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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-691 ヒューストンまでのルートが決まりつつあるようだ


 予定時刻5分前に会議室に入ると、半数ほどの席に士官達が座っていた。

 テーブルのネームプレートの名を確認して席に座ったのだが、此方側に座っているのは陸上艦隊の関係者ばかりだ。向かい側に座っているのはウイル小父さんに副官のエンリケさんだ。その隣にオスカーさんがいる。デンバー市内のゾンビ掃討はオスカーさんが最前線に立っているのだろう。

 定刻3分前に、マリアンさん達が入ってきた。これで席が全て埋まったな。


「これで全員が揃った。ようやくサミーが戻ってきたから細部の調整も合わせて行い所だ」


「そうね。それでは、これまでの合意事項を整理しましょう。リンダお願い!」


 横の壁に取り付けられたモニターは100インチはありそうだな。おかげで10三条離れたこの席からも映し出された項目を読むことが出来る。

 数行の羅列だから、基本事項ということなのだろう。

 それを読むと、テキサスを始めとした4両のホールトラックを全てデンバー空港の部隊に譲渡するとのことだ。

 新たにマリアンさん達が使うのは……、戦車輸送トレーラーだと!

 デンバーには無かったようだけど、他の基地から鉄道を使って運んできたようだな。

 

「トレーラーの改造に時間が掛かりそうだけど、予定通りに4月上旬に南に向かいたいわ」


「あの戦艦を貰えるのは嬉しんだが、その見返りがなぁ……。25号線から東のゾンビを一掃するのは簡単ではないぞ」


「移動要塞として使うのが一番じゃないかしら。道路を選べば移動速度はゾンビを上回るんだから。ラッシュを前にしてもゆっくりと後退出来る筈よ」


 ゾンビの動きを見る限り、トラック側面を上るのは至難の業に違いない。重量もあるからひっくり返されることも無さそうだ。掩体の中から攻撃するなら死傷者も出ないだろう。


「やっては見るが、そもそもあの化け物に追従させる部隊は2個小隊ほどだからなぁ。長い目で見ていて欲しいところだ」


「戦力不足は、どの部隊も嘆いているでしょうね。私の所も同じよ。とはいえ、機動性を妨げていた騎兵隊が別任務に就いたから、進軍速度は上がる筈よ。広域偵察部隊を要求してはいるんだけど、あまり見込みはなさそうね」


「俺達の所に増員して欲しいところだ。ここはとにかく人手が足りんからなぁ」


 足りなければ足りなくても良いように作戦を変えるべきなんだろうが、大都市のゾンビを掃討するとなるとどうしても兵士が足りなくなるんだよなぁ。

 掃討範囲を小さくして、少しずつ版図を拡大するしかないように思えるんだけどねぇ。


「それで少将達は25号線を南下するということになるんだな?」


「25号線も魅力ではあるんだけど、前回同様に70号線を東に向かうのも良さそうに思えてきたの。サライナ町で装甲列車から補給を受けられるでしょう? 距離は約600kmだからストライカーの燃料が殆ど無くなるわ。サライナで最後の補給を受ければ、部隊のタンクローリー2台を使い、オクラホマを越えテキサスに到達できるでしょう。レッドリバー付近まで進出出来たなら、ヒューストンから燃料空輸が出来る筈よ」


 鉄道はアムトラックの路線がデンバーからダラスを経由してヒューストンまで繋がっているんだが、途中に人口数万の町が点在している。陸上艦隊の進軍速度に合わせて路線を装甲列車で確保するのはかなり難しいだろうな。それにダラスを無事に通り抜けるまでにはかなり時間が掛かりそうだ。

リンダさんがモニターに地図を表示して、レーザーポインターで経路を示してくれた。

デンバーから70号線をラトゥーンの町まで進みラトーンで25号線に乗り換え、さらに87号線そして40号線に乗り換えるようだな。狙いはダラスということになりそうだ。今年最大の目標に違いないが、これは補給が大問題になってしまうだろうな。


「それならデンバー開放を急ぐこともなさそうだが?」


「早目にデンバーを落とさないと、ダラスが動き出しかねないわよ」


 マリアンさんの言葉に、ウイル小父さんがエンリケさんと顔を見合わせている。

 デンバーを開放してお終いにしようと思っていたに違いない。でも、世間はそれを許さないということかな?

 待てよ。そうなるとマリアンさんはダラスのゾンビを掃討しようとは考えていないということか?

 可能な限り都市を破壊してウイル小父さん達に後を託すということになるなら、かなり無茶な要望だな。


「さすがにダラスを攻略するとなると、中隊規模の増援では済まなくなるでしょう。デンバーの掃討を終えたとしても、周辺部にはまだまだゾンビがいるんですから、デンバー空港の部隊を全て動員することは出来ないでしょう」


 俺の言葉にその通りという表情で、ウイル小父さん達がマリアンさんに顔を向けているんだよなぁ。


「あら! サミー君らしくないわね。ダラスのゾンビを誘導することは出来るでしょう? 誘導先は……」


「ヒューストン! まぁ、出来そうではありますが、ヒューストンはクロードさん達が散々叩いていますし、テキサスシティ奪回時にかなりのゾンビが南に移動していますよ」


「人為的な大規模ラッシュが始まれば、再び同じ都市に戻るゾンビは少数だと聞いたことがあるわ。ダラスのかつての人口は130万人。周辺部を含めれば数倍になるでしょうけど、核が2発落とされているわ。推測では70万体のゾンビになるんだけど、ノイズマシンでゾンビを集めクラスター弾頭のトマホークで始末して行けばかなり減らせるはずよ。それにM777が4門、M119が12門あるから、ダラスにかなりの砲弾を撃ち込めるわ」


「それが一段落したところでゾンビをヒューストンに誘導という事か……。良い町なんだがなぁ」


「将来的には記念碑は必要でしょうね。でも今はゾンビの巣窟として割り切りたいわね」


 そう言うことになるんだろうな。

 かつての都市は昔話になってしまいそうだ。千年も先には伝説になるかもしれないな。

 それも歴史ということになるんだろう。

 ゾンビが全て駆逐された世界は、どんな風に発展していくのか見てみたいものだ。


「分かった。だが、あくまでデンバー周辺を含めたゾンビの掃討を終えてからになるぞ。この空港を2個小隊規模の戦力で維持できるようになったなら、あの陸上戦艦をダラスに向けて進めても良さそうだ。しかし、最終判断はペンデルトンで行うことになるだろう」


「さすがにウイル大尉に直接指示は出せないわね。今の所は、要望として聞いてくれるだけで十分よ」


 少しずつ外堀を埋めるつもりだな。そうなると次の被害者はペンデルトンの地下指揮所にいる中将ということになるんだろうな。


「サミーに確認だが、例の部隊は役立ちそうか? デンバーに地下施設があるとは思えんが、ビルには必ず地下室があるからなぁ」


「思った以上に使えそうです。基本は地下に部隊を送ってゾンビを掃討することになるでしょうが、それが出来ない場合はポンプ車で地下を水没させます。空軍基地で最新型の消防車を手に入れたようですよ」


「それぐらいなら俺達で行っても良さそうだな。ビルの地下構造が複雑でゾンビが多数いるようなら、水没させてしまおう」


「でも1部隊なんでしょう? もっと部隊を増やせないのかしら?」


「何といっても兵員不足ですからねぇ。統合作戦本部も頭が痛いに違いありません。軍に志願する若者は多いということですが、直ぐに第1線というわけにもいかないでしょう。元日本人の志願兵の傍には常に歴戦の伍長がいましたよ。」


「そうなると、第2線で活躍している兵士を貰うのが一番ということになりそうね」


 どの作戦指揮所も同じことを考えているんじゃないか?

 さすがに第2線部隊全員というわけにもいかないだろうから、中隊規模の兵士を第1線に振り分けるぐらいだろう。となると、各線区には1個小隊規模の増援にしかならない。

 やはり現状で出来る範囲で頑張るしかなさそうだ。


「マリアンさん。先程の話によると、ホークアイを1個分隊増設したんですか?」


「増員というより、工兵部隊の有志が4両を運用するの。即応が8門で計画的に使う場合は12門になるわ」


 増えたわけではないんだな。となると、騎兵隊を失っているから実質的には1個中隊が削減されたことになる。地上攻撃部隊は2個小隊のままらしい。俺達先行部隊も全部で5分隊だからなぁ。やはりゾンビを遠距離から攻撃することが陸上艦隊の基本になりそうだ。


「サミー君が考案した短距離ロケットランチャーを、部隊のストライカーの半数に設置したわよ。あれを使うことがないようにしたいところだけどね」


「先行部隊だけで良かったようにも思えます。あれは釣り出し過ぎた時に使うつもりですから」


「結構使えそうだと、あちこちから引き合いがあるみたい。ウイル大尉も数門手に入れたわよ」


 ウイル小父さんが笑みを浮かべて頷いている。期以降外れの空き地でしゃぐぇき演習でもしたのかな?


「射程は短いが、あれならグレネード弾をオートで撃つよりも効果がありそうだ。ランチャーを5度上げて300mだが、30度まで上げると500mまで飛距離が延びるぞ」


 万が一の事態に備えておこうと思って製作依頼を出したんだが、ウイル小父さん達は積極的に使うつもりなのかな?

 兵器は使い方次第。それは指揮官としての応用力が試されそうだ。

 

「話を基に戻すわね。現在は資材を集めている最中になるわ。それにテキサスとラングレーの代替トレーラーが製作中なの。アメリカの車に横幅の制限があるとは思わなかったわ。再設計して組み上げているところなの」


 通常の自動車は横幅が2.5mだからなぁ。これは2車線道路の通行を考慮した値らしい。だけどフクスの横幅は3m近いんだよね。案外例外があるんだろうけど、マリアンさんが望むトレーラーの大きさは横幅が5m前後になるだろうからなぁ。


「レーヴァ達にも、良い機会だから車両を点検するように言ってあるわ」


「それで、エディ達がフクスの改造をしていたんですね。手伝わせては貰えないかもしれませんが、終わった後の試験走行は確実に行います」


 エディ達の話からでは数日で終わるとも思えないんだが、その辺りの予定も確認しておかないといけないだろうな。


「ぜひそうして頂戴。出発は来月の初めにしたいわ。まだ周辺に雪は残ってるかもしれないけど、道路の雪は融けている筈よ」


 2週間ほどの余裕があるということになる。

 山小屋に一度戻って七海さん達の状況も確認しないとなぁ。

 それに、生まれる頃に山小屋に戻れるという確証も無いからねぇ。生まれてくる子供の名前も相談しておきたいところだ。


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