サイキック達の戦い
1 警告サイン
蝉がうるさく鳴く猛暑の夏。とある電車の駅に一人の青年が携帯をいじりながらホームに立っていた。タンクトップ姿でリュックサックを背負い、左腕にはカラフルなリストバンドを付けている。全体的に体が細く、腕や脚が引き締まった細マッチョ体系の青年である。西野悠賀。とある大学に通う青年で今は1年である。学部は物理学である。
青年は電車で30分ほどの大学最寄駅でいつも決まった時間に到着する。いつも通りだ。時間に余裕があるため途中でコンビニで炭酸飲料を購入し、乾いた喉にジュースを流し入れる。炭酸の刺激とジュースの独特な味わい、そして冷えたジュースが体を潤す。悠賀は炭酸飲料を購入したばかりでもう半分も飲み干してしまった。大学までまだまだ時間がある。大学まで日陰のあたる場所もないため、猛暑が鬱陶しい中、ただひたすら道を歩いていく。
悠賀『あぢぃぃ。今年は特にあぢぃぃぃ。このまま世界が地球温暖化によって滅ぶのだろうかっていうくらいあぢぃぃぃぃ』
そうだるそうに口遊む。コンビニから大学まではおよそ歩いて10分ほどで着く距離だが、そこまでいくのに途中で交差点があるのだがそこが何台もの車が走るため排気ガスが充満する。その排気ガスがさらに暑さを増すのである。さらにそこは信号が赤なってから青に変わる時間があまりにも長いため待っていられないのだ。しかしそこを通らないと学校に行けないため交差点まで歩き出す。
さっき飲んだ冷えた炭酸飲料をまた流し込む。そしてなくなった。それでも多少体が涼しくなった気がする。
交差点に来た。歩行者の信号が赤である。最悪な気分になった。
悠賀『まーた学校の売店でジュース買おう。いや、今度はアイスにしよう』
悠賀はこんな猛暑なんだし、多少冷えたものを続けて摂取しても大丈夫だろうと考えまた学校の売店でアイスを買うことを決めた。そしてやっと青信号に変わって歩道を渡る。
学校に行く際は必ず通る公園がある。親子が朝早くから遊んでいた。そしてその次に通るのがドラッグストア。朝早くから駐車場が満車である。そして次に通るのが牛丼屋である。いつもと変わらない風景。いつも通りの日常であった。悠賀が通う大学に来て半年経つが何も変わらない。変わらなくていい。悠賀はこの日常が好きだった。いつも平和である日常に不満などなかった。だからずっこのままがいい。こんな時間が永遠に続いて欲しいと願っている。
すると、悠賀は空が異様に暗いように見えたため空を見上げる。さっきまでいい天気だった空が急変し暗くなっていった。雨が降るのか?そう思えるくらいの暗さになった。
悠賀『あれ?え?なんだよ。この天気』
空一面が雲がかかったわけではない。むしろ雲が少ないのだ。ではなぜこんなにも暗くなっていくのか?よく見ると青い空が紫色のように変色している。それは夜に近いような空模様であった。
悠賀『何が起きて…』
そして、異変が急激に増していく。
空から大量に何かが降ってくる。よく見るとそれは先の方に丸い何かがあり炎を身にまとい落ちていく。それをよく見る悠賀。
悠賀『え?い、隕石!』
悠賀が見たのは隕石であった。しかも大量に落ちくる。そして隕石の一つが落ちた。その付近が爆音とともに巨大な爆発が見えた。
しかもその直後になんとも言えない強さの揺れを感じる。その揺れとともに近くの建物が崩壊する。
悠賀『や、やべー。逃げなきゃ!』
一斉にいた近くの人たちも逃げる中悠賀もその中に紛れ込み逃げ出す。
隕石が降り続ける。いきなりの出来事で頭がパニックになる中遠くへ逃げる住民の人たち。だが、隕石だけではなく今度は地面が突然爆発した。ものすごい爆炎が耳をつんざくくらいの音をたて地面から出てくる。しかもその爆破により突風で飛ばされていく人たちもいる。
悠賀『どうなってんだ!今日、俺死ぬのかよ。まじでどうなってんだよ!』
そして必至に逃げる悠賀。
空がどんどん色合いが悪くなっていく。そして空から今度は謎の渦が現れる。それはどんどん大きくなっていき、空一面をあっという間に覆い尽くす。そしてその渦からさっきまでとは全然大きさが違う巨大隕石が降ってくる。しかも大量に。
そして今度は雷まで起きた。大きな稲妻が建物に落ち、次々と建物が崩壊していく。
悠賀『もう嫌だ。絶対に嫌だ。死ぬなんて!』
こんな死に方は嫌だ。いきなり世界が隕石や地震などの災害によって苦しんで死ぬなんて。もうさっきまでの平和な風景はどんどんと崩壊していく。学校付近からかなりの距離逃げた悠賀は後ろを振り返ると、巨大な隕石による影響で壊滅した街が見える。そして悠賀は周りを見ると人がいない。悠賀一人だけとなっていた。ひとりぼっちで怖くなった悠賀は恐怖で体が震える。
すると突然悠賀の付近に建っていた建物が崩れていく。
悠賀『うわーーーーー!』
建物とともに飲み込まれた悠賀は意識を失った。そして世界はどんどん謎の現象によって崩壊していった。