元プロがガチで『調教』したAIは、もはや想像を超えた?
AIに自動生成させた文章はつまらないと言います。
では、元プロがガチで「調教」したAIは、どんな文章を自動生成してくれるんでしょう?
ということで、私がいつも使っているChatGPTに簡単なスクリプトを与えたら、どんな答えを返してくれるのかという実験をしてみようと思います。
どんどんぱふぱふ〜♪
で、代表作の
『異世界で待ってた妹は、モーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件』
の話を作らせたら……
見事にまだ秘密にしておきたいネタバレをガッツリぶち込まれたので、
公開は泣く泣く断念しました( ゜∀゜):∵グハッ!!
まあ、最終回までプロットを読み込ませているので仕方ないですね。
そこで今度はもう一つの世界、
ティルナノを作っているゲーム会社・アイソジーンのお話を作ってもらいました。
『いもモー裏話』をご覧になっていただきますとお分かりかと思いますが、
私は、かなり設定を作り込む性格です。
そんな凝ったキャラクター設定と、
発表してはいないものの、アイソジーン社内の小話をいくつも作って読ませています。
ざっくり言えば、アイソジーンネタだけでも短編集一冊分くらい、
何十万文字もAIに「食わせて」ある状態です。
なので、私のChatGPTは、デフォルトのものとはかなり違う返答をくれるのではないでしょうか。
* * *
まず登場人物を軽く紹介しておきますと、
瑛士:エリアスの中の人。ティルナノのチーフディレクター
新堂:バトルプランナー。ノリのいい職場のムードメーカー
小林:シナリオ班チーフ。温厚だが、怒ると京都の方言が出る
この三人は、『いもモー裏話』にキャラクター設定を載せてあります。
今回与えたプロンプトは、とてもシンプル。
『新堂が京ことばを珍しがるお話書いて』
——はい、これだけです。
これだけでどんなお話を自動生成してくれるでしょうか?
結果は……
なんと、この一文だけの指示で三千文字もの短編を描いてくれました(笑)。
内容は最後に貼るとして、ここではその短編を読んだ感想を先に書いておきます。
結論を先に言ってしまうと——
え、普通にこれ、けっこう面白くない?
でした。
正直、かなり驚きました。
* * *
最初、私の予想としては
「新堂が小林をからかう、職場のわちゃわちゃコメディ」
くらいのものが出てくるのかな〜と思っていたのですが……
AIの思考回路が、正直ビビるくらいよくできていました。
ちょっと、内部でどんな思考をしているのかを想像で分解してみます。
【AIの思考を分析】
小林に京ことばを使わせるには、
彼女を「本気で」怒らせる必要がある
↓
小林は、自分たちの生み出したキャラクターを大切にされないと怒りそうだ
↓
じゃあ、キャラクターが雑に扱われそうなシチュエーションを作ろう
↓
小林はゲーム会社の社員だから、舞台は会議室がよさそうだ
↓
会議には、キャラより売り上げを優先する立場の人間がいるはず
↓
それなら、プロデューサーを作って登場させよう
……ざっくりまとめると、内部でこんな推論が行われたのではないでしょうか。
いや〜、あの一行のプロンプトからここまで導き出すの、普通にすごくないですか?
【良かった点】
◆ 「作品を愛し、ユーザーの気持ちに立って考える」という、
小林の設定をうまく活かした、予想以上にアツいストーリーになっていたこと。
これはAIが、キャラクター設定をしっかり読み込んでくれている証拠ですね。
◆ 新堂の
「ユーザーが信じて触り続けてくれてるものを、簡単に揺らしちゃダメ」
というセリフも、私の大切にしている世界観をしっかり拾ってくれていると感じました。
◆ さらに、ティルナノのプロデューサーという、
こちらでは設定していない人物を創作して登場させているところも上手いなと思いました。
実際に開発会議があったら、当然プロデューサーは参加するでしょうし、
作中のような立場で発言もすると思います。
◆ そして何より、
「最初はギャグ混じりで軽いテンポで進めつつ、最後は作品のテーマに絡めて締める」
という、私自身の作風をかなり再現しているな、と感じました。
……もう私いらないじゃん(笑)。
それは冗談としても、何十万文字も私の作品を読み込ませているので、
何も学習させていないAIに比べたら、確実にストーリー作りを「学習」していると感じました。
【イマイチな点】
◆「瞳の温度がひとつ、下がった気がした。」
「空気の色が、ふっと変わる音がした気がした。」
AIは、こういう謎の心理描写が本当に好きですね。
英語圏由来の比喩文化なのでしょうか。
このまま使うと「AIが書いたな」とバレバレです(笑)。
◆ 最後のオチの「何割京都」という表現。
意味は伝わるのですが、もう少し分かりやすく言い換えたくなります。
◆ プロデューサーを、分かりやすい悪役ポジションとして登場させたまではいいのですが、
もう一歩だけ、この人物を深掘りできたらもっとよくなりそうです。
たとえば
「ここで売上を上げるのが、彼の仕事なのだ」
と分かる場面をひとつ入れて、
「あ、この人の発言にも理由があるんだな」
と読者が納得できるようにするとか。
◆ 小林のキャラも、「いい人」で終わっている印象が少しあります。
「どうしてそこまでキャラを守りたいのか」
という奥行きまで踏み込めると、キャラクターの魅力がもっと立ちそうですよね。
……まあ、この辺りは、まだまだ人間が手書きしていくべき領域なのかもしれません。
* * *
結果として今回のAI短編は、
綺麗にまとまってはいるけれど、読み終わったあとで
「うわ、この一文が忘れられない!」
というところまでは届いていないかな、と思いました。
例えるなら、漫画家の先生がお休みの時に載る、
ベテランアシスタントさんの読み切り作品、といった感じでしょうか。
私の中での評価としては、
「75〜80点の、ちゃんと読める短編」
くらいのポジションです。
というわけで、AIはそのままではただの箱ですが、
チューンナップ次第で、無限の可能性を秘めたパンドラの箱(いい意味で)に変わるかも……というお話でした。
皆さんのAIは、どんなお話を返してくれるでしょうか……?
* * *
※ここから先は、AIが生成した短編そのままです。
じっくり読みたい方だけ、時間のあるときにどうぞ。
「とりあえず結果だけ知りたい」という方は、ここまで読めば大丈夫です。
〜以下AI作品〜
。*❅┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❅*。
深夜残業じゃない、ちゃんとした就業時間内の出来事——のはずだった。
ティルナノ開発会議室。 大型モニターには、運営チームが作った資料が映し出されている。
「……というわけで、次のイベントでは、
人気キャラクター三人を“期間限定で性格改変”する案を考えています」
スーツ姿の運営側プロデューサーが、どこか誇らしげに言った。
「普段はクール系のキャラを、イベント中だけデレデレにしましてですね。
“ギャップ萌え”を狙っていきたいと」
その瞬間——瑛士は、自分の斜め向かいに座る人物の表情が、ほんのわずかに変わるのを見た。
シナリオ班チーフ、小林琴葉。
いつもの柔らかい笑みの奥で、瞳の温度がひとつ、下がった気がした。
「小林さん、どうですか?」
プロデューサーに話を振られ、小林は静かに頷く。
「そうですね……。 ギャップを出すこと自体は、
ユーザーさんにも楽しんでいただけると思います」
「ですよね!」
「ただ——」
そこから、空気が少し変わった。
「キャラクターの根幹となる価値観や、
今まで積み上げてきた成長は、あまり軽く扱わない方がよろしいかと」
「と言いますと?」
「たとえば、トラウマを乗り越えてようやく人を信じられるようになったキャラを、
一時的に“ギャグ要員”として扱ってしまうと……
彼/彼女をずっと見てきたプレイヤーさんの感情が置き去りになってしまいます。
“今までの物語は何だったの?”と感じられるリスクが高いですね」
声色はあくまで穏やかで、論理は冷静で、言葉のトーンも丁寧。
——が。
長年一緒に仕事をしてきた瑛士には分かった。
今の小林は、かなり本気でブレーキを踏んでいる。
「うーん……でも数字的には、こういう“性格ぶっ壊し系”って伸びるんですよね。
“いつもと違うキャラが見られる”って、分かりやすくバズるので」
プロデューサーは、スライドのグラフを示しながら言う。
「炎上しないギリギリのラインで調整すれば、問題ないと思うんですが」
(“炎上しないギリギリ”って言葉、現場の前で堂々と使うのやめてくれ……)
瑛士が内心で頭を抱えかけた、そのときだった。
「……すんまへん」
ぽつり、と。
空気の色が、ふっと変わる音がした気がした。
さっきまで標準語だった小林の口から、
不意に柔らかい、しかし芯のある響きが漏れる。
「“ギリギリまで攻めたらええやろ”って発想、
ティルナノみたいなタイトルとは、あんまり相性よろしないと思います」
プロデューサーが一瞬、「え?」と瞬きをした。
瑛士は隣で——(出た)——と、心の中で呟く。
小林の京ことばモード。
「今まで積み上げてきたキャラの信頼や関係性は、
数字だけやなくて、“そこに戻ってきてくれる人の居場所”やと、うちは思てます」
声量は上げない。 けれど、ひとつひとつの音が、不思議と耳に残る。
「短期的に盛り上がっても、その子らを“ネタ”として扱ろたら、
あとで『あのキャラは信じてええんやろか』って、
どこかで不安が残ってしまいます。
せやから……そこは、あんまり軽うに、いじらんとってほしいんです」
会議室が、すっと静まり返った。
京ことばの抑揚が、やさしいのに、妙に逃げ場を塞いでくる。
沈黙を切ったのは、瑛士だった。
「……僕も、小林さんと同意見です。
ギャップを出すなら、“そのキャラらしさが伝わるギャップ”にした方がいい」
プロデューサーはしばらく黙ってから、咳払いをひとつ。
「……分かりました。では“価値観まるごと改変”ではなく、
あくまで“見せ方の変化”程度に留める方向で、もう一度案を練り直します」
「ありがとうございます」
ふっと、小林の声が、いつもの標準語に戻る。
「こちらでも、キャラクターに無理がない形で
“ギャップ”を作る案、いくつか考えてみますね」
会議は、そのまま穏やかなトーンに戻り、解散となった。
会議室から出たあと。 廊下を歩きながら、新堂が瑛士の隣にすべり寄ってきた。
「サカキさん、今の聞きました?」
「どのあたりをだ」
「小林さんの、“よろしないと思います”のとこ!
あれ、めちゃくちゃ京都じゃなかったっすか!?」
妙にテンションが高い。
「いやー、あれは反則でしょ。
あんな柔らかい声でガチ説教されたら、誰も逆らえないですよ」
「……お前、怒られてる側の発想だな」
瑛士は呆れつつも、思わず笑ってしまう。
そこへ、自販機の前でお茶を買っていた小林が合流した。
「お疲れさまでした」
「お疲れさまでしたー!」
新堂はペコっと頭を下げると、目をキラキラさせながら言った。
「あの! さっきの会議で出た京都っぽいしゃべり方、
もう一回やってもらってもいいですか!?」
「……え?」
小林が、一瞬だけ固まる。
「いや、なんか……“よろしないと思います”ってやつ。
あれ、めっちゃカッコよかったっす!
なんか、ラスボス前の賢者ポジションが本気出した時みたいな説得力あって!」
「新堂」
横から瑛士が低く呼んだ。
「は、はい?」
「それはな。 “小林さんが本気で怒ってる時にしか出ないモード”だから、
リクエストするもんじゃない」
「……あ、マジっすか」
新堂が、ぴたりと口を閉じた。
その横で、小林はふっと苦笑する。
「そんな大層なもんやないですよ。
……ただ、ちょっと気ぃ張ったら、つい出てしまうだけです」
その“だけです”の響きに、わずかに京都の余韻が混じる。
新堂の耳が、ぴくっと動いた。
「今のも京都だ……! 今の今の! サカキさん聞きました!?」
「聞いたけど、いちいち実況するな」
小林は、ペットボトルのお茶を両手で持ちながら、
少しだけ照れくさそうに視線を落とした。
「……あんまり出したないんですけどね。
東京に来てから、なるべく標準語にしてたつもりなんです」
「え、なんでですか? 京ことば、めっちゃ良くないです?
こう……説得力が二割増しくらいに聞こえるというか」
「二割ですか」
「体感もっとあります?」
「さぁ、どうでしょう」
口元の笑みは柔らかいのに、どことなく含みがある。
「でも、なんか分かるっすよ。
“ほんとの地声”出したくなるくらい、大事なときってありますもんね」
珍しく、新堂が少し真面目な声を出した。
「ゲームの操作感とかも、そうっすけど。
ユーザーさんが信じて触り続けてくれてるものって、簡単に揺らしちゃダメだと思うんで」
小林は、驚いたように瞬きをしたあと、ふっと目を細めた。
「……そうですね。
うちらが何言うても、最後に信じるのは、ずっと遊んでくれてる人らですし」
今度は、意識して標準語を使っているのが、聞いていて分かる。
「じゃあ、小林さんが京都モード入ったら、
“この案、ほんまにヤバいんやな”って合図だと思えばいいんですね?」
新堂が、冗談めかして言う。
「そうですねぇ……。
“そないなこと言うてたら、うち、ほんま怒りますえ”
って言い出したら、さすがにちょっと危険信号かもしれません」
さらっと出た、その一文。
新堂が「出たーー!!」
と小声でガッツポーズした。
「今の、今のやつ、メモっとこ……!」
「お前は何をメモする気だ」
瑛士が肩を落とすと、小林はくすりと笑う。
「まぁ、新堂くんがそんなふうに珍しがってくれるなら……
たまには出しても、ええんかもしれませんね」
その言葉には、どこか少しだけ、京都の香りが混ざっていた。
——その日から、 新堂の中で“京ことばモードの小林チーフ”は、
「本気で守りたいものがあるときにだけ出る、
ちょっとレアな必殺技」
みたいな扱いになったらしい。
そして瑛士は、ときどき会議の空気がきな臭くなるたび、 心の中でそっと数えるのだ。
(今日、小林さんは“何割京都”まで行くんだろうな)と。
いかがでしたでしょうか?
AI作品をお読みになられて、どう感じたかなども、ぜひお気軽に感想でお聞かせください!
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まずは気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
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