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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-734 次に現れるとしたなら自爆型ゾンビだろう


 双発の水上機がレイ・ハバード湖に到着したのは昼食を過ぎてからだった。

 台船に設けた長さ20mほどの桟橋に、ゆっくりと近付いて横付けしている。安心してテラスから見ていられるから、水上機に慣れたパイロットに違いない。

 シグさんが指揮所に士官達を案内してくれるというから、俺は士官室のテーブルで待機することになった。相手は少将なんだよねぇ。大尉なのだから迎えに出た方が良いと思うんだけどなぁ。


 6月の半ばを過ぎているから指揮所もだいぶ暑くはなってきているが、湖の上ということもあって窓を開放すれば良い風が入る。何時でもエアコンは使えると兵站を預かるエリックさんが言ってくれたけど、それは7月に入ってからになりそうだ。

 階段を上る足音が聞こえたところでベンチから立ち上がり、マリアンさん達の到着を待つ。

 扉が開き、シグさんが足を踏み入れマリアンさん達の到着を敬礼しながら報告してくれた。答礼を返しながら入室の許可をすると、笑みを浮かべたマリアンさんが入ってくる。

 改めて敬礼をする俺に、笑みを浮かべて答礼してくれたけど、「サミー君なら面倒な礼儀はいらないわよ」なんて言っているんだよねぇ。

 親しき中にも礼儀ありというぐらいだからなぁ。苦笑いを浮かべて小さく頷いたけどこれからも敬礼はして行こう。


「先ずは座ってください。窓はご覧の通り開けてありますから、タバコは自由で良いですよ。それと直ぐにコーヒーをお持ちします」


 やって来たのはマリアンさん以外に、レーヴぁさんとリッツさん。それと副官達だ。

 結構乗れるんだなぁ。リッツさんの話では10人乗れるらしい。普段は床に開けた穴を使って爆弾を落としているとのことだ。。


「水上機は2機あるの。大きい方がこれで、残り2機は単発エンジンよ。こちらに送ることは出来ないけど、今の所支障はなさそうね」


「陽動ですからね。結構続けていますが、北の方に変化はあるんでしょうか?」


 俺の問いに、マリアンさんが小さく首を振りながら話してくれた。

 どうやらそれほど変化はないらしい。リッツさんも首を傾げているんだよなぁ。


「大規模な増援が無いということは、陽動の成果なのでしょうね。でもそれなりに増援は来ているの」


「それだけゾンビの底が深いという事になるのでしょう。となると、ここでの散発的な砲撃の頻度を上げる、もしくはデントン後方のロアノール地区とルイスビル地区の爆撃でどう変化するかということになりそうですね」


「ロアノール地区はヒューストンからF16でMk81を16発落としたわ。ルイスビルの方は水上機で爆撃しているの。落としているのは金属パイプの爆弾だけど」


「かなりの範囲を瓦礫化しましたが、それでもゾンビはやってきますね。ナパーム弾を使っての攻撃をヒューストンに本日依頼しましたから、明日には落としてくれるでしょう」


「サミー君が砲爆撃ではあまり効果が無いと言っていたけど、本当ね。小さな町ならそれで十分なのでしょうけど、かつての総人口が50万人を越えるような都市では、ゾンビの削減は思ったようにいかないのが良く分かったわ」


「ヒューストンでは1年以上砲撃を続けていますからね。デンバーも同じです。ロサンゼルスの方は自走砲も多いですし、何といっても艦砲射撃が可能です」


「火力不足を今さら憂いてもねぇ。もうしばらくはノイズマシンで集めて、砲撃での殲滅を繰りかえすしかなさそうね。それで、サミー君が急にサンディーに依頼した理由は何かしら? ダラスのゾンビの棲息ムラを探るというのは、私達が何か大きな見落としをしているように思えてやってきたの」


 そう言う事なら、きちんと話しておくべきだったな。

 どう切り出そうかと、とりあえずタバコに火を点けながら考える。

 元々はこれだけ大きな都市にゾンビが同じ密度で棲息しているとは思えなかったからだ……。それに、ゾンビが魚を運んでいる場所も気になるしねぇ。さらに地図を離れて見ると、ダラスとヒューストンにサン・アントニオが大きな三角形を作っているのが分かる。周辺に小さな都市がいくつかあるけど、この3つの都市に生息するゾンビは今まで大人しくしていたのだろうか? 案外互いに何度かやり合っている可能性がある様に思えるんだよなぁ。もしやり合ったのであるなら、ダラスのゾンビは南方に偏っている可能性がある。それは陸上艦隊の南進に対して大きな障壁となりえるだろう。


「以上のような事を考えましたので、サンディーに依頼した次第です。魚を運ぶゾンビの行き先は、新たなゾンビがいる可能性が高いということで依頼しました。それと昨日確認できたゾンビがこれなんです。まるで丸太に短い脚を沢山付けたように見えますけど、ゾンビ同士の戦ではかなり活躍できるでしょう」


「ゾンビの砲兵隊に対する移動陣地という事かしら? まったく進化という言葉は便利よねぇ。こんな形にもなりえるというんだから」


「例のペガサス型ゾンビが捉えた画像ですか……。あのドローンは学術的要素が高いということで、我等は確認していないのです。こんな奴がいるとなると、専任者を設けるべきでしょう」


「サミーくんが適任なのでしょうけど、そうもいかないわね。新たに生物学研究所から派遣して貰いましょう。私が統合作戦本部経由でお願いするわ。この画像を見せたら、直ぐに動いてくれそうよ」


 こんなのがいるんだから、もっと変わった奴もいるだろうということかな?

 

「ダラスのゾンビの調査はサミー君に任せるわ。必要な資材攻撃についてはリッツに連絡してくれれば可能な限り対応するわよ」


「ありがとうございます。それでしたら……」


 これまでの疑問点を解き明かすための対応を何点か説明することにした。マリアンさんもデントン地区を早期に通り抜けたいだろうからなぁ。あまり無理は出来ないだろうけど、いくつかの場所にノイズマシンを設置することぐらいなら容易だと考えたのだろう。リッツさんに顔を向けて頷いているところを見ると対応してくれそうだな。


「でも南のウエーコ市の状況確認となると、ドローンを飛ばすことは出来そうにないわね。ヒューストンからコイン機を飛ばすことは出来そうだけど、小型の自律型ドローンをビルの屋上に設置して置いても良さそうね。実行するのは使えそうな自律型ドローンを見つけてからになるわ」


「やはり3つの都市で争いが継続していると推測しているのですか?」


 マリアンさんの話に、リッツさんが俺を見据えて言葉を繋げる。 

 

「かつて起こったのか、それとも継続中なのか、一度起こった戦で得た知見を元に再戦の準備をしているのか……。前2つならこのままの作戦で対応できると考えますが、後者であったなら、南に強力なゾンビの集団が集結している可能性が出てきます。再選に備えているのであればノイズマシンがどれほど役立つか予想が付きません」


「困った話よねぇ……。でも、やり方次第では、利用できなくもないわね。先ずは状況を見極めることが大事に思えるわ」


 準備が整わない内に、相手のゾンビと戦わせるってことかな?

 それが出来れば一番なんだけど、上手くノイズマシンで誘導できるかが問題になりそうだ。もっともノイズマシンに全く集まらない分けではないだろうからなぁ。1万体程度のゾンビを動かせるなら、ゾンビ同士の小さな争いが拡大してくれそうに思える。


「その時にはハンヴィーを3台程準備して欲しいですね。ブラックホーク3機ぐらいなら用意できそうに思えます」


「名乗りを上げそうな人達が大勢出るかもしれないわよ。準備はしておくけど作戦は状況次第で良いかしら」

 

 笑みを浮かべるマリアンさんに、小さく頷くことで応えておく。

 マリアンさんの事だからなぁ。1週間も経たずに準備を整えてくれるに違いない。

 俺達のところからはシグさんにエディ達を連れて行こう。オルバンさんジュリーさんに後を任せておけばこの台船の指揮は取れるに違いない。


「ゾンビ同士の争いが、これからどんどんと拡大するのかしら?」


「そうなるでしょうね。俺達からすれば都合よく思えることも確かですが、それによって進化の加速が確実に起こるでしょう。ヒューストンもあれだけ叩きましたし、ゾンビの半数以上が南進していることも確かです。でも未だに他の都市からせめて来るゾンビを撃退しているんですからね。かなり進化したゾンビがいるに違いありません」


 叩くなら徹底的に叩いた方が良いという事なんだろうな。

 だがそれを行うだけの戦力が俺達にはないんだよね。北アメリカ大陸で5つの大きな作戦が行われているのだが、このまま継続して良いものかと考えてしまうな。

 場合によっては、作戦に投入している戦力の再編を考えた方が良いのかもしれない。さらに都市を閉鎖して、次の都市に進むような対応も必要に思えてくる。


「ついに自走砲型ゾンビを狩る戦士型ゾンビまで出てきましたが、サミー君の予想する次の進化種はどんなゾンビなのですか?」


「ここまで来ると案外俺達の過去の戦が参考になってくるでしょう。俺が何時かは出てくると推測しているのは自爆型ゾンビですね。既に水素爆発や初期のTNT火薬を作ることが出来るんですから、体内にそれらをたっぷりと詰め込んだゾンビは案外早くに搭乗して来るかと推測しています」


「カミカゼゾンビ! ……出てきたらこっちもかなりの損害が出そうね。そんなゾンビが搭乗したなら直ぐに見つけられるかしら?」


 どうだろう……。俺達が攻撃していない場所で大きな爆発が起きたなら、存在は確実になりそうだ。

 その姿は……、少なくとも通常型とは異なるだろう。体内に蓄積した爆薬は多い方が良いに決まっているからね。さらに鈍重な動きでは炸裂する前に相手が離れてしまいそうだし、場合によっては炸裂前に倒されてしまいそうだ。

 ドラム缶のような形なんだろうな。それでいて多脚を使って素早く動ける……。待てよ。あの丸太ゾンビの姿を少し変えたなら、自爆ゾンビが出来そうに思えてきたぞ。


 私見ですが……。と断って、俺の推測するゾンビの姿を皆に話すことにした。マリアンさんは笑みを浮かべて俺に頷いているし、シグさんは呆れた顔をしている。リッツさんは深刻な表情をしているのが気になるけど、多分それはリッツさんが心配性なだけかもしれないな。


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主人公が日本人と知っていてカミカゼと言い単語を使うのか…
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