AIはズルい? 元プロの物書きが本音で語る「AI執筆」
私がこれを書こうとしたきっかけは、
なろうでたまに見かける
「AI完全否定派」の発言でした。
「1文字もAIを使わないことが正義」
……それって、本当ですか?
最近の小説新人賞やラノベ大賞の応募要項を見ていると、
けっこうな頻度で
「生成AIで自動生成した作品の応募は不可」
「AIが生成した文章をそのまま使った原稿は審査対象外」
といった注意書きを見かけるようになりました。
正直、それを見た私の感想は
まあ……それはそうだよね、ですw
プロンプトを打ち込んで、小説を丸ごと自動生成しました。ほぼ手も入れてません。
そんな原稿が、公募に大量投下されたらどうなるか。
審査側がパンクするのは、ちょっと想像すればわかります。
私だって、「これはAIが全部書いた作品です」と言われたら、
たぶん読みたくないです。
そこには、その人ならではの体験も感情も、込められてはいませんから。
だからAI作品は審査しません、という方針は、完全に賛成です。
ただ、一方で
「AIで書いた文章が一文字でも混ざっていたらアウト!」
みたいな極論を目にすると、
それはそれで、ちょっとモヤっとしてしまうんですよね。
* * *
まず、冷静に考えてみると……。
・日本語入力の変換候補
・スマホの予測変換
・スペルチェッカーや誤字修正機能
これらも、広い意味ではAI技術の一種です。
となると、極端に言えば
「AIが一文字でも関わったらダメです」
というルールを厳密に適用すると、
現代の執筆環境ってほぼ全部アウトになってしまうんですよね。
もちろん、公募側が言いたいのは
「生成AIに丸投げした作品はやめてね」
ということだとは思います。
でも、言葉だけが一人歩きしてしまうと
誤字チェックにAI使っただけでズルいの?
言い換え候補を出してもらったら、それもNG?
と、ものすごく息苦しい空気になってしまう。
* * *
ここで一度、自分のことを例にしてみます。
私は普段からわりとAIを使っています。
でも、それは
・プロットに対して意見をもらう
・誤字、脱字、表現のダブりをチェックしてもらう
・どうしても苦手なアクションシーンなどの「見本」をいくつか出してもらう
といった、「編集」「取材」「相談」に近い使い方です。
例えば拙作
『異世界で待ってた妹はモーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件』
『孤独に寄り添う賢者』
で言うなら——
私は簡単なスクリプトやHTMLくらいは書けますが、
開発者が使うC++やC#みたいな
ガチなプログラミング言語は、正直よくわかりません。
そこでまず、AIに専門用語まわりの文章や
コード例をざっくりと書いてもらって、
それを自分の中で噛み砕いて、
文系でも雰囲気が伝わるように言い換えていく。
そうやって、世界観に「それっぽさ」を足していく
というような使い方をしています。
もちろん出来上がった文章は、何重にもチェックをして
間違いがないかを調べてから発表します。
出してもらった文章を、そのままコピペして終わり。
ということは絶対にしません。
そのまま貼り付けても、私の書きたい作品にはなりませんからね。
文体もリズムも、キャラクターの温度も、
自分の中の「痛み」や「願い」も、乗ってこない。
だから私は、AIから返ってきた案を
・骨組みだけもらう
・表現だけ参考にする
・自分の言葉に全部書き換える
そんなふうにして、最終的には自分の手で整えます。
ここまでやったものを
「AIが一文字でも関わっているからダメです」
と言われてしまうと、
……え、じゃあ編集さんに
「ここ、語尾だけこう直したら?」
って言われてもアウト?
という気持ちになってしまう。
私にとってAIは
「夜中の三時でも、嫌な顔ひとつせず原稿を読んでくれる編集者」
であって、
「作品を全部丸ごと作ってくれる、都合のいいゴーストライター」
ではないのです。
* * *
じゃあ、どこからが「ズル」になるのか。
私なりの線引きは、かなりシンプルです。
・プロットも
・本文の大部分も
・キャラクターの感情も
ほとんどAIに書かせたものを、自分の作品と偽って出すのは、さすがにズルい。
でも、
・自分で考えた物語を
・より良くするために
・AIの提案やチェックを使う
これは、道具としての使い方だと思っています。
例えるなら、
・資料を図書館で集める
・人に相談して意見をもらう
・校正さんに赤字を入れてもらう
この辺りと、そこまで本質は変わらないのではないか、と。
もちろん、公募がAI使用は一切禁止と明言しているなら、
そのルールには従うべきです。
ただ、
AIの手がちょっとでも入っていたらアウト!
というような極論が広がってしまうと、
AIを「編集ツール」として健全に使っている人たちまで、一緒くたに責められてしまう。
それはちょっと、もったいないなあ……と私は感じています。
* * *
AIはズルいのか?
この問いに対する、今の私の答えはこうです。
AIを「楽して評価だけ欲しいための抜け道」
として使うなら、たぶんズルい。
でも、「自分の物語に本気で向き合うための相棒」
として使うなら、ズルくない。
むしろ全然アリ。
AIの言葉は、あくまで道標です。
どの案を採用して、どの言葉を捨てるか。
最終的に責任を負うのは、やっぱり書き手の側だと思います。
だから私は、今日もAI編集者たちと一緒に悩みながら、
自分の物語を、自分の手で書いていこうと思います。
そのうえで、公募に出すときは、
「これはAIに丸投げしたものじゃない」
と胸を張って言える原稿だけを出したい。
それが、今のところの私の答えです。
そんな、AI編集者と二人三脚で仕上げている作品はこちらです。
少しでも気になっていただけたら、第一話だけでものぞいてみてください!
『異世界で待ってた妹は、モーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件』
https://ncode.syosetu.com/n5538ky/




