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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-073 ベッドの調達は1日1台がやっとだ


 翌日。朝食を終えた俺達はピックアップトラックに乗り込んで、グランビイとグランドレイクの間にいくつも点在する別荘に出掛けることにした。

 生温かな笑顔で皆が見送ってくれたんだけど、今頃はきっと笑い出しているんじゃないかな?

 女性は車内だけど、俺達3人は荷台の上だ。

 運転はレディさんなんだけど、最初の目的地は何処になるんだろう?


「なるべく立派な別荘って中で言ってるぞ」


「そりゃぁ、立派な別荘なら立派なベッドがありそうだけどねぇ。でもあまり立派なものでもねぇ……」


 エディとニックの話に、俺も頷いた。

 やはり山小屋だからなぁ。あまり場にそぐわないようなベッドでは、ウイル小父さん達のもの笑いの種になりそうなんだよなぁ。

 かといって、あまりにもお粗末ではパット達に何を言われるか分かったものじゃない。

 ウイル小父さんがパット達に選ばせるように仕向けたのは俺達の為を思っての事だろう。


「おっ! 国道から逸れたぞ。最初の別荘かな?」


「アメリカ人は外と中では、どちらに金を掛けるんだい?」


「俺なら、中身だな。だって、そこで暮らすんだろう?」


「俺も、そうすると思うな。外なんて入れば分からないからね」


 エディの答えにニックも同意している。外面は気にしないということなんだろうな。日本人なら先ずは他人がどう見るかだからなぁ。

 やはり国民性の違いは大きいようだ。だけど、このままこの国で暮らすことになりそうだからエディ達から色々と学ばせて貰おう。


 ピックアップトラックが停まったところで、荷台から降りて別荘を眺める。

 確かに大きいな。これで1家族が夏の間だけ過ごそうなんて考えるんだからスケールが違い過ぎる。

 レディさん達も降りてきたので、玄関に向かって歩き出した。

 玄関扉にスプレーペイントで『〇』が描かれているから、別荘内の調査は終わっていることになるんだが、ここは用心した方が良さそうだ。

 ホルスターからワルサーを引き抜き、バレル先端にサプレッサーを取り付ける。

 ゆっくりと扉に右手を伸ばして、後ろの連中に顔を向けるとそれぞれ武器を手にして俺に頷いてくれた。


 勢いよく扉を蹴飛ばして開くと、中に飛び込み素早く左右の確認を行う。

 動くものが何もないことを確認したところで、右手で皆に入るよう合図を送る。

 そのままエントランス兼用のリビングを奥に進みながら、階段と奥に続く扉に視線を向ける。


「いないようだな。この作りなら、2階に寝室がありそうだ。ここでオリーと監視をしているから、2階を見て来るが良い」


「そうします。それでは監視の方をよろしくお願いします」


 6人で2階に上がり、左右に置かれた部屋を1つずつ確認することにした。

 最初の部屋は寝室だった。キングサイズのベッドが置かれている。しゃれたドレッサーが置かれているから、パット達が中身をチェックしている。気に入った化粧品があれば頂くのかな?


「これは大きすぎるんじゃないか? 俺達3人が横に寝られるぞ」


「これならエディがベッドから落ちることは無いだろうけどね。だけど持ち帰った時の皆の反応が怖くなるよ」


 俺とニックの言葉に、エディも頷いている。

 さて次の部屋に向かうか……。

 ドレッサーから布製のバッグに何点か化粧品を失敬したパット達も、ベッドには無関心のようだからね。


 寝室の向かい側は子供部屋だった。

 シングルベッドが2つあるけど、これなら俺達が今使っている2段ベッドを分離すれば済む話だからね。

 直ぐに次の部屋に向かうと、今度はどうやら客室のようだった。クイーンサイズのベッドとシングルが1つずつ置かれている。


「これなら良いんじゃないか? ちょっと動かしてみようか」


 エディの言葉に3人で動かそうとしたんだけど、結構な重量だ。

 なるほど分解して運ぶという意味が理解できた。

 直ぐにエディが部屋を飛び出して、工具を取りに向かった。


「これにするの? 確かに丁度良さそうだけど……」


「そっちのクローゼットに寝具が入ってるんじゃないかな? ベッドだけでは寝られないからね。シーツに毛布、それに布団があると思うんだけどなぁ」


 そうなると梱包用の紐だって必要になって来るぞ。

 そんな用意はしてこなかったからなぁ。ダイニングで使えそうなものを探してくるか。


「荷物が多くなりそうだから、梱包用に使えそうなものを探してくるよ」


「なら私も一緒に行きます」


 七海さんが名乗りを上げてくれたので、2人で1階に降りていく。たぶんリビングの奥は台所なんじゃないかな。近くにはストック用品やちょっとした補修機材を置いているに違いない。細めのロープか紐があるとすればそんな場所だろう。


「どうだ? 見つかったか」


「良さそうなベッドを見付けたんですけど、ちょっと重いんです。分解して運ぼうと考えてます」


「私達はここで見張るから、ゆっくりと作業をしても問題ないぞ」


 オリーさんと一緒にソファーに座って、小さなテーブルの上でコーヒーを沸かしている。

 出来たら俺達にも飲ませて欲しいな。


 七海さんと奥の扉を開けると、やはりダイニングだった。

 ゾンビの気配はまるでないから、安心して戸棚を開けて中を物色する。


「結構調味料が残っています。それにドーナッツの元なんかもありますよ」


「未開封の品物なら、持って帰ろうよ。メイ小母さんがまだ使えるかどうか判断してくれるんじゃないかな」


 俺が荷造り用の品物を探し、七海さんは残った食材で使えそうな品物をテーブルの上に並べだした。

 30分ほど掛かって、細めのロープやジップロックのビニル袋、ガムテープにハサミなどを見付けたところで、倉庫にあった布袋に詰め込んだ。

 七海さんの方は調味料を竹製のバスケットに詰め込み、食材は大きな布袋に詰め込んだようだ。七海さんに先に客室に向かって貰い、俺は食材を詰めた布袋とバスケットをリビングの玄関口へと運ぶ。


「まだ食材があったのか!」


「どうやら、ここは食材の調達をしていなかったようです。粉物ばかりですけど、フリーズドライの食品もかなりありましたよ」


「良いお土産が出来たな。丁度コーヒーが出来たところだ。もう直ぐサミーの仲間達も降りて来るだろう」


 レディさんが俺に座るように言って、シェラカップに入ったコーヒーを渡してくれた。オリーさんがシュガースティックを2本渡してくれたから、ありがたく頂いてコーヒーに入れる。

 どこからか見付けてきた灰皿には吸い殻が2本。俺もタバコに火を点ける。


「サミーが見つけてくれたおかげで、荷づくりができるよ。分解も少しは進んだぞ。この調子で行くと、ベッド1つが1日と言うところだな。雪が降る前には終わるんじゃないか」


 エディがソファーに腰を下ろしながら経過を話してくれた。


「食材を見付けたんですって! ドーナッツの元なら大歓迎よ。去年から食べてなかったものね」


「おかげでスタイルが良くなったじゃないか。あまり高カロリー品は食べない方が良いと思うんだけどなぁ」


「たまになら、問題は無いと思うわ。ゾンビの前は、それなりに食べてけど……」


 クリスに弁明は少し苦しいなぁ。オリーさんが苦笑いを浮かべているぐらいだからね。


「帰ったらすぐに母さんに頼んでみるよ。子供達だってクッキーばかりじゃ飽きてしまうだろうし」


 ニックが上手くフォローしてくれたようだ。俺もその方が嬉しいんだけどね。


「エディ、やはり運搬するのは夕暮れ近くになりそうか?」


「そこまで遅くはならないかと思います。だけど、俺達が乗ってきたトラックで運ぶのは困難かと」


「それなら私達は一度山小屋に帰るとしよう。昼過ぎに小型トラックを運転してくるぞ」


 ここにいても退屈と言うことなんだろうか?

 どちらにしても運ぶ手段は必要だからね。ありがたくレディさんの申し出に皆で頷くことにした。


 コーヒーを飲み終えたところで、俺も一緒になってベッドの分解を始めた。

 結構な数に解体できるんだな。後で合わせ部分を間違えないように、外したか所には1つずつ文字をマジックで書き込んである。接合部分だから大きく書いても完成した後で見ることは無いからね。

 毛布やシーツも夏用冬用があるらしい。あるだけまとめて小さくたたんで寝室から見つけてきた大きなシーツに包んで細いロープで梱包することにした。

 さすがに梱包は力仕事だからエディに任せてしまった。


「問題はマットだよなぁ。こればかりはこれ以上小さくならないぞ」


「シーツで包んで運んでいこうよ。綺麗なマットなんだから汚したくはないからね」


マットの運搬だけでも4人掛かりだからなぁ。薄いマット2つの方がありがたいと思うのは俺の我儘かもしれないな。

 

 何とか分解してリビングと客室を何度も往復して運搬の準備を終えた時には、すっかり疲れてしまった。

 コーヒーを沸かして、ゆっくりと休んでいると外から車の音が聞こえてきた。

 どうやら運搬手段のトラックが到着したようだ。

 だけど、その前に先ずは一休みしよう。若くても疲れることは変わらないからなぁ。

                ・

                ・

                ・


「かなり疲れた様子だが?」


「あれほどマットが重いとは誰も思ってなかったんです。それに結構な数に分解しましたし、夜具も夏冬用あるだけ運んできました。今夜は直ぐに眠れそうです」


「まぁ、初回でヒットしたようなものじゃな。明日も同じように直ぐに見つかるとは限らないぞ。ワシ等ものんびりと始めておるからのう。さすがにエディ達の方が早く終わるに違いない」


 焚火の周りで寝そべってしまった俺達を見て、ウイル小父さん達が呆れた表情で見てるんだよなぁ。

 だけど自分でも頑張ったと思うんだ。しばらくぶりで力仕事をした感じだからなぁ。

 運んで来たベッドは、トンネル駐車場内に仮置き中だ。

 俺達の部屋が出来たところで、個別に組み立てることになる。


「そういえばロッカーを忘れてたぞ。明日はロッカーも見つけて来ようぜ」


「そんな話だったな。すっかり忘れてたよ。夕食時にでもパット達にも話しておくよ。選ぶのは彼女達だからね」


 俺達だと、後々碌なことにならないのは確実だからなぁ。駐車場の部品入れになりかねない。

 七海さん達はどんなロッカーを選ぶんだろう? ちょっと楽しみでもある。


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