新聞紙(温人、おんじん)
酔った、飲み過ぎだ。
いくら酒好きといえども4軒もハシゴは無謀すぎた。
途中、終電も無くなり気付けば1人テーブルでヨダレを垂らして寝ていたみたいだ。
「お客さん、もう閉めますんでお願いします」
「あぁ、ゴメン、ゴメン、
、、、連れたちは?」
「お客さんが俺はまだ飲むってわめいたんで先に帰りましたよ」
そうか、少しずつ思い出した。
勘定を払い
表に出る、寒い、初秋といっても夜中は風が薄着の衣を通り抜け、背中を丸くさせる。
どうしよう、さっきサイフを見たがタクシー代も家まで足らない。
始発には、3、4時間か
どこかに風があたらない所はないかなと周囲を見渡しながら歩いていくと左手に公園が見えてきた。
何かあるだろうと近づくと
大きな筒状の遊具があった
あそこなら風よけになるかもしれない。
暗いトンネルに入るとなかなか快適だが、やはり寒い。
暗さに目が慣れて、ドキッとした。
先客がいたのだ。
毛糸の帽子を深々被り、分厚そうに見える上着とズボンを履いている。
先客というより、常連さんかなと震えながら横目で見ていると不意におじさんとおぼしき声で
「にぃちゃん、これ意外とあったかいよ」
と新聞紙を1束、2メートル先からポイと座っている横まで下手で投げてくれた。
「こうやって体に巻くんだ」
とおじさんは器用に新聞紙を体に2重、3重に巻いてゆく。
私も真似て巻いてみた。
「あったかいです、ありがとうございます」
おじさんは軽く右手をあげてニコリとしたようだった。
風も止み、日がさして目が覚めた。
からだには新聞紙
隣りのおじさんはもういなかった。
恩人だな
私の心はあったかいまま




