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異世界移住生活日誌 短編集  作者: 葉月ナツメ
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ネオスフィアの勇者~その後の一幕~

「ええとね、畑や動物達の世話を手伝ってくれるっていうリィンさんやソールさんのお言葉に甘える事にしたんだけど……。それに伴って、思いきって、畑の拡張とか、動物の数とかを増やそうと思うの」

「ああ、いいんじゃない? 人数増えたんだから、比例して、食材の収穫量も増やさないとね」

「そうですね! 賛成です!」

「また可愛い動物さん達が増えるんですね。私も賛成です!」

「畑を広げるなら、その分の土地の整備が必要ですね。お手伝いします」

「それなら、私も手伝うよ! 何でも言って? クレハちゃん」

「俺も同じく。力仕事なら任せて貰っていいよ」

「力仕事か。なら、俺も役に立つな。手伝うぞクレハ」

「ありがとうございます! ……でも、えっと。問題が、ひとつあって」

「問題?」

「……ああ、そうだね。あるね。クレハちゃんの所有の土地、もう余ってないからね」

「えっ?」

「そうなんです。だから、土地を買おうと思うんです! でも、それにはお金がたくさんかかると思うんです。だからまずは、購入資金を確保したいんです! そこで、皆さんに協力をお願いしたいんです! これに、参加して貰えませんか!?」


そう言って私がテーブルの上に置いたのは、1枚のチラシ。

そこには大きく、"求む強者! 魔物に占拠された国を解放せよ!"と書かれていた。


「ああ……昔滅んだ国だな。近隣諸国が協力して魔物を掃討し、土地を均等に分けようという事になったと父上が言っていた。俺にも、気が向いたら参加しろと話があった」

「……"途中、見つけた財宝は好きにして良い"ってありますね?」

「ほう。それは、人を集める餌だな。強欲な王だったらしいから、山ほど溜め込んでたろう」

「へぇ、なるほど。それ見つけて売り払えば、結構な額になるね。参加の謝礼も出るみたいだし……資金稼ぎには丁度いいってわけだね、クレハちゃん?」

「はい! 皆強いし、いけると思うんです! 特にフェザ様、リィンさん、ソールさん! 期待してます!」

「ふ、そう言われては、応えなくてはならないな。わかった、任せておけ」

「魔物の掃討ですね! あ、じゃあアレク様にも招集かけないと!」

「よし、それじゃひとつ、頑張りますか」

「そういう事なら、セイルにも声をかけようかな。うまくいけば、セイルを餌にミュラさんも釣れるかもしれないし」

「あ、なら私はライル君に!」

「宝探しも重要ですね。頑張りましょう、クレハ様」

「留守は任せて、クレハちゃん。私とコタ師匠でしっかり守るから!」

「はい! それじゃあよろしくお願いします、皆さん!」


こうして私達は、土地購入資金稼ぎの為に、魔物が巣くう国へと旅立った。

フェザ様のおかげで王族だけが使えるという瞬間移動陣を利用させて貰えた為、移動にかかる時間が大幅に短縮できたのは、有り難かった。


★  ☆  ★  ☆  ★


チラシの効果か、呼びかけにはそれはそれはたくさんの人達が集まった。

その中で、私達は、王都があった場所で魔物の掃討を行う事になった。

これは、運がいい。

王城跡へ向かえば、高値がつく宝がいくつも見つかるかもしれない。


「さてクレハ。魔物の相手は俺達がするから、お前達は宝探しに専念しろ」

「えっ?」


掃討開始の宣言がなされてすぐ、フェザ様から告げられた言葉に、私は目を丸くした。


「そんな、そんなの駄目ですよ! これは魔物の掃討の為の集まりなんですよ? それを放って宝探しに専念だなんて!」

「いや、それがいいと思うよクレハちゃん? 周りにいた連中の事、気づかなかった? 連中の大半はきっと宝が目当てで、魔物は二の次だよ。だから真面目に魔物を相手になんかしてたら、まず宝は手に入らないと思う」

「えっ……!?」

「クレハちゃんの目的は土地購入の為の資金調達なんだから、宝も手に入れないとでしょう? だから魔物は私達、クレハちゃん達は宝探し、っていうふうに役割を分担しようよ? ね?」

「う……わ、わかりました。でもっ、遭遇した魔物はちゃんと退治しますから!」

「ああ、よろしく頼む」

「なら、目指すは王城だね。ならとりあえず僕達はクレハちゃん達がいち早く王城に行く為のサポートをしようか」

「そうだな。向かう途中で現れる魔物の相手を引き受けよう」

「他の連中に遅れを取ったら意味がないものね。宝は早い者勝ちなんだし」

「あ、そうですね。お願いします!」

「うん、了解」


こうして、フェザ様のグループとフレンさんのグループにサポートを受けて、私達は王城へと向かった。


★  ☆  ★  ☆  ★


「クレハ様、あちらの瓦礫の下に埋まっています!」

「クレハ様、あの池の中に沈んでます!」

「クレハ様、そこの草むらに転がってます!」

「クレハ様、この床の下に隠し階段があって、地下に宝があります!」

「クレハ様、魔物が来ました、退治します!」

「同じく!」

「あ、ありがとう……」


王城に着いた私達の宝探しは、とてもうまくいった。

というのは、お城に着いた途端、私の精霊達が現れ、宝のある場所に誘導してくれるという状況になったからだ。

光が届く場所、風が吹き抜ける場所、水の中、土壁の中と、それぞれが感知できる場所にあるそれらを見つける事は、精霊達には容易い。

力が及ぶ場所がなく、宝の在処を感知できないフエン君とライカ君は、率先して魔物退治にその力を振るってくれた。

おかげで、土地購入資金は、難なく入手できた。

皆のおかげだ。

この日は私にとって、仲間や友人の有り難さを、改めて噛み締めた日になった。

如何でしたでしょうか?

土地の開墾での騒動も考えたのですが、敢えてその一歩手前の騒動に視点を当ててみました。

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