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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-050 町の様子を見るもう1つの方法


 グランビイに到着したのは14時を少し過ぎた頃だった。

 迎えに来たウイル小父さんやバリーさんが俺達の荷物をピックアップトラックに積んでくれる。

「先にトラックに乗っていろ」と言われたんだけど、俺達は荷台の上なんだよなぁ。荷物を受け取って、邪魔にならないところに重ねておく。


「どうにか、帰ってこれたなぁ。後ろからでもグランドジャンクションの線路に群れているゾンビを見ることができたよ。ニック、ちゃんと撮ったんだろうな?」


「数枚撮ったよ。1枚では上手く写らないときに何を言われるか分からないからね。パットも撮ったはずだから安心できるよ」


 それなら安心だと、エディと顔を見合わせて頷いた。

 意外と肝心な時に、ニックはミスるんだよなぁ。

 ウイル小父さんがトランシーバーを使って連絡しているのは、最初にやって来た海兵隊のジョナ少尉に違いない。今夜19時から報告会を開くと伝えていた。


「さて、帰るぞ! だいぶ遠くまで行ってきたな。予定では手前の町までだったんじゃないか?」


「あまりゾンビを見掛けなかったからのう。ゾンビの移動はやはり道路と言うことになるんじゃろうな。グランドジャンクションは駅近くに線路の分岐路が沢山ある。たまたまそこで大きな音でも立てたのかもしれん」


 大きな音、それとも町から駅に逃げた人が多かったか……。


 20分ほどで、山小屋に到着する。

 自分達の荷物を下ろして、先ずは部屋に向おう。その後はシャワーだ!


 タオルで濡れた頭を拭きながら、リビングに足を運ぶ。

 外は日差しが強いけど、家の中は結構涼しくて過ごしやすい。それでも、薪ストーブの傍に行くのは習性みたいなものかもしれない。さすがに火は入っていないんだけどなぁ。

 ストーブの上に灰皿が乗っているから、先ずは一服だ。

 エディ達はまだ来ないようだな。


「ちゃんと洗ったの?」


 そんな言葉を掛けてきたのはオリーさんだった。

 渡してくれたグラスを受け取ると、氷が浮かんだオレンジジュースだった。


「ありがとうございます。ちゃんと洗いましたよ。でも俺はシャワーでなくお風呂に入りたいですね。工兵の人達が来ているみたい出すけど、大きな桶を作ることができるでしょうか?」


「桶ですって? どれぐらいのものかしら」


 俺の隣に腰を下ろして、ポケットから小さな手帳を取り出した。確認してくれるのかな?

 それならドラム缶を縦に2つ並べたぐらいの大きさが良いな。


「楕円形にするのね。それで、これにお湯を入れるの?」


「42度ぐらいの温度が丁度良いですね。裸になって入ればリラックス間違いないです。こっちの風呂は寝るようにして入るでしょう? 俺達は座って入りますから……」


「小さい子だと、溺れてしまいそうね。これを木で作るとなるとお湯を運ぶのは大変よ」


「冬に発電機を回したのは蒸気機関なんですよ。夏は水風呂でも良いですけど、冬なら蒸気機関の排熱を利用すれば簡単に思えます。蒸気機関が設置されている部屋の外側に石炭小屋があるんです。石炭を荷揚げできるようなちょっとした広場がありますから、その端に据えれば丁度良いかと……」


「おもしろそうね。さすがに広場には作れないでしょうけど、この桶が出来そうならサミーがウイルさんに許可を取るのよ!」


 何とかなるかもしれないな。

 思わず笑みが浮かべたら、オリーさんに顔を両手で抑えられてキスされてしまった。

 俺から両手を放すと、笑みを浮かべて片手を振りながら去って行く。

 やはりアメリカ人は良く分からん。特に女性はなおさらだ。


「おっ! いた、いた。直ぐに出て行ったから、心配してたんだぞ。……良いものを飲んでるな?」


 エディ達がようやくシャワーを終えたようだ。まだ七海さん達は来ないけど、さすがに女性よりも長いとなれば問題だろう。

 エディ達が腰を下ろすと、俺の眼の前にあるオレンジジュースに気が付いたみたいだ。


「オリーさんが運んでくれたんだ。直ぐに持って来てくれると思うよ……。ほら!」


 オリーさんが、3つのグラスを持ってやってきた。エディ達にグラウを渡すと、自分でもグラスを持って開いているベンチに腰を下ろす。


「やはり私も行くべきだったと思ってたのよ。グランドジャンクションの方には行ったことが無いんだもの」


「コロラド川に沿って線路が走ってますからね。眺めは最高です。普通の列車なら直ぐに通り過ぎるんでしょうけど、トロッコの旅はのんびりしてましたから……」


 目を輝かせて、オリーさんがニックの話を聞いている。

 景色のすばらしさは分かるんだけど、英語での表現力はそれほど無いからなぁ。ニックの話は俺の英語の勉強にもなる。


「やはり行くべきだったわ。次もあるんでしょうね」


「たぶん、それを今夜話合うんじゃないかと思います。19時に集合とウイル小父さんが連絡してました」


「集まるのは、海兵隊の分隊長以上でしょうね。工兵の分隊長や有志の代表も来るかもしれないわ……。そうなると、私も手伝わないと!」


 飲み終えたグラスを回収して、オリーさんが台所に向かった。

 何をするんだろうと、俺達が顔を見合わせているとウイル小父さん達がリビングに入ってきた。

 ライル小父さんとバリーさんが大きなテーブルに着くと、俺達を手招きしている。

 とりあえず行ってみるか。

 空いている席に座ると、ウイルさんが冷えたビールを持ち出してきたけど、ビールって正味期限があったようにも思えるんだけどなぁ。


「まだ10ダース以上あるんだ。まだ味は落ちてないぞ」


「頂こう。それなら少し分けてくれんか。バーボンも良いんだが、夏はやはりこれが一番だ」


 やはり気にはなってたみたいだな。そうなるとビールが無くなったら、ウイスキーかワインということになるんだろうな。

 酒もそうだけど、たばこも問題だ。コーラの正味期限も気になるな。


「さて、ニック達がたくさん写真を撮ってきたと聞いたぞ。先ずは見せてくれないか? サミー。通信機の机に小型のプロジェクターがある。エディはあの白版を運んで来てほしい」


 指示されるままに準備を始めた。ニックがポケットからSDメモリーカードを取り出して俺の渡してくれたので、プロジェクターのカード差込口に差し込んだ。

 ケーブルドラムを使ってコンセントに電源を接続すると、リモコンをニックに渡す。

 

「俺が説明するの?」


「撮影はニックだろう? 俺達はその写真をどこで撮ったか分からないからなぁ。補足は俺達にも出来ると思うけど」


「仕方ないなぁ……」そんな言葉を漏らしながらも、ニックが画像を白板に写し始めた。

 白板の画像を食い入るようにウイルさん達が眺めている。

 何時の間にか、メイ小母さんとオリーさんまでもが集まってきた。

  

「高速道路よりは鉄道の方が安心という事か……」


「だが、あのトロッコでは2個分隊が良いところだ。小隊規模で動かすとなれば、さすがに馬力不足になるだろうし、できれば客車と貨物車を連結して進みたいところだな」


 画像がグランドジャンクションを映し出すと、ウイル小父さんとバリーさんが席を立って、白板近くに近寄って眺め始めた。

 何度かニックに画像の拡大を指示しているのは、ゾンビの姿を良く見ようということに違いない。


「間違いなく爆弾を投下しているぞ。Mk.82辺りだろうな。それとMk.77を使ったらしい」


 エディが爆弾と焼夷弾だと教えてくれた。ナパーム弾はアメリカでは使われなくなったらしいが、今でも焼夷弾をナパーム弾と呼んでいる人がいるらしい。俺もその1人だった。


「道路はう回路を使うことも出来そうじゃが、線路はそうもいかん。駅構内がどうなっているか分からんのではソルトレイクは遠い存在になるぞ。駅に爆弾が投下されたか否かを確認せねばならんな」


「人口の多い都市部のゾンビ掃討にかなりの爆弾が使われているということになりますね?」


「必ずしも……、と言う事だろう。核を使った都市もあるようだが、人口数万の地方都市はアメリカにはたくさんある。全てに爆弾をばら撒くには数が足りんだろう。要衝となる都市に限って使っているんじゃないか? だが、数機ほどで都市爆撃を行っても、ゾンビを半減させることは出来ないだろうな」


 良くて2割にも達しないだろうと、小さな声が聞こえてきた。

 5万人がいたならその数だけゾンビがいることになる。2割削減したとしても、4万体が残ることになる。


「飛行場の滑走路が無事だと良いんだが……」


「ターミナルには大勢いたじゃろうが、滑走路にはそもそも人はおらんぞ。案外無事だと思っておるんじゃが」


「駅より高台にあるんですよ。ドローンでもあれば良いんですけどね」


 俺の言葉に、皆の視線が一斉に集まった。

 何か変な事を言ったかな? アメリカではドローンは嫌われているんだろうか?


「良いアイデアだ……。確かに良い手ではあるんだが……」


「線路から飛行場までは数kmあるんだ。さすがにそこまで遠距離になると、飛行機タイプになってしまうだろうな。出来れば定点観測が可能なドローンが良いのだが、それでも2km先ほどになってしまうだろう」


 ウイル小父さんはずっと考えているけど、バリーさんから理由を告げられて納得してしまった。

 確かに数km先ではねぇ……。


「ドローンではなく、ヘリコプターなら?」


 しばらく考えていたウイル小父さんが、にやりと顔を崩してライルお爺さんに問いかけた。


「練習機を使うと?」


「ああ、確か小さなヘリコプターがあったのを覚えている。エンジンはレシプロで排気量は爺さんの4駆よりも小さい。それでいて時速は100kmを越えるし、200kmは飛べるそうだ」


 玩具みたいなヘリコプターだな。だけど練習機に使われているなら、安全性は高いに違いない。

 重さも1t越えないらしいから、トロッコで近くまで運ぶこともできるんじゃないかな。


「操縦手以外にも1人位は乗せられるだろう。ゾンビ相手に仕掛けを施すのにも使えるんじゃないか?」


「燃料をかなり食うんじゃないか? 飛行時間も考えないといけないぞ」


「ジェットエンジンなら馬鹿食いするが、レシプロエンジンだからなぁ。1回の飛行でドラム缶半分と聞いたぞ」


 バリーさんの素朴な問いに、笑みを向けて答えている。

 ヘリコプターにはまだ乗ったことが無いんだよなぁ。上手くすれば初めて乗れるかもしれないな。


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