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21. 騎士様といえば是非あのお方にも来てほしい

遅くなりましたが投稿いたしました~


「お姫様と騎士ねえ。物語でもお姫様と騎士は恋をするものだし。そういう関わり方もいいんじゃないかしら、オスカー?」


 そう言いながら樹の陰から現れたのはサシャだった。


「サシャ、おはよう。遅刻だね」


アレックスがそう言うとサシャは手をひらひらさせながら笑っていた。

「つるんでサボってる人に言われたくないわあ」


さっき教室でサシャがいなかったのは、のんびり登校してたからみたい。


「おはよう、サシャ。これは秘密会議。内緒にしてね」

私が笑うとサシャも笑った。


「よかったあ。笑顔を久しぶりに見たわ。さすがのアリスちゃんも参ってるなあって思ってたから~」


「心配してくれてありがとう」

私がお礼を言うと、背の高いサシャが頭をぽんぽん撫でてくれた。


「オスカーに教えてやった方がいいかしら?女のあしらい方」

サシャの妖艶な視線がオスカーをとらえる。


「……何?なんか背中がぞわぞわすんだけど」

オスカーが鳥肌を立ててあとずさりしている。


「えーやだあ~なんかえっち!」と言いながら、サシャがオスカーに近づいて言う。


「この騒ぎを収める方法は、正攻法だけじゃないでしょ?」


サシャがそう言うと、アレックスがオスカーに耳打ちしていた。


「はあ?なんで、俺があのおしゃべり金髪女と!?」

オスカーが赤い顔で怒鳴っていた。


「それはゴニョゴニョ……」

サシャがオスカーを捕まえて何やら話し込み始めたけど、オスカーが「げー」とは「うえー」とか言ってたので、多分楽しくない内容なんだろう。


アレックスが私の横で「まあ、ちょっとサシャの方法で様子みようか」と言っている。


なんだか、オスカーが大変な事になりそうだけど、任せてみようかなと思っていた。多分、私が面と向かってもどうこうなる問題じゃなさそうだから。

ロアンヌ嬢とルイーズ嬢は無関係。今回の私への地味な嫌がらせ行為は、エヴルー侯爵家としては多分取るに足らない事で、本家はもっと政局的なところで動こうとしている。



―――リュカは「味方は多い方がいい」って言ってたけど、私にはもうたくさん味方がいたよ。


……でも、と寂しくなる。

こうして私を心配してくれる友人たちは、来年には敵になるのだ。


(本当に敵になるのかな。もしかしてこのまま仲良くしてたらシナリオも変えられるんじゃないかしら?)


 そう思って俯いていると、サシャが笑いかけてきた。

「暗い顔しないで、アリスちゃん。オスカーへの手ほどきはまっかせて~」


(そうだね。とりあえず、ひとつひとつ問題を解決していかなくては)



 授業に途中から入るもの他の生徒の邪魔だろうというサシャの主張により、私たちは丸々一限目はサボることにした。

庭園では寒いからと喫茶室(サロン・ド・テ)に行く。

サシャとオスカーはずっと話し込んでるから、私はアレックスと二人掛けのテーブル席についた。


「僕もアリス姫の騎士になってもいいかな?これでも正騎士だから」

ありがたいけど、アレックスはアレックスでモテモテだと思うので、また敵を作りたくはなかったから断った。


 ただ、騎士様と言えば私は是非あのお方にも来てほしいと思っていた。

 「あのお方」……そうエリアスである。

私は内心めちゃくちゃ緊張しながら、たいした話題ではないですよ、という口調で聞いてみた。


「そういえば、アレックスはエリアス・アヴェーヌという方をご存知?」


「エリアス?知ってるけど、どうして?」


「ちょっと舞踏会の時にお世話になってて……」


「同じ年だし、騎士団の皆も彼には一目置いてるよ」


私はきらーんと目が輝いたと思う。身を乗り出したので、アレックスが一瞬たじろいだ。

「何故?どんなふうに?!聞かせて!!!」


「え、ああ、剣の腕前が一級だから。剣筋が綺麗なんだよ。無駄がなくて」


「そうよねえええ~~~~」

あのマルシェでの剣さばきを思い出して、私はニヤニヤしていた。


「まだ発展途上だけど、基礎が出来てるから将来が楽しみだ、って父上もおっしゃっていた」


「さすがわかってらっしゃる……」

私は剣の事など、何もわかってはいないのだが。


「舞踏会で会ったの?」

アレックスに問われたので、私は、具合が悪くなった時に、フランドル伯爵の護衛として来ていたエリアスに会ったことを話した。


「ああ、フランドル伯爵の親戚らしいね。地方に住んでいた彼ら家族を、フランドル伯爵が王都に呼んだらしいよ。跡継ぎにでもするつもりなのかな。でも養子にしたわけでもないし、学園にも来ていないしね。どうなんだろう。本人は騎士団員として淡々と任務をこなしてるけどね」


「えっと……アレックスから見てエリアスってどんな人……?」


私は彼のことをほとんど知らない。それこそ不審に思われて当然だが、前世の知識だけで今勝手に恋してるようなものだから。勿論、マルシェで会って、直接話をして、彼が真面目で正義感の強い人だということはわかってるのだけれど。


「……つかみどころがない、かな。あまり人と関わらないようにしてると思う。僕が12歳で、彼は14歳で入団してるけど、同じ年だし、仲良くなりたくて遠乗りやお茶会にも招待してみたんだけど、いつも断られる。この前も、もうすぐうちの領地で冬の狩りがあるから誘ってみたけど、あっさり断られた。社交が嫌いなのかもしれないね」


私もこの前、お茶会の招待は断られた。でもカーラによれば、「着ていく服もない」と言ったそうだから、服を仕立てたいと申し出てある。返事はまだ来ていない。その時、一限目の終わりの鐘が鳴ったので、私たちは話を切り上げて教室に戻った。


 オスカーの顔色が若干悪い気がしたが、アフターケアはアレックスに任せた。

 私はエリアスへもう一通、手紙を書くことにした。



次は、【公爵令嬢の書簡2】です。いつもいつも、のんびり更新にも関わらずお読みくださってありがとうございます。金曜更新予定です。よろしくお願いします~。

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