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「話は、尽きた」
僕は、確かに台東から、そう聞いて、そんな彼を見て言った。
「…本当に?」
「…今日、俺と話していることが、お前にとって残酷な結果で終わるとしても、まだ、続きを聞きたいか?」
僕は、少し考えて彼に言った。
「『呼吸をするな!』と誰かに言われて、
ワケわかんないと思うよね?
で、その人に、そう言われて、呼吸を止めるのは、尚更、ワケが分からない、って思わない?」
「ああ」
「5人組のバンドがあり、ヴォーカルが作詞をして歌っている。
楽曲は、ヴォーカル以外の四人が作っている。
その楽曲は、歌入れが難しい。
君は、その意味が分かる?」
「…まあな」
「で、ヴォーカルを除いた四人は、いつも出せる力を出し切って楽曲を作る。
それにおいて、歌詞は、もちろん重要だ。
そんな製作過程において、出来上がった楽曲を、そのバンドは、ライブにおいて、やはり出せる力を出しきり演奏する。
ライブの時、ヴォーカル以外の四人は、ヴォーカルに対してこう思ってプレイしていた。
『この場で、うまく歌えるもんなら、歌ってみろ!!』とね」
「…最後が、よく分からなかった」
「二人組の、お笑い芸人が、共に、『自分達が面白いのは、仲がワルいから』と述べていた」
「……」
「君の、さっきの話だよ。
誰かが、以前の自分と今の自分を比べた時、どちらがいいか?は誰にも定かに決められない。
本人ですら、いや、本人だったら、なおのことかも。」
「おまえ…」
「かつてね、スポーツカーでスーツに身を包み、出社していた男がいた。
彼は好意を抱いた女性達とデートをして、彼女達に紳士に接していた。
そんな人が実際にいて、君は、その人を『地獄に落ちてしまえ!』と思う?」
「…そこまでではないが、俺が聞くに、俺にとっては『オモシロイ』話では、ないかな…」
「君が、そう言えば、僕にとって、世の中は、『オモシロクナイ』ことだらけさ。
ねぇ、
また、会おうよ。
『オモシロクナイ』ないことだらけの、世の中で、僕らは、『オモシロイ』ことを見つけ出して、また会おう!」
そう言った僕に、彼は、
それ、オモシロイな…♪と言わんばかりに笑った。




