磨が不気味になっていき、距離を置くようになってしまったが。
食べ物が入っているタッパーを持ってその場に立ちすくんでいた。美智のお母さんが作った物だ。
偶にお裾分けをしに来る。その優しい行動が裏目に出た。
僕は考えるより先に手に持っていた果物ナイフを彼女の腹部に刺した。
悲鳴は、雨音と絡まって神秘的なハーモニーを奏でている。
ずっと好きだった美智の腸の感覚、それを味わいながら僕はそっと頬を撫でる。
動かなくなったそれを、緩みそうな顔を引き締め工具台の横にある倉庫に運ぶ。
鼻を通り抜ける匂いが堪らなく愛おしい。
飛び散った血液が、雨水と共に流れていく。
興奮が収まらなかった。美智の感覚がまだ残っている。僕は一生忘れることは無いだろう。
その日の夜に美智のお母さんが家に来た。
「美智来てない?夕方に今日作った肉じゃがをタッパーに詰めて持たせたのだけど、いつまで経っても戻ってこないの」
「いえ、今日は来ていません。アレ肉じゃがだったんですね! 食べたかったです。連絡はしたんですか?」
興奮がまだ冷めていなく、余計なことを口走る。
「うん。連絡が繋がらないの。これから警察に行って相談してこようと思うの。何かあったら教えてね」
「はい。わかりました」
そういって速足に出ていった。
タガが外れた少年は後に、通っていた高校で大量虐殺を行った。
100人以上が犠牲になったこの事件は大胆な犯行だが目撃者や証拠がなく、日本に激震が走った。
家から見つかった数々の動物の死骸と、大切に保存していた少女の遺体で調査が進展した。
しかし、少年は逮捕直前に謎の死を遂げている。
「お姉ちゃん……敵は打ったからね」
少女の白く透き通る肌を雫が流れ落ちた。
プロットはやり方があまりわからないので頭にある構想に肉付けをしていきます。拙い文章ですが温かい目で見てください。
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