表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
30/675

H-030 ガイドセンターだけあって銃と銃弾が置いてある


 朝食を終えた俺達は、2台のピックアップトラックに乗り込んだ。

 先頭車両はウイルさんの班だから、荷台に俺が乗る。

 後続のトラックには、予想通りエディとニックが乗り込んだようだ。

 道路を封鎖している移動柵を動かして、俺達のトラックが走り出す。

 カーブを曲がる時に山小屋の方向を眺めると、小母さん達数人がかりで移動柵を閉じているのが見えた。

 バリーさんが帰るまで、パット達は銃を持って柵を守るのだろう。


「いつの間にか5月の終わりになってしまいましたね。今年の夏至は過ぎたんでしょうか?」


「明後日じゃよ。カレンダーが再び出回るまでには時間がかかるじゃろうなぁ」


 窓越しに、運転席の会話が聞こえてくる。

 サングラスを付けてお爺さんがくれたテンガロンハットをかぶっているから、それほど眩しいとは思えないんだが、山の紫外線は強力らしいからなぁ。


 右手に湖が見えてきた。

 これを過ぎれば別荘区域に入る。今日の目的地は別荘地の外れらしいから、集まって来るゾンビは別荘地帯のゾンビになるんだろうか?

 最初にゾンビを倒した場所まで2km近くある。町からやって来るゾンビの数が一番予想しにくいんだよなぁ。

 昨日の準備にウイル小父さん達が一番悩んだのは、集まって来るゾンビの推定数だろう。

 

 前回救助の呼び掛けを行ったレストランへと続く分岐路を通り過ぎ、しばらくするとトラックの速度が遅くなる。

 歩くよりも少し速いぐらいの速度になったので、トラックに荷台から前方を眺めると左手に、ハンタークラブの支店の看板が見えてきた。

 国道から駐車場に入り、駐車場の真ん中でトラックが停まる。

 直ぐに荷台から飛び降りた俺に、ニック達が近付いて来る。

 ニック達がサイレンサーの付いたM16を装備しているんだけど、俺はベレッタ92Fのサイレンサー付きだ。同じ装備のウイル小父さんが車を降りてきたところで、バリーさんとニックの警察コンビと共に、建物の中に入る。

エディ達は周辺の監視を行い、テリーさん達とライルお爺さんが屋上への荷揚げを行う手筈だ。


「物音はしないようだな?」


「開けてみます?」


 俺の言葉に3人が頷く。ゆっくりと扉を開けると、素早く3人が中に飛び込んだ。

 正面、左右と3人が銃を構えながら確認を終えたところで、俺を手招きしてくれた。


「俺とサミーで1階を調べる。テリー達は2階を頼む!」


「了解です。くれぐれも用心してくださいよ!」


 テリーさんの言葉に、ウイル小父さんが軽く笑みを浮かべて敬礼を返している。

 小父さんの後方に位置して、左右と後ろを確認しながら、先ずは入り口オフィスの探索だ。

 部屋の外側をぐるりと回って、ゾンビがいないこと確認すると、ウイル小父さんがロッカーや戸棚、机の中を探し始めた。


「ある、ある。思った通りだな。9mmパラベラムは子供達の練習用だろうな。となればライフルもあるはずなんだが……。この戸棚か! サミー、外に連絡して武器を運んで貰ってくれ」


「了解です……。『ニック、聞こえるか?』」


 直ぐにニック達2がやって来た。

 ライフル銃やリボルバーにいろんなオートマチック拳銃。ライル小父さんの店よりも種類があるんじゃないかな?


「ライフルと銃を先に運んでくれ。その後は銃弾だ。5.56mmは無いが、7.63mmと9mmパラベラム、それに38SP弾とマグナム弾だ。44マグナムまであるぞ!」


 ウイル小父さんは嬉しそうだな。


「こっちはトラばさみだな。グリズリーでも狩るつもりだったのか? これも貰っておくか!」


 机の中からタバコを見付けた。2カートンあるから、皆で分けられそうだ。


「サミー。お前なら着られるんじゃないか?」


 ヒョイ! とウイル小父さんが投げてくれたのはバックスキンの上着だった。

 リボルバーにウインチェスター、その上テンガロンハットにバックスキンだと、まるで西部劇の登場人物になってしまいそうだ。

 エディなら様になるかもしれないけど、俺が着たら先住民のガイドにしか見えないだろうなぁ。

 それでも風を完全に防いでくれそうだし、革の縫い目にひらひらがたくさんついてるのがおしゃれに見える。


「ありがとうございます。となると、ガンベルトを探したいところですね」


「これか?」


 そういって、ポンと放ってくれた。

 これで完全にインディアンになってしまった。その内にトマホークでも探そうかな?


 棚にあった皮袋に頂いた品物を詰めておく。357マグナムの箱入り銃弾が10個以上もあったけど、全部頂いておく。


「オフィスはこれぐらいだな。奥を確認するぞ」


 今度は扉を開けて2人一緒に飛び込む。素早く背中を合わせて銃を構えながら部屋の中を見渡した。


「キッチンでしょうか? さすがに冷蔵庫の中身はダメでしょうね」


「だが食料のストックはそこだけじゃないはずだ。周囲を見ていてくれよ。棚の中を確認する」


 近くにあったプラスチックのカゴに、次々とウイル小父さんが調味料を入れ始めた。

 塩や砂糖、それに胡椒は悪くならないからね。

 蜂蜜や缶詰も問題ないし、小麦粉やパスタも問題ない。

 カゴが3つになったところで、最後に小麦粉の袋を2つ見付けた。

 全て頂いておこう。


「これで全部だな。これだけで10日は食べていけそうだ。オフィスに戻るぞ。そろそろ上も終わったころだろう」


 カゴは俺が持ち、小麦粉の大きなふくろをういるおじさんが両肩に担ぐ。

 良く持てるものだと感心してしまう。ニック達に運べるんだろうか?


「色々とあるもんだな。上は、こんなところだ。毛布の中身はハンディートランシーバーが3台に、車載用が1台になる。これを見付けたんだが、貰って良いのかな?」


 取り出したのはリボルバーだった。しかも45SP弾を使用するものらしい。


「年代物の、ピースメーカーだな。山小屋に戻ったら、ライル爺さんに渡せばちゃんと整備してくれるぞ」


「爺さんが大切に持ってたんだよなぁ。家宝だと言って俺には譲ってくれなかったんだ」


 思い入れのある銃ってことかな?

 だけど、装弾が面倒な気もするんだけどなぁ。


「確か、運んで行った銃の中に、45SP弾が使えるウインチェスターがあったはずだ。それとセットなら都合よく使えるぞ」


「そうするよ。まさかここで手に入るとはなぁ……」


 そんなに嬉しいのかな? 後で聞いたら、開拓時代の銃は皆大切に保管しているらしく、たまにオークションに出ると5千ドルからの競りになるらしい。

 今回の事故で、そんな貴重な銃は数が少なくなってしまったに違いない。

 

 建物の中の確認が終わったところで、荷上げの状況をウイル小父さんが確認している。

 ライルお爺さんは、建物の中にあった猟銃の具合を見ているようだ。

 バリーさんの班を考えると6丁ないと都合が悪いんだよなぁ。


「直ぐに使える銃は7丁じゃな。ウイル達3人はこれを使えばいい。残り5丁とショットガン2丁は山小屋にもって帰ってくれ。銃弾はこれじゃ。1人5箱に予備が3箱で良いじゃろう。ワシとサミーは持ってきた銃を使うぞ」


「爺さんは狙撃銃か。まったく軍の放出品を使ってるんだからなぁ。サミーは……、爺さんの手作りか?」


「婆さんと同じ品じゃ。100m以内を狙うなら十分じゃろう」


 沸かしたコーヒーを飲みながらそんな話をしながら一服を楽しむ。

 コーヒーを飲み終えたところで、最後の仕上げだ。

 俺達が監視をしている中、バリーさん達が500mほど町に近づいて目覚まし時計を道路に張り出した案内板に吊り下げる。

 設定は24時間先だから、いよいよだな。


 荷物が殆どなくなった荷台にブランケットを広げて、ウイル小父さん達がM16とマガジンを包んでいる。軽くなった弾丸ポーチに箱のまま銃弾を入れているけど、あれだと取り出しが不便に思えるんだよなぁ。


「終わったぞ! エディにそっちの車を運転させる。最初の連絡は、そうだな……11時で良いだろう。湖近くで待機しているよ」


「了解だ。ニック達と同じ方法だから、それほど心配は無いと思うが、こっちから連絡を入れるよ」


 ニック達と別れたところで、ハシゴを使わずに家の中の階段を使って屋上に出る。

 2階の階段付近に机や椅子が置いてあったから、一旦階段側に運んで、階段を閉ざすように積み上げた。

 入ってきそうにも思えるけど、これだけ積み上げたなら、物音に気が付くだろう。

 全員が屋上に出たところで、ウイル小父さんが携帯溶接機で扉を溶接する。上下と中央を5cmほど長さで溶接したから、中から体当たりしても開かないんじゃないかな。


「さて、先ずは呼びかけだな。道具はこれか……。先ずはお手本をサミーがやってみてくれ」


「良いですよ。3回呼び掛けて、その後にもう1度3回。呼び掛けをしている間は、この旗を振ってください。それと、そっちの旗は、あのアンテナに結んでおけば良いかと」


「旗は俺が振ろう。その前にアンテナにこっちの旗だな。俺達がやっている間に準備をしといてくれ」


 俺が頷くのを見た2人が旗を持ってアンテナの架台に向かった。

 先ずか箱から取り出さないとな。

 スピーカーと電源と一体化したアンプにマイク。この間の放送用のメモも入っていた。

 文面は同じで良いだろう。


 戻ってきた2人に始めることを告げて、先ずは国道方向にスピーカーを向ける。


「こちらは……」


 銃所を待つ人に対して3回呼び掛けると、素早く周囲を眺める。

 どこかに待っているなら、窓から旗を振ってくれるに違いない。


「どうだ? 反応はあったか?」


「ありませんね。それより、見てください。集まってきましたよ」


 ベントンさんが町の方向に腕を伸ばした。やはり町からやって来たか……。


「周囲の別荘からも来るかもしれんぞ。30分後に、もう1度放送しよう。反応が無ければ、ゾンビの掃討を始める」


 ゆっくりやろうということで、ガソリンバーナーコンロをライルお爺さんが取り出し、お湯を沸かし始めた。

 さっきコーヒーを飲んだばかりなんだけどなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ