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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-706 大きなオフロードバイクを送ってくれた


 ウイチタ市のジャンクション偵察から帰った夜に、レーヴァさんの搭乗する指揮車に士官達が集まる。さすがにキャビンでは狭くなるから、道路際に焚火を作ってその周りを士官達が囲むことになった。

 レーヴァさんが州間高速道路135号線の状況を、俺がウイチタ市市街地も並みのジャンクションの状況を皆に報告する。

 スクリーンとプロジェクターを用意していたから、状況を80インチほどの画面として見ることが出来る。

 同行しなかった士官達にも十分に状況を理解することは出来たんじゃないかな。


「……すると、オクラホマ・シティへの道にはそれほど放置車両が無いということですか!」


「邪魔な車両は跳ね飛ばしてきたから、真っ直ぐに進めるぞ。もっとも50kmほど先までだから、誘導が始まったなら常に我等の前方10kmをクリアにしておきたいところだな」


 その先をどうやって偵察するか……。軍事衛星からの映像だけではゾンビの推測が出来ないからなぁ。

 

「明日の誘導前の待機場所も問題ですねぇ。最悪はこの場所ということになるんでしょyが、できれば接近したいところです」


「餌は多い方が良いってことだな。俺達は馬の前のニンジンってことか」


 そう言って笑い声を上げるのはあ見たことのある軍曹だった。ストライカーの車長かな。


「南は動き出してから、1両を先に向わせねばなるまい。待機場所は、川の南で良いだろう。あまり近付きたくはないからな。攻撃開始前にドローンで周辺警戒を行ってくれ。ゾンビが200m以内に近付いたなら発砲を許可するが、なるべく分隊狙撃兵に任せるんだぞ。それと明日の移動前には全員のライフルにサプレッサーが付いていることを確認して欲しい。だが、誘導を開始したならサプレッサーを外すんだ!」


「ライフルの発砲音もゾンビを誘導する手段に使えるということですか。了解です!」


 1時間ほどで散会になったけど、レーヴァさんが俺を残したんだよなぁ。

 何かあるのだろうか?


「明日の作戦開始時刻に変更はない。ヒューストンのイージス艦から発射するトマホークがウイチタ市の北部にクラスター弾をばら撒く。3発発射するそうだが、クラスター弾だからなぁ。あまり派手さは無いんだが、次の爆撃は派手かもしれんな。全て焼夷弾にすると少将殿が言っていたよ。作戦開始前に、サミー達にプレゼントを贈るそうだ。何を送ってくるのか笑い声だけだったんだが……」


「使えそうなら、嬉しいんですけどねぇ。俺も予想がつきませんよ。案外、ここで消費したジャックの補充かもしれませんね」


「全くだな。一応義母になるんだろうが、クレディが煙たがるのは無理もないな」


「ちょっと、ユーモアのセンスがズレているのかもしれませんね。でも常に俺達の事を考えてくれますし、相手の技量をしっかりと把握しているんですよねぇ。稀に見る戦略家ですよ」


 苦笑いを浮かべたレーヴァさんが、俺に近付いて肩を叩く。


「皆が煙たがっても、ここに理解者がいるってことか。少将殿がサミーを気にいるわけだ。バックに付いてあげたいとこの間も言っていたぞ」


 ここでいうバックとは、レディさんの家系に入れて上げるということになるんだろうけど、それもねぇ……。


「姓を変えることはしませんよ。少なくとも千年以上続いている家系ですからね。生憎とまだ男子に恵まれませんが、その時には娘の誰かにあの紋章を引き継いで貰います」


「あれを部隊旗に欲しがる奴が多いそうだ。さすがに同じ物を作ることはないだろうが、似た形の部隊旗をその内に目にすることになりそうだぞ」


 部隊旗は自由に作ることが出来るそうだ。それと同じ物が現在使われていないことが条件ということだから、結構おもしろいものがあるんだけどね。


「それにしても何を送ってくるんでしょうね? それを考えると眠れなくなりそうです」

「使えないと判断したなら、道路の傍に置いて置けば良いだろう。此処を本隊が通過するんだから、その時に回収してくれる。あまり考え過ぎるなよ。明日は、指揮車に搭乗してくれないか? フクスの方はシグ中尉がいれば何とかなるだろう」


 確かに、指揮車にいた方がレーヴァさんも都合が良いだろうな。

 そうなると、俺達の調整をしないといけない。

 急いでフクスに戻ると、オルバンさんを読んでキャビンで話合うことになった。


「少将殿からのプレゼントですか? ワインであれば大喜びなんですけど、私もジャックに1票ですね」


「困った少将殿だが、使えそうにないなら道に放置というレーヴァンの考えが一番に思えるな。後方での考えと前線での考えがいつも一致するとは限らん。それよりサミーがこの車を離れる方が問題だ。私では誘導を上手く行えるとは思えんからな」


「その移動なんですが、シグさんも同行してください。フクスの指揮はオルバンさんにお願いします。ここで俺達からの指示を受け取り、ドローンやノイズマシン、ジャックの制御を行って貰います」


 シグさんが俺に視線を向けて目だけで微笑むと小さく頷いてくれた。どうやら俺の意図を理解してくれたらしい。


「私がですか? 明日はドローンの装備変更で忙しくなると思っていたんですが……」


「それはニック達に任せられるでしょう。ジュリーさんが手伝ってくれます。お願いします」


 ちょっと首を傾げていたけど、頷いてくれた。

 通信はシグさんとジュリーさんが行ってくれるだろうから、俺はモニター画面とヘッドホンの音を聞いていれば十分だろう。


「上手く運べば明日の15時以降は忙しくなるぞ」


「そのまま夜も走り続けることになりますから、今夜はゆっくりと休んでください」


 一旦動き出したら、ゾンビは足を止めることなく進むからなぁ。

 ゾンビの先頭集団から、300m程の距離を保ちながら誘導するんだから、最後尾の車は1時間程の間隔で順次交代させなければ神経が待たなくなりそうだ。

 そんな状況をジッと指揮所で眺める俺も眠るわけにはいかないだろう。

 明日に備えて今夜は早くに横になろう……。


 ハッチを乱暴に叩く音で目が覚めた。ルームライトでテーブルに乗せておいた腕時計を見ると、まだ6時前じゃないか!

 

「今、起きました。何かあったんですか?」


 ハッチに向って大きな声で答えると、ハッチを叩く音が止んだ。

 起きないといけないようだな。問題が無ければもう一眠りできるかもしれない。

 戦闘服は着たままだから、ブーツを履いてハッチを開ける。

 まだ朝日は昇る前のようだが、すでに周囲は明るいんだよね。このまま起きることになりそうだ。


「面白いものが届いたぞ。たぶんサミー用だな」


 エディが大きな笑みを浮かべて俺の肩を叩く。「あっちだ!」と俺に付いてくるように言うと走り出す。

 そんなに急ぐことなんだろうか?

 向かう先は、レーヴァさんの乗る指揮車両のようだ。その先に人の輪が出来ている。何か見つけたのかな? 変な物じゃないと良いんだけどね。


「大尉殿。連れてきました!」


「サミー、こっちに来てくれ。昨夜の件はこれだったようだ……」


 レーヴァさんの声に、兵士達が俺を輪の中に入れるよう身を寄せてくれた。 

 5m程の輪の中にあったのは2台のバイクだ。

 狩りで良く乗り回しているバイクよりもかなり大きいんだが、形はオフロードバイクそのものだな。


「あれば楽だとは思っていたんですが……」


「全く、少将殿とサミーはテレパシーで繋がっているのかと思ったぞ。となると……」


「もう1台は、私が乗ろう。大丈夫だ。かつての愛車はハーレーだからな。似たようなものだろう」


 ハーレーはツーリングバイクだと思うんだけどなぁ。でもこれよりも大型バイクということは間違いないから安心できるのかな?


「だが出掛けるのは動き出してからにしてくれよ。それまではこの指揮車でアドバイスを頼みたい」


「了解です。でもこのバッグには何が入っているんですかねぇ……」


 左右に振り分けられた革製のバッグを開けると、片側には携帯食料と水のボトル。もう片方には手榴弾が入っていた。バッグの中で動かないよう1個ずつベルトで止められている。


「こちらにはトランシーバーが入っているな。20kmほど先を偵察するならこれで十分だろう」

 

 ガソリンを入れたジェリカンも2つ運んできたみたいだ。よくもあの小さなヘリで運んで来たと感心していたら、シグさんが運んで来たのはC-130で低空飛行をしながらパラシュートで落としたと教えてくれた。

 となると、それ以外にも本体に色々と物資を運んで来たのかもしれないな。

 マリアンさんの事だ。たっぷりと砲弾を送って貰ったに違いない。


「指揮車は何時でも先頭位置にいるから指揮車にこれを乗せるカーゴを取り付けておくぞ。朝食前に装備を調えておいた方が良いだろうな。朝食後は指揮車に移動だ」


「マーリンを背負う形になりますね。シグさんもサプレッサーは事前に取り付けて置いてくださいよ」


「大丈夫だ。ハーレーとこのバイクはかなり違うな」


「オフロード用ですからね。でもこれで狩りは出来そうにありませんね。これは荒地を長く走るためのバイクに思えます」


 重量感が半端じゃないからなぁ。狩りに使っているバイクの2倍の重さがあることは間違いないだろう。それに、どう見ても4サイクルエンジンだ。

 エンジンが大きいということは、それだけ安定した長距離走が出来るということなんだろうが、クッションがねぇ……。あまり長時間座りたくないくらい硬いんだよなぁ。


 レーションの朝食を済ませると、車列を組んで最初の待機場所へと移動する。

 橋の南のジャンクション。此処なら周囲の監視が出来るし、ドローンを上空に上げれば攻撃の様子も良く見えるだろう。

 こちらの準備が全て終わった事を、レーヴァさんが本隊に伝える。

 時刻は9時半になったばかりだ。

 攻撃開始は10時丁度だからね。5分前にドローンを上空に上げれば良いだろう。

 指揮車のキャビンでレーヴァさん達とテーブルを囲みながら、地図を眺める。

 今なら忘れたことがあっても、何とか間に合わせることが出来るだろう。

 そんな思いで眺めていたんだが、オルバンさん達がいるからなぁ。用意は万全ということになるんだろう。


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