表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ《絶望少年》

 ――つまらない。


 通勤中なのかスーツ姿で歩きスマホをしながら足早に歩く人達、これから店開きを始める老夫婦。登校時に見るいつもの景色だ。煩わしい。


 ――つまらない。


 朝のHR前の教室ではいつものように喧騒に包まれていた。朝だというのに放課後カラオケに行こうと話し出す男子、昨日撮ったプリクラで盛り上がる女子。五月蝿い。


 ――つまらない。


 授業中。いつも授業も受けずに昨日夜遅くまで遊んだ疲れを癒やすため睡眠に勤しむ生徒。それを注意する先生。鬱陶しい。


 ――つまらない。


 放課後、家に帰ると叔父がいる。どうせまたパチンコで負けて不機嫌なのだろう。暴力を振るう。お前みたいな欠陥品、引き取るんじゃなかったと。それを見る叔母もまた腫れ物を見るような視線を注ぐ。何も喋らず気味が悪い。こんな子だとは思わなかった。と。


 つまらない。つまらない。つまらない。


 部屋に戻りベッドに座る。掌の上には明らかに適量とは思えない夥しい量の睡眠薬があった。もういい。こんな人生、諦めよう。


 こうして全てに絶望した少年は人間として最初から持っている権利である生を放棄した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ