第29話 これが勝利の味――期末テスト、決着ゥゥーーーッ!!(この勉強の海から自由になる……スタディ・フリーってかやかましいわ☆)
本日は、いつものエロ研究部の部屋……ではなく。
学園から近い《純喫茶・小夜子》に、エロ研究部の四人が集まっていた――その目的とは、次のようなものである。
「期末テスト――決着ゥゥーーーッ!! 皆、お疲れ様~~~☆」
「「ウェーーーーイッ!」ですわー!」
そう、一学期の期末テスト、その全教科が終わったのだ。ルナの音頭に、カヲリと、そして花子も追従し、乾杯と共にジュースを飲み干す。
さて、騒がしすぎるのではといつもなら危惧するところだが、今日のところはそれほど気にしなくても良いのだと、すみれが物思う。
(いつもなら、他のお客さんに迷惑をかけないように、ってルナさん達も気を遣いますけど……今日は何せ、他のお客さんも学園生の人達ばかりですからね。学園の貸し切りみたいになっちゃってますが、まあ花子さんも他の学生さんにこのお店を勧めてるみたいですし、不思議でもないかな。……まあむしろ、客層としては……)
『オホホ期末テストお疲れ様でしたわ。今日はパーッとストレス発散しますわ』
『オホホお紅茶が喉に沁みますわ。なかなかのお味でしてよオホホ』
『ホーエンハイム様のオススメですもの、当然ですわオホホ。ここぞとばかりにヨイショすることこそ、お嬢様の嗜み。ヨイショチャンス、容赦せんですわオホホ』
(……変なお嬢様ばっかですね、うちの学園……相対的に言葉遣い乱れ気味のハナッ花子さんの方が、人情味というか……もういっそ人間味あるなぁ)
うんうん、とすみれが頷いていると、店長たる小夜子が微笑みながら現れる。
「――お待たせ致しました。こちら皆様でつまみやすいようにテリーヌ・ド・パテ。鶏肉と夏野菜に、トマトゼリー風に、数種のベリーに、と……数種類ほど前菜としてお持ちしましたので、どうぞお召し上がりください♪」
言う通り、テーブルに置かれたのは正方形の一口サイズに切り分けられた、色とりどりのテリーヌ。
更に飲み物の追加も配膳しにきてくれたようだが――またスポンサーの娘たる花子に、小夜子が奇行(少しはオブラートに包め)を繰り広げてしまうのでは、とすみれが思わず心配していると。
「……ふふっ、安心してすみれちゃん♪ こう見えて店長なのよ、他のお客様の目がある以上、それくらい弁えてるわ♪」
「あっ、そ、そうですかっ(他のお客さんの目が無くても、普段から弁えて欲しいんだけどなぁ……)」
すみれの心中も知らず、パチン、とウインクして下がっていく小夜子……だが、彼女の置いて行った料理、その内の一つ。
花子の目の前にある――というかタワーの如くそびえ立つ、パテの山を前に、暫し沈黙していた花子がぼんやりと呟く。
「前が見えねェですわ」
「つかコレもう、パテと言うにはあまりにも肉塊だろ。いや美味そうだけどよ」
「……カヲリさん、良かったらお食いになってくださいませんこと?」
「マジすかアザーーーッス! アザッス、フローラーッス! ウィーッシュ!」
「ま~た都合よい時だけフローラと呼びゃーがってですわ! 餌か!? 餌が必要なんかコラですわ!?」
花子が憤懣するも、けれどカヲリは既に食を進めており、遣る方なしと相成ってしまう。
まあそれも人生ってことで(済ますな)
とにかく、期末テストの打ち上げのようなものが始まり、先ほど音頭を取ったルナがすみれの隣に座って感慨深そうに呟く。
「いや~ホント期末の前に、すみれちゃんが問題用紙を作ってくれたり、黎ちゃん先生がビシバシ……し・ご・い・て♡(あらま♡)くれたりしてなかったら、危なかったよー……そう、あのお勉強会は……この伏線だったのサ! フッフッフ☆」
「テンション高いですねルナさん……それと伏線というか、期末も近いのに赤点に補習ばかりじゃマズイなって、黎先生と相談して開催したんですよ、あのお勉強会」
「な、なにィ! クッ、まさかそんな、あー、アレがあったなんて、えと、アレ……しん、ぼう、きぼ……しんぼ~ぼっき?」
「神算鬼謀か、深謀遠慮とかかな……先生方はテスト採点で忙しくて幸いでしたね。黎先生がいたら、またお勉強会でしたよ、きっと。その前に、卑猥な発言を怒られるかな……」
「? ……ヒワイ? え、ナニがナニが?」
「なんでもないです。なンでモなイでス。ナンデモナイデス」
「すっすみれちゃん!? 何か急にロボット感が出てきたよ!? どったの一体、ダイジョブ!?」
「ダイジョーブデスヨ~」
「ヤバっぽくなーい!? でもロボすみれちゃんとかちょいアリってか萌える~♡」
すみれの誤魔化しが功を奏し、ルナの意識を逸らすことに成功したようだ。
まあそれはそれ、期末テストが終了した安堵感からか、解放的になっているルナがジュースを飲みながら息を吐く。
「ぷはぁ~……でもホント、ヨカッタよ~。すみれちゃんや黎ちゃん先生のおかげで、何とか補習とかナシっぽそーだし~……自己採点? っての、割とイイ結果だったし……フフフ、コレで心置きなく本番を迎えられンね……☆」
「本番……ああ、夏休みが近づいてますね。期末の結果が悪かったら、夏期補習で潰れちゃってたでしょうし。といっても七月もまだ上旬ですし、もう少し先ですけど」
「フフフ、ナ~ニ言ってんのすみれちゃん。アタシ達エロ研究部だよ? 夏休みも、そらまあ楽しみだし、本番っちゃ本番だけど……その前に、まだまだ出来るコトあんじゃ~ん☆ えっと、何ていうんだっけ、あ~、ぜ、ぜ……全勝戦?」
「無双しちゃってますね……読み方は同じですけど、前哨戦でしょうか。というか文芸同好会(※エロ研究部ではない)が、一体何をしようと……?」
「まあすぐ明日トカの話じゃないし、今は……お楽しみってコトで☆ ウフフ☆」
「ええ、不安……まあでもルナさんなら、そんな過激なことはしないかな……多分」
とはいえ、何か企んでいる様子で、やはり気にはなるすみれだったが――その後は普通に飲食して、楽しんだぞ。いつも楽しそうでイイな、なんかな☆
一体、ルナが何を企んでいるのか――それはまた、暫く後に語られる話だろう
(ンンッ、引っ張りマスネェ!)




