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第六話:歪みだす時空

 お久しぶりです!! 目を通していただきありがとうございます。

 完結の目途が立ちました。


 俺は今、紅茶を飲んでいる。場所は王都。そう、マヴェリウス陛下のお誘いだ。


 初めて陛下とお会いしてからずいぶんと月日が経ち、暖かい春を迎えた。

 俺はあと2週間で19歳になる。この1年間はなかなかどうして、鮮烈な出来事が多かったなあ。


 陛下は俺をたびたびお茶会などにお誘いになるし、そこで他国の貴族とお会いすることもあった。強くなった“全肯定”のおかげか、お会いする人々は俺の噂を聞いた時点で感銘を受け、会えば皆一様に俺を褒め囃した。今は3か国から招待状が来ており、そのうち陛下と外遊に出かける運びとなっている。


 プリメント家に対する周囲の見方も変わってしまった。プリメント家はあくまでも「“剣聖”一族」で、そこに(“全肯定”)が生まれたという認識だったのだが、最近では「“全肯定”のプリメント家」という話になってきているらしい。父上もまだ隠居するような年でもないのに早く当主の座を譲りたいといっている。


 無生物から肯定される(?)ことも増えた。この前試しにフェルトの人形たちを買ってみたら、俺が近づくと拍手したりお辞儀したりするようになった。家に飾られていたご先祖様の肖像画も、俺が前を通る時には満面の笑みをたたえている。ツッコみを入れる気にもならなくなった。




 俺が飲み終わるのを見計らってか、陛下はおもむろに口を開いた。


「コン様、早速ですが本題に入りましょう。手紙にも記した通り、ぜひともお目にかけたいものがあります」


 陛下が敬語でお話になっているのは俺の指示じゃないからな?

 俺はちゃんとお止めしたが、どうしても敬語を使いたいと仰っていたのでもう諦めただけだ。

 陛下は続ける。


「2週間前、王都近郊の古都跡地で石像が発見されました。



そのお顔がなんと、コン様に瓜二つなのです!! 

おそらく、コン様のことをどうしても称えたかった古代人たちが作ったのでしょう!!」







 ……すまん、流石についていけないかも。


 まあ、俺を称えたいからと像を作る人は実際にいた。最近、この国で俺の銅像24基の建設が始まった。なかなか気合を入れているそうで、あと数か月はかかるらしい。

 けれども、それはあくまでも現代の話だ。昔の人たちが作るとは考えづらい。どうやって俺の顔を知ったんだ。第一、王都近郊の古都ってことは遅くとも1400年前には作られた像ってことだろ? その時代の人々は俺の存在すら知りようがない。《《他像》》の空似だろう。




 ちなみに、見せてもらった石像の顔は確かに俺そっくりだった。




--------------------------




 プリメント家に帰ってきた。やはり我が家が一番だな。

 くつろいでいると、メイドの一人が俺の方へ来た。


「コン様、お帰りなさいませ。ご報告がございます。向日葵の件についてなのですが……」


 俺は家を華やかにするために花を育てようと思いつき、10日前に向日葵の種を庭に蒔いた。蒔いた翌日には王都に向けて出かけていたため水やりは彼女にお願いしていた。


「もしかして、芽が出たんですか?」


 向日葵は概ね1週間前後で芽が出るとのことだ。そして、2,3か月で開花するらしい。

 庭に咲き誇るのが楽し──

 「いいえ、今朝に咲きました!!」──み

 ……え?


「咲いた!? 蒔いたの1週間前だよね? ほんとに俺が蒔いたやつ?」


「当り前じゃないですか。コン様が蒔いた植物かどうかくらいわかりますよ」


 どっからツッコめばいいんだ!?


「コン様が出かけたその日に芽が出たんですよ! そこからすくすく育っていって。

ぜひ見ていただきたかったなあ」


 どうやら俺が蒔いた向日葵で間違いないらしい。

 なおさら分からん。どういうことだ?

 展開を呑み込めず、困惑している俺にメイドが言う。


「私には向日葵の気持ちもわかりますわ。コン様に早く見てもらいたかったのでしょう。純粋な思いの前には時の流れなど関係ありません!!」


 なんか、さもありなんという気がしてきた。

 かれこれ1年の付き合いになるが、本当に滅茶苦茶な“スキル”だもんな。そりゃあ、時の流れくらい狂うわな……





 って、なるわけねーだろ!!

 俺に見てもらいたいから時の流れが歪むって何だよ!?




 しかし、冷静になって考えたら、やっぱりありうる話かなと思ってきた。“全肯定”が強くなり続けているのなら、ついに時間の枠すら飛び出したという事もあろう。荒唐無稽なのは言うまでもないが。


 何はともあれ、向日葵は美しかった。

 

「ありがとう。君たちはとっても奇麗だよ」









 ん? 待てよ……


 俺の頭にある仮説が思い浮かんだ。




 古都で発見されたという俺にそっくりな石像。

 時間すら乗り越えられる“全肯定”。







 ──陛下、申し訳ございません。正しかったのは陛下の方かもしれません。


 時間を早めることと、時間を遡ることは確かに別だ。けれども、これは“スキル(超能力)”だから、同じ時間がらみの現象とみなせなくもない。

 そして、この仮説が本当なら、“全肯定”は時を超え、噂すらも必要なくなったという事なのだろう。誰に話を聞くでもなく突然俺のことを知覚し、好意を抱くのか。

 “全肯定”はどこまで強くなるんだろうな?




 2週間後、陛下から手紙が届いた。

 後ろに「コン様万歳」と彫られた石像も見つかったらしい。



 ──やっぱり俺の石像で間違いないようですね。




--------------------------







「ココカ? コン様ガイラッシャル星ハ?」


「アア、遂ニ我ガ星ノ悲願ガ成就スル時ガキタノダ」





 ここから毎日投稿で駆け抜けます。5月31日に第九話と第十話を投稿して完結予定。


 次回 第七話:宇宙からの謁見者

 5月29日金曜日 22:00投稿予定


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