白髪美少女
なろうでBL書いても需要無さそう。
男同士か女同士じゃないと愛せない。
ん?何の話これ?
俺の目の前に白髪美少女がいる。
地獄でこんな天使を見るなんて夢にも見なかった。
「……ということです。…人間さん?聞いてます?」
「きゃわいい…」
「人間さんっ!」
「は!ご、ごめん聞いてなかった」
「もう!ちゃんと聞いてくださいよ!」
見とれていて何も聞いてなかった。
えっと…何を話していたんだっけ…
「わ、わかりましたよ…初めから話しますね」
「うう、すまない…」
「もう…じゃあ自己紹介から…私は 泥梨 八です」
「ないり…やおちゃん…なんて可愛い名前なんだ…ん?泥梨って仏語で奈落とか地獄って意味だよな?」
「は、はい。私は生まれも育ちも地獄です。でも大した家柄じゃないので 奈落 程度の苗字ですが…」
地獄にも家柄とかあるのか。
あまり人間と変わらない気もするが。
それにしても八ちゃんはさっき閻魔が言っていたように本当に下っ端のようだ。
「自己紹介も済んだ所で…この地獄について説明します。」
「え、待って俺の名前は…」
「人間さんは人間さんです。名前とか結構です。」
うっ…結構ドライだ。
「んんっ」
八が咳払いをして話し始める。
「此処は仏教観の地獄です。個人の宗教によって堕ちる地獄は変わります。勿論、天国も同じです。」
俺が仏教徒だからここに堕ちただけで、他の宗教の地獄もたくさんあるってことか…
「此処での1日は、人間でいう500年に相当して…」
「え???おいおいそんなの聞いてないえっちょっと待てよ500かける…」
「人間さん…そんなに私といるのが嫌ですか…?」
「嫌じゃないです!」
即答した。はい。君と一緒なら年万年でも。
「ふふっ」
笑った!??
「えっと…この地獄には 八熱地獄と八寒地獄があります。今いるここは八熱地獄にあたります。」
「あ、だから周りでなんか火がぼうぼうしてるのか。」
「そうです。八熱では熱さによる刑が多く、八寒ではその逆です。」
「じゃあ、八ちゃんも火とか操れるの?」
「し、下っ端にそんな無茶言わないでください…」
階級によってできることが違ってくるのか。
八ちゃんが火を操れたらSMプレイとかできると思ったが…
「で、ではこの八熱地獄について説明しますね…。」
下っ端ということを痛感し、心なしかちょっとへこんでいる。
「八熱地獄は、8階の階層に別れています。」
「階層?」
「罪の重さによって変わるんです。罪の軽いものから、等活地獄・黒縄地獄・衆合地獄・叫喚地獄・大叫地獄・焦熱地獄・大焦熱地獄・阿鼻地獄…です。」
うわあ…なんとも禍々しい名前だ。
「今いるここは、等活地獄です。」
「え!?一番軽い罪?」
見渡す限りの人々は喚き苦しんでいる。
これで一番軽いとかどうなってるんだ…。
「ち、ちなみに私の担当場所はこの等活地獄でした…。」
「やっぱり一番下なん…」
八が顔を真っ赤にさせてプルプルしている。
…必死かわいい。
「で、でも今は人間さん専用ですからね!!」
俺専用が等活地獄の職員よりも良いものなのかという疑問はさておき、「俺専用」というのは良い響きだ。
「こ、この等活地獄は地獄の地下一階です。階級が上がるにつれて、地下に下がっていきます。移動の際はそこのエレベーターを使ってくださいね。」
そこは近代的なんだ…。
「八寒地獄についてはめんど…後々説明しますね。」
今本音が漏れたような気がする。
「じゃあこの等活地獄?を見てみたいんだけど…。」
折角だから苦しむ人々を見てみよう。
人が苦しんでるのが好きとかそういう趣味は無いが、未知の地獄を少し見てみたいと思った。
「本当ですか!?も、もちろんです!じゃあ行きましょう!」
八が嬉々として俺の手を引いて走り出す。
自分の元持ち場に興味を持ってもらえたのが嬉しかったのだろう。
ああ…これがデートか…。
幸せだ…。
「人間さんが地獄に興味を持ってくれて嬉しいです!人間さんなら特別に、お試し地獄もできますよ!」
ふわふわと舞う髪から芳醇な香りが漂う。
そして何よりも、八の手が俺の腕を掴んでいる…。
白く細いその指が心地よい。
「嬉しいです!人間さんが馬糞食べてくれるなんて!」
ああ…君が喜ぶなら馬糞もた……ん?今なんつった?
「ふふふっ職員でさえも嫌がるのに!人間さん、物好きですね!馬糞風呂にも入りますよね?!」
「え、流石に糞風呂はちょっと…ま、まって八ちゃん!!!!ねえ!?聞いてる???八ちゃん!!!!」
八ちゃんは意外と背高く人間で言うと165くらいはあります。
次話から人間さんと八ちゃんの地獄デートの始まりだよ☆
またどこかで。