表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
44/676

H-044 長距離移動は線路を使おう


 無事に山荘に戻ってきた俺達は、山小屋のリビングのテーブルに着いた。俺達3人以外に、小隊長と2人の軍曹それに現役の陸軍の2人、最後はウイル小父さんとライルお爺さんがテーブルを囲んでいる。


「とりあえず無事でよかった。都合500体程倒せたらしいから、数回もやれば、グランビイの町のゾンビを掃討することができるだろう。先ずは乾杯だ!」


 ウイル小父さんがワインのグラスを掲げる。

 「「乾杯!!」」と大きな声がリビングを震わせる。

 どんな結果になるか分からなかったからなぁ。確かにウイル小父さんがワインを掲げたい気持ちは分かるんだよね。


「それにしても効果の高い作戦だ。だが町の規模が大きくなると、この作戦は難しくなる」


「その通りだ。たぶん集まるゾンビの数が半端じゃないだろうし、数が多くなればゾンビが集まって山を作る可能性もある。そうなると屋上にどんどん上がってくるはずだ」


 ジョナさんの呟きにウイル小父さんが頷きながら話を続けている。

 となると、ゾンビの推定数が5千を超えた場合の掃討方法を考える必要が出てくるのか。


「軍の兵站基地、燃料貯蔵庫さらには民間の穀物貯蔵庫の近くには大粉都市があるのが厄介だな。貯蔵庫を爆破するのは論外だろうから、誘い出して順次殲滅と言うことになるんだろうが……。取り囲まれて全滅されかねない」

「ホーソーン基地に向かった連中も、そうなったようだ。最後まで戦ったらしいが……」


 だがグランビイの町からゾンビがいなくなれば、国道40号線を使えるんだよなぁ。それに鉄道だって使える。さすがにディーゼルカーを動かすのは俺達では無理だと思うけど、トロッコを車のエンジンで動かすぐらいは出来そうだ。荷物の輸送が格段に増えるんじゃないかな。


「俺から1つ良いですか?」


 俺の言葉に皆が注目してくる。

 暗い話になりかけたから、何かアイデアが欲しかったのかな?


「日本では小さい国土ですが隅々にまで鉄道が敷かれています。アメリカも同じだと思うんですが、大きな軍の基地なら当然貨物輸送の引き込み線があるんじゃないですか?」


 ウイル小父さんとジョナが、ハッとした表情で互いの顔を見合わせている。


「確かにあるな……」


「都市は爆撃したが、軍の基地は爆撃を受けていないはずだ!」


「道路は逃げ出そうとする車で動きが取れなくなったが、さすがに鉄道は渋滞が無い。ゾンビが徘徊していたとしても少数だろう。かなり遠回りになりそうだが、道路を進むよりは安全だぞ」


「だが、大きな問題がある……。誰も、列車を動かした経験は無いぞ」


 2人が溜息を吐いたの見て、ライルお爺さんが大声で笑い出した。


「ワハハハ……。まったく頭が固いのう。車で走れば良いんじゃ。とは言っても1つ問題はあるんじゃが、車輪とタイヤを交換せねばならん。その上そんな改造車をレールの上にきちんと乗せねばならん」


「確か、空母が一緒だったはずだな?」


「ああ、その上、工作船まで避難している! 俺に任せてくれ。それで使う車は何にするんだ?」


「グランドレイクで適当に見つけて構わんが、できればピックアップトラックが良いのう。2台は必要じゃろう。それに貨車として使うトロッコが2台欲しいぞ」


「了解だ。指揮所に戻ったなら、直ぐに要請してみよう」


 鉄道線路を自動車で旅するのか……。これは是非とも同行したいところだな。

 隣に顔を向けると、同じように俺を見ているエディがいた。

 互いに笑みを浮かべて頷くと、ニックにも視線を向ける。やはり頷き返してくれたから、ここは是非ともエントリーしておきたいところだ。

                ・

                ・

                ・

 夕食が終わってしばらく経つと、続々と男達が集まってきた。

 メイ小母さんやパット達も薪ストーブ近くのベンチに座り俺達の様子を見ているから、後で他の小母さん達に教えてあげようと思っているんだろう。


「グランビイの町のゾンビ掃討が昨日から始まった。エディ達が海兵隊の連中にやり方を教えたから、次からは彼らだけで行っていく。俺達は少し離れた別荘を1戸ずつゾンビの確認をしていくことになった。既にグランドレイクにやって来た俺達の仲間もグランドレイクの町を1戸ずつ確認するそうだ。抜けが無いように地図を作って互いに確認することになっている。依然と同じ班編成で行くぞ。朝食後の0900時に出発し、1600時まで確認を実施する。確認が終わった家の玄関扉にはスプレーで『〇』を描いてくれ。以上だが、何か質問は?」


 明日からの行動は、すでに根回しを終えているのだろう。特に質問は無さそうだ。

 俺はウイル小父さんと一緒だからね。

 小父さんに任せて、指示の通りに動けば良いはずだ。

 

 雑談のような形で、今後の話が行われていく。

 その中で皆が興味を示したのは、新たな住人の受け入れと、次にどの町のゾンビを掃討するかの2つのようだな。

 線路を使って他の町の様子を探るというのは、やはり皆の心が躍る話に思える。ぜひ参加したいと言い出して、一時収拾がつかなくなったぐらいだからね。


「皆の言うことも理解したつもりだ。新たな住人が来ると言っても、それまで銃を握ったことが無いような連中かもしれない。今度来た連中と共にグランドレイクとグランビイの安全を守ってくれるなら、俺達で鉄道の方を担当していきたいと思っている。だが、これは政府との動きとも関わるからなぁ。とはいえ俺から希望を伝えることは約束するよ」


 ウイル小父さんの言葉で、どうにかその場を収めることができた。

 ここでさえそうなんだから、やって来た海兵隊の人達だって案外思いは同じかもしれないな。

                ・

                ・

                ・

 翌朝。まだ寝ているニック達を起こさないようにベッドから降りると、衣服を調える。

 暑くなってきたけど、肌を露出するのは止めておこう。万が一にもゾンビに噛まれたらそれで終わりだ。

 少し厚手のGシャツをTシャツの上に羽織って、装備ベルトを着ける。

 こっちのホルスターにはワルサーが入っている。15cmほどのサプレッサーは現場に着いてから装着すれば良い。予備のマガジンをもう1つラアイルお爺さんが見つけてくれたから、20発近い銃弾を放つことができるし、そもそもイエローボーイを使うからなぁ。

 イエローボーイには最初からサプレッサーを取り付けておく。

 装備ベルトの銃弾ポーチに銃弾を挟んだスピードストリップを5個入れておく。その内の1つは357マグナムだから、ゾンビ相手の近接銃撃なら少し過剰にも思えるぐらいだ。

 装備ベルトのお尻側に着けた革製のバッグにはカロリーバーが2つに銃弾の予備が入っている。籠城戦になっても十分だろう。

 部屋を出てリビングに向かい、薪ストーブの傍にいたライルお爺さんに挨拶をする。イエローボーイを預かってもらい、広場に出ると朝日が丁度昇ったところだった。

 両手を合わせて、頭を下げる。

 俺の祈る姿を不審に思う人もいるようだけど、先住民の人達も同じようなところがあるらしい。きっと遠い先祖は同じなんだろうと思われているみたいだな。


「サミー! こっちにいらっしゃい!!」


 大きな声に顔を向けると、オリーさんがご婦人方の焚火の中から立ち上がって俺を手招きしている。

 コーヒーをご馳走してくれるのかな?

 柵の番をしているご婦人方が、焚火の傍で大きなスープ鍋の具合を見ている。

 どんなスープなんだろう? レーションのスープやインスタントスープもあるんだけど、やはり手作りのスープの方が美味しく思えるんだよね。


「本当に祈るのね。サミーの神様はたくさんいると聞いたけど?」


 オリーさんがコーヒーの入ったカップを渡してくれた。飲んだ途端に首が横に動き出す。

かなり濃いぞ!

 そんな俺に笑みを浮かべたご婦人がカップにお湯を注いで角砂糖を2個渡してくれた。

 ありがたく砂糖を受け取ってコーヒーの中に入れる。解けるまで少し待つことになりそうだな。


「ええ、沢山いますよ。山の峰にも1つずつ神様はいますし、この焚火にだって火の神様がいます。太陽も神様ですし、月も神様、星もそうですね」


「そんなに多いんですの?」


「ええ、ですから俺達の宗教感ではどんな神様も受け入れることができるんです。たくさんいるのは間違いないんですが、神に上下の関係が無いのも特徴の1つですね。おかげでクリスマスも皆さんと一緒に祝えますよ」


 俺の言葉が面白かったのか、焚火を囲むご婦人方に笑い声が起きる。

 節操無しにも思えるだろうなぁ。俺自身がそう思っているぐらいだもの。


「ゆっくり聞かせて欲しいですね。でも、改宗しようとは思いませんが」


「そうですね。やはり宗教は自分の心の安寧を得る手段として持つべきだと思いますよ。その教義を理解できるならそれを続けるべきだと思います」


 改宗が難しいことだから、宗教弾圧を行ってきたに違いない。

 まだ生きているんだから、無用な争いは避けたいところだ。


 皆に断ってタバコに火を点ける。丁度飲み頃に冷めたコーヒーを頂きながら、楽しむタバコは最高だな。

 空気も澄んでいるし、今日も一日元気に過ごせそうだ。


 時計を見ると、7時30分を過ぎている。そろそろ朝食になるだろうから、ニック達も起きたに違いない。

 オリーさんと一緒に焚火を後にして山小屋に向かう。


「サミー、先に起きたなら起こしてくれれば良いのに……」


 わき腹が痛いのか手で押さえているニックが恨めしそうに俺を見て呟いた。

 横になって寝ていたのか……。踵落としでもされたのかな。

 そんなニックを笑みを浮かべて見ているエディの額には小さく赤い跡がある。エディはデコピンされたに違いない。


 俺も気を付けないと……。パット達の起こし方が昔と比べて過激になってきた感じがする。


「それより準備は出来てる? 俺は何時でも出掛けられるぞ!」


「もちろんだ。今日はM16だよ。それにベレッタだからゲームと同じだな。今度あのジャンパーをどこかで見つけようと思ってるんだ」


 まぁ、ゾンビを倒すのはゲームと同じなんだが、1つ大きな違いがある。倒されたらそれまでだ。リスタートは出来ないからね。

 それが分かっているなら、どんな格好でも構わないけどね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ