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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-045 町から離れた別荘の調査


「今回は嬢ちゃん達が一緒なんだな。車の番なら、それほど心配は無さそうだが」


「ライル爺さんが一緒ですからね。車の荷台に乗っているなら安心ですよ」


 朝食を終えた俺達がピックアップトラックに乗り込もうとしていると、ナナとオリーさんが俺と同じような出で立ちで「一緒に行くからね!」と言って乗り込んできた。

 苦笑いを浮かべたウイル小父さんが後部座席の扉を開いて2人を乗り込ませたんだけど、荷台に乗っていた俺達3人は溜息交じりに互いの顔を見合わせたんだよなぁ。


「これで別荘の屋内を2人1組で行えるな。俺も爺さん1人を車においておくのは少し不安だったんだ」


「連絡係に丁度良い。バリー達の状況も分かる筈だ」


 諦めたから物事を良い方に考えることにしたようだ。確かにトランシーバーで全体状況が分かるなら安心も出来る。

 これで俺達も、別荘内に集中できるということだ。


「左に入るよ! 掴まっててね」


「了解!」


 国道を逸れて左の砂利道に入る。途端にトラックが揺れ出した。

 少しは速度を落としてくれても良いように思うんだけどなぁ。

 そんな不満を募らせていると、突然トラックが停車した。荷台のバーに捕まっていたから良かったものの、そのままでいたら強かに車体に体をぶつけていたかもしれない。やはり運転は慎重にと昼食時にお願いしておこう。

 荷台から飛び降りて、素早く周囲を確認する。

 特に動きは無いな。トラックの横に向かい、ウイル小父さんに手招きで安全であることを伝えた。

 

 助手席と後部席の扉が開き3人が降りてくる。トラックはエンジンを掛けた状態でライルお爺さんが座っていた。


「テリー、別荘を一周してゾンビを確認してくれ。3体ぐらいならその場で倒して欲しい。サプレッサーは付いてるな?」


「了解。とっくに付けてますよ。それにしても立派な別荘ですね」


 金持ちの別荘なんだろうな。正面だけでも15mはあるんじゃないか? 2階建てだから内部の確認に時間が掛かりそうだ。


 荷台を見ると、ナナが拳銃を構えている。拳銃ではなぁ……。


「ナナ、これを使ってくれ。使い方は分かるだろう?」


「良いの! 分かるけど、サミーは?」


「屋内だから、これで行くよ」


 ワルサーを取り出して、ナナに見せる。ナナにはイエローボーイを渡して、スピードストリップも渡しておいた。

 オリーさんは猟銃だな。ボルトアクションだけど、数が多ければベレッタを使うんだろう。


「拳銃で行くのか?」


「屋内で長物は使いずらそうですからね。それに至近距離でしょうから」


「それも一理ある話だな。そうするか」


 ウイル小父さんが手にしていたM16を背中に担ぎ、ベレッタを手にする。少しバレルが長くないか? ライルお爺さんが改造したに違いない。


 周囲を確認しに行った2人が帰ってきた。

 ゾンビはいなかったらしい。不審物も無かったと言っていたから、いよいよ別荘内部だ。


「ライフルよりも拳銃の方が良さそうだ。もしゾンビがいたならその場で対処してくれ。万が一死体を見付けたなら、例えゾンビに見えなくとも頭に1発銃弾を撃ち込んで欲しい」


「急に動き出すこともあり得るでしょうからね。了解しました。探索の重点はゾンビ、それ以外には俺達が必要になるものと言うことでよろしいですね?」


「それで良い。リュックを担いで行ったくれ。銃と銃弾は優先的に頼んだぞ」


 さて、いよいよだ。

 ウイル小父さんが玄関扉の前に立つと、2人の兵士が扉の左右に立って拳銃を構えた。

 邪魔にならないように少し離れた場所で3人を見守っていると、扉を少し開いたウイル小父さんがいきなり扉を足で蹴飛ばして開けた。3人が素早く中に駆け込み前と左右を確認する。


「良し! サミー入って良いぞ。ゾンビはいないようだ」


 恐る恐る部屋に入ると、そこはリビングのようだ。右手に薪ストーブが置かれ、その前にはしゃれたソファーセットが置かれている。埃がだいぶ溜まっているけど、かなり値段が高いんじゃないかな?


「俺とサミーで1階を確認する。テリーは2階を頼む。さすがに天井裏にはいないだろうが確認できたら頼んだぞ」


「了解です。この歳で自殺はしたくないですからね。ウイル殿も気を付けて!」


 リビングの左手にある階段を2人が上っていくと、俺達も次の部屋の確認を始めた。

 俺が扉を蹴って、開いた扉から素早く部屋の中に入り左右を確認するのはウイル小父さんだ。拳銃を構えたままだから、ゾンビがいたなら直ぐに撃つに違いない。

 2階の方からも扉を蹴る音が聞こえてきたから、同じように確認を始めているのだろう。


「台所のようだな。奥に扉が1つあるが、その前に、この部屋の棚を調べてくれ」


 ウイル小父さんの指示で、直ぐに戸棚を開いて中を確認する。ジャムや缶詰、それに封を聞いていないパスタや小麦粉の袋が出てきた。台所の真ん中のテーブルにそれらを積み上げる。


「こんなところです。洗剤の新品もありましたから、持っていきますよ」


「運ぶのは帰りでも良いだろう。次に行くぞ!」


 次の部屋はサニタリーだった。シャワー室にトイレ、それと洗濯機に乾燥機……、ゾンビも俺達に役立つようなものも無い。

 一旦リビングに戻り、右手の扉を開く。この別荘の持ち主の書斎と言う感じだな。大きな本棚と大きな机が置いてある。机の上にはノート型のパソコンが開いていた。

 机の引き出しを開くと、拳銃が1丁出てきた。銃弾の箱も一緒だから、これは頂いておこう。9mmパラベラムを使用する拳銃だけどベレッタよりは小さいな。護身用に持っていたのかな?


「バーボンがあるが、生憎と封が切られているなぁ。良いバーボンのようだが、残念だ」


「1階はこれでお終いですね。リビングに戻りますか?」


「そうだな。2階の連中もそろそろ戻ってくるだろう」


 書斎を出てリビングに戻ると、2人がバッグを持っていた。バッグからはみ出している物を見ると、どうやら衣類を頂いてきたみたいだ。


「2階に異常はありませんでした。少し服を頂いて来ましたよ。さすがに女性用のものは持って来てません」


「オリーがいたから聞いてみるのも良いだろう。外見は大きいが、部屋数は少なかったな。サミー、食堂から荷を運んで来てくれないか」


 直ぐに食堂に向かうと、テーブルクロスを風呂敷に代用してリビングへと運んだ。直ぐに外に出ると、ウイル小父さんがドアの横に赤いスプレーで丸を描き込む。

 調達した品を荷台に乗せ、俺達が荷台に乗り込むとトラックの屋根をポンポンと叩く。

 それを合図に、トラックが次の別荘に向かって動き出した。


 12時を過ぎるまでに4軒の別荘を確認し、少し開けた場所にトラックを止める。

 ガスコンロでお湯を沸かし、インスタントスープを作ってお弁当のサンドイッチを食べる。


「午後も4軒は確認できそうですね。2班も同じぐらいは出来そうでしょうから、この調査もそれほど時間は掛からないかもしれませんね」


「でも、1軒々々が離れてるのよねぇ。見た目は同じでも中身が違ってたわ」


「皆同じなら、大工は楽だろうな。発注した連中は金持ちだろうから、いろいろと注文を付けるんだ。それで内装がかなり違ってるんだろうね」


 おかげで面倒なんだよね。前の別荘では台所だったところが倉庫だったり、リビングが小さくて寝室がやたらと広いのもあったんだよなぁ。


「サミーも帰化したなら、長期休みに備えて別荘を作るんだぞ。山は俺達の山荘でも良いだろうが……、そうだ! 海の傍が良いな。砂浜ではなく岩場だぞ。それもフロリダ辺りにするんだ。俺も遊びに行くからな」


「それって、ウイル小父さんが釣りをするためなんじゃないですか?」


 呆れた顔で小父さんに言ったら、皆が大爆笑を始めた。


「全く呆れた奴じゃな。だが、南の海は悪くないぞ。少しは腰の痛みも和らぐじゃろう」


「なら、私の故郷で暮らしましょうか? 周囲は砂漠ですから十分に暖かいですよ。夜は少し物騒ですけどね」


 キャシーお婆さんが思い描くのは、イスラエルのキブツとかいう場所かな。確かに暖かそうではあるけどね。

 そんな話で盛り上がったところで、次の別荘を目指すことになった。

 何時の間にか、1つのチームとしてまとまってきた感じだ。何せ危険なゾンビが何時出て来るか分からないからね。

 チームワークが出来ているかいないかで、生死を分ける場合も出て来そうに思える。


 16時までに合計9棟の別荘を調査したところで、今日は終わりにした。

 まだ明るい内に終わる方が良いに決まっている。ゾンビを全て相当したとは思えないからね。


 山小屋に帰ってきたのは、ニック達の方が早かったようだ。

 彼らの調査は8棟だったからだろう。武器と銃弾はライルお爺さんに預け、食料品や日用品、それに衣類はメイ小母さんに預ける。


「ゾンビはいたかい?」


「全くいなかったよ。でも別荘の中に入る時には緊張したよ」


 俺に問いに、ニックが真剣な表情で答えてくれた。まだまだ危険はあるからなぁ。

 噛まれたらお終いと言うことを皆が理解している。俺も緊張して仕事をこなさねばと胸に刻んだところで、ナナから渡されたマグカップのコーヒーを受け取った。


「都合17棟だな。まだまだ数があるからなぁ。しばらくは続けることになりそうだ」


「ジョナさんからの連絡では、グランドレイクの街並みの確認も進んでいるそうよ。もっとも別荘よりも数は多いんでしょうけど」


「3倍はありそうだな。だが4つほど班を作って確認しているそうだ。今月中には、パトロール班を作って巡回するぐらいになるんじゃないかな」


 別荘や民家を全て見て回ったとしても完全とは言えないのかもしれないな。ゾンビを見付ける機械でもあれば便利なんだけどね。

 体温が無いから、サーマルカメラも使えないんだよなぁ。


「結構使える食料が見つかりますね。私達にはありがたいことです」


「グランビイの町も期待できそうだ。だが……、果物類は缶詰とジャム、それにドライフルーツだけだからなぁ」


「サプリメントである程度は補充できそうですけどね。温室でトマトは出来ましたけど、トーモロコシとジャガイモは収穫があまり期待できそうになりません」


 高地だからねぇ。標高が2千mを越えてるからなぁ。この半分ぐらいなら良いんだろうけど、まったくの収穫無しということにはならないんじゃないかな。

 それを考えると穀倉地帯の穀物貯蔵庫は早期に確保したいところだ。

 その為には、何としてもゾンビの脅威を排除しなければならない。更なる住民の受け入れを行い、町や軍の基地の開放を行わなければなるまい。


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