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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-053 同行者はエンリケさんとテリーさん


 海兵隊の1個小隊はグランビイの町から線路を西に向かってゾンビ掃討を継続している。7月の終わりにはホット・ソルファー・スプリングスを終えて、クレムリングの町で活動しているみたいだな。さすがに今年中にグランドジャンクションからゾンビを無くすのは困難だろうけど、グランドジャンクションの解放の足掛かりぐらいは作りたいみたいだ。

 5日おきに、1個分隊がグランビイの町に休養のために戻って来る。

 駅でウイル小父さん達が待ち構えて様子を聞いているみたいだが、今のところは順調に推移しているみたいだ。


 さて、もう1つの東の調査は、ライルお爺さんの体調不良で実施が伸びてしまった。

 トロッコの整備をしていた時に、腰を痛めてしまったらしい。

 最初は「何のこれしき!」なんて言っていたけど、一向に良くなる気配がない。

 オリーさんに「しばらくは山荘で静養!」と言われた時のがっかりした姿は、見ている俺達も気の毒に思えたほどだからなぁ。


「まぁ、爺さんは頑張ってる方だ。たまにはのんびりすることだな。『暇だ!』なんて言って、車をばらさないでくれよ」


「バラしたくとも、この腰ではジャッキも動かせんわい。じゃが、そうなると東はどうするんじゃ?」


「エンリケをリーダーに、5人で行ってもらうことにした。ニック達にテリーで5人になる。

 最初だからなぁ。トンネルを抜けられるかが一番知りたいところだし、上手く抜けられたならローリンズビルを経てデンバーに向かう事になるが、どこで引き返すかはエンリケに判断して貰おう。短波が使えるトランシーバーを持っていくんだぞ。SSBなら届くとは思うんだが、繋がらない時には直ぐにモールスに換えてくれ。周波数は分かっているな?」


「28.19Mhzですね!」


「そうだ。さすがに100Mhzを越えるトランシーバーでは無理だろうからな。ここのコールサインは『MR:マイク ロメオ』だが、サミー達のコールサインは『ME:マイク エコー』にするぞ。エディ、エンリケと上手くやってくれ」


俺達3人を前に、ウイル小父さんが東の調査に向かう人員を教えてくれた。

「マイク エコー」ねぇ……。エンリケさんも元軍曹だったのかな?

 残念そうな顔をしてライルお爺さんがパイプを咥えているけど、腰痛ではねぇ。


「昔は直ぐに治ったんじゃが、さすがに歳には勝てんよ。お前達ならきちんと出来るじゃろうが、無理は禁物じゃ」


「了解です。これまでも無理はしていませんし、これからも無理はしないと誓います。それで出発は?」


「明後日の朝だ。準備は終わってるんだろう?」


「一応終えていますが、銃はどれを?」


「M16にサプレッサーを付けて行け。手榴弾も忘れるなよ。だが、使う時にはエンリケの指示があった時だけだ」


 今回は俺もM16を使えるらしい。

 イエローボーイも気に入っているんだけど、やはり統一は必要なんだろうな。

 ワルサーも一応持っていこう。サイドアームは大事らしいからね。


「サミーのイエローボーイを後で持って来いよ。しっかりと整備しとくからのう」


 ライルお爺さんに礼を言って、俺達の部屋へと向かう。

 今まで使っていた銃とはしばしの別れだ。

 装備ベルトの弾丸ポーチから銃弾を取り出して空っぽにしておく。ワルサーのホルスターとマガジンケースはそのままで良いはずだ。

 イエローボーイをリビングに持っていくと、ライルお爺さんに手渡した。


「良い銃です。俺には出来過ぎた品ですよ」


「それが分かれば十分さ。こっちがサミーのM16じゃ」


 受け取ったライフル銃は、ちょっと小さく見えるんだよなぁ。エディ達が最初に使っていた品と比べると銃身も短く感じる。


「気が付いたようじゃな。それはM4カービンと言われるM16の派生銃じゃよ。銃弾は共通じゃ。ストックがテレスコピックじゃから中に緩衝ピストンが入っとるぞ。欠点は長距離射撃に向いてないとこと、それに連続射撃で熱を持つことぐらいじゃが、バースト射撃をしないなら気にせずとも良いじゃろう。ドットサイトは100mに合わせてある」


 ライルお爺さんの説明を聞いている内に笑みが浮かんでくる。

 M1カービンと同じように使えるなら丁度良い。銃弾も共通なら融通できるし、そもそもバースト射撃なんてもったいなく手出来ないからね。

 ありがたく受け取って部屋に戻ると、エディ達が荷物の運搬方法で悩んでいるところだった。


「リュックはいらないんじゃないか? ナップザックで十分に思えるけど」


 ニックの言葉に、エディが腕組しながら考えている。

 順調に進めば1日で帰ってこれるんだよなぁ。

 

「3食だろう? 予備の食料はカロリーバーが2個あれば十分だろうし、水筒以外にペットボトルで水を2ℓ。それに燃料缶とコッヘルだけだ。3人で分担すれば十分に思えるんだけど」


「それなら共通品を別のバッグに入れた方が良いな。30リットルサイズのダッフルバッグがあったはずだ。キャリーバッグは場所を考えるけど、バッグならカラビナを使ってどこにでも吊り下げられるぞ」


 俺の一言で、個人装備以外の品をダッフルバッグに詰め込んで行く。

 キャリーバッグはハードケースだけど、このバッグは帆布製だから結構詰め込める。コッヘルも少し大きめにした。コッヘル内に燃料缶がすっぽり入るのも助かるな。

 

「結局ナップザックの中は予備の銃弾にカロリーバー、それと食器ぐらいってことか……」


「さすがにブランケットは入らないから、畳んで外側にスリングで抑えておけば十分だろう。折って固定スリングに通してからこっちのスリングで抑えるんだそ。そうすれば、落ちないからな」


 エディの忠告に、俺達2人が小さく頷く。それぐらいは分かっているんだけどね。

 真夏だからなぁ。TシャツにGジャンで十分だろうが、夜は冷えるだろうから長袖のTシャツとフリースをナップザックに入れておいた。フリースはトランシーバーをくるむのにも丁度良い。

 帽子は……、顎紐を付けて貰ったアポロキャップで十分だろう。サングラスと耳栓はGジャンのポケットに入れてある。

 準備が整ったところで、ベッドに入る。

 明日は早いからなぁ。目覚まし時計を1つ貰ってあるから起きられるだろう。

 もっとも、ニックならベッドを抜け出して目覚まし時計を停めてしまうに違いない。その前に起きないとな……。

                ・

                ・

                ・

 けたたましいベルの音で目が覚めた。

 大きな伸びをしてベッドから降りると、ニックが眠そうな顔をして目覚まし時計を停めに机に向かって行く。

 ベルを停めて再びベッドに入ろうとするニックを揺さぶって、半分寝ていた頭をシャキッとさせる。


「今日は出掛ける日だぞ。ベッドに入らずに起きるんだ!」


「まだ7時じゃないか……。もう少し……」


 ともすれば目が閉じてしまうニックを後にして、エディを起こす。あの音で起きないんだからなぁ。

 体を揺すって起こすと、ニックよりも寝起きが良い。「おはよう!」と言ってくれたぐらいだからなぁ。


「今日は出発するんだったな。……ニック、早く起きないと、パットに蹴飛ばされるぞ」


 家とばされる! と言う言葉にニックが大きく目を開く。

 パットの蹴りはトラウマになってそうだ。


 10分も掛けずに身支度を終えると、ナップザックとライフルを肩に掛けてリビングに向かう。重いダッフルバッグはエディが持ってくれた。

 リビングの薪ストーブ傍にあるベンチに荷物を置いて、シャワールームに向かい顔を洗う。やはり冷たい水で顔を洗うと、目がすっかり覚める。それが終わるといつものようにリビングから広場に出て、朝日が昇る東の峰に向かい目を閉じて軽く頭を下げた。

 柵で見張りをしている人達と顔が合ったから軽く頭を下げて、一服を楽しむ。

 湖も今朝は鏡のようだ。天気は良さそうだし、風もない。

 旅をするには都合が良さそうだ。


 外で一服を終えてリビングに入ると、すでにニック達が朝食を食べていた。

 ちょっと遅れてしまったようだ。

 急いで朝食が乗せられたテーブルに着くと、七海さんがコーヒーを運んで来てくれた。


「今日出掛けるんでしょう? 必ず帰って来てね」


「大丈夫だよ。エディ達も一緒だし、本職が2人もいるんだからね」


「あの東の峰を抜けるのね。かなり長いトンネルだと聞いたけど」


「それが1番の楽しみでもあり、怖いところでもあるんだよなぁ」


 トンネルの規模が大きいということは、緊急避難のシェルターとしても使えるかもしれない。生存者なら良いけれど、ゾンビがいるかもしれないし、暴徒が済んでいることだってあり得るからなぁ。


 朝食を終えたところで荷物を手に山小屋を出ると、1台のピックアップトラックがアイドリングを行っていた。

 

「食料と水は用意してあるぞ! さぁ、乗ってくれ!!」


 俺達が荷台に乗り込むと、テリーさんが満足そうにうなずいて助手席に乗り込んだ。

 窓から顔を出して、「出発だ!」と声を掛けてくれる。

 山小屋の外に出て俺達に手を振っている七海さん達に手を振ると、荷台に背を預けてエディ達と一服を楽しむ。

 グランビイの駅まで30分は掛からないけど、一服するには十分なはずだ。

 

「今日中に帰って来ることになるんだよなぁ」


 残念そうな声で呟いたのはエディだった。

 予定ではそうなんだけど、場合によってはと言うこともあるんじゃないかな。


「上手くトンネルを抜けられるかが今回の最大の課題だよ。トンネルを抜ければ、100km先にあるのはデンバーだからね」


 ニックの慰めで、エディの顔に笑みが浮かぶ。


「さすがにデンバーまでは無理だろうけど、近くまではいきたいところだね」


 それが2番目の目的になるはずだ。

 エンリケさんが危険と判断するのはどれほど近付いてからになるんだろう?

 線路上に10体程なら強硬突破しそうにも思えるんだよなぁ。

 M16よりもショットガンの方が良かったかもしれない。今回の作戦によっては、東への足掛かりを作る際の武装の見直しも必要になるかもしれない。

 色々と課題がありそうだな。エンリケさんも苦労しそうだ。


 さすがに疲れが出てきました。

 ストックも残り敷く無くなりましたので、月曜からは1話/日になります。

 今後ともよろしくお願いします。

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