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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-029 3班を2班に


 朝食を終えたところで、皆と一緒に外に出る。

 小さな焚火を囲んで、男達が集まっている。その輪の中に俺達が入ったところで、いよいよ班作りの相談が始まった。

 ゾンビ掃討は3つの班で行うことになっていたけど、救助を待ち望んでいる人がいる可能性が出てきたからなぁ。

 2つの班を作って、対応することにしたようだ。

 短い間だけど、一度に2つの班がここを離れることなってしまう。だけど元警察官の小母さん達もいるし、メイ小母さんとキャシイお婆さんは元軍人でもある。俺よりは遥かに頼りになるに違いない。


「1班は俺がリーダーになるが、2班はバリーがリーダーを引き受けてくれ。他に軍人が4人いるから2人ずつ入れる。残ったライル爺さんとサミーは俺の班、ニック2人とエディをバリーの班でどうだ?」


「爺さんはハシゴを登れるのか?」


「まだまだ若いもんには負けはせんよ。ゾンビ騒ぎが無ければ今頃はロッキーで鹿を狩っているはずじゃ」


 パイプを振り回してライルお爺さんが憤慨している。でも、俺よりは頼りになるんじゃないかな。

 あのイラクで戦った戦士だからね。


「そっちこそ、エディとニックがいる。指示を聞かないようならぶん殴っても構わんからな。今の内に軍の厳しさを教えておいた方が、間違いを犯さずに済むかもしれん」


「若い連中の中では、素直だと思うぞ。ウイルの班が5人で俺の班が6人になるがあまり無理はしないでくれよ」


「無理はしないさ。出来る事をするだけで良い。それで、陸軍さんの方は?」


「俺とべントンが1班に入る。ケントとテリーはバリーに従ってくれ」


「「了解です!」」


 さすがは軍人だ。指示にきちんと従うんだな。


「昨夜話したんだが、標準装備でエディ達と同じように生存者へ呼び掛けるとともに集まってきたゾンビを掃討することになる。

 1回目と異なるのは、俺達が呼びかけを行う場所が、狩猟クラブの建物だということだ。まだ中に入ってはいないが、猟銃と銃弾が残されている可能性がある。屋根に上る前に、建物の中を調べ、使えそうな物を見付けてから始める」


「建物内部の調査は、ウイルの班で行う。その間は俺達2班が周囲の監視だ。全員の銃にサプレッサーを付けておいてくれよ。数発ならゾンビが集まることは無いだろう」


 ウイル小父さんの説明に、バリーさんが補足してくれた。

 中の調査をする俺達も、拳銃にサプレッサーを付けておく必要があるだろう。ベレッタ92Fをまた使うことになりそうだな。


「猟銃が手に入れば、装備をトラックにおいて猟銃でゾンビを掃討する。次のグランビイを考えると弾の消費を押えたいところだ。

全員分があれば良いが、無い時にはリーダーの判断で猟銃を使うものを指名する。それは了承して欲しい。

その後は、子供達と同じ事をする。バリーにゾンビを移動するための目覚まし時計を仕掛けて貰えば、翌日の子供立ちの救出と同じように上手く屋上から降りることができるだろう」


「前回は目覚まし時計が1つでしたが、2つ仕掛けた方が間違いなさそうです。万が一にも作動しなければ救出が困難になりかねません」


 ニックの提案に皆が頷いている。ライル小父さんがニックの頭をガシガシと撫でているから、嫌がっているんだよなぁ。

 お爺さんからすれば、良く言ってくれたと感心してるんだろうけどね。


「その通りだな。2つ用意して置こう。外に気付いた点があれば言ってくれ」


「俺から1つ、良いでしょうか? 俺達3人でそれこそ夢中でゾンビを倒したんですが、翌日になってゾンビが邪魔になって建物に近付けない状態でした。できれば迎えに来る車が容易に近付けるよう、ゾンビを倒さない区画をあらかじめ決めておいてはどうでしょうか」


「確かに邪魔だったし、万が一にも起き上がってきたらと思うと、心配だったことは確かだ。それに積み重なったゾンビを踏みつけるのも気が咎めるし、車が揺れて大きな音を出しかねない。倒れたゾンビを移動するに時間が掛かった事も確かだ。あの建物の前には車を止める目印があったはずだ。そこの一角にスプレー塗料で目印を付けておくか」


「車2台分ぐらいを区画にしておいた方が良さそうだな。俺も賛成だ。その区画のゾンビを倒さなければ良いだけだからな」


 バリーさん達もゾンビを退けるのに苦労していたからなぁ。俺の案をもっともだ、という感じで賛成してくれた。


「やはり、軍と同じでPDCAのサイクルは必要だな。報告書を作るようなことは願い下げだが、こんな感じで話合うのは悪くない」


「警察も同じだ。まったく、なんで報告書があるんだかと悩むんだよなぁ。警察の本来業務とは違うように思えるんだが……」


「そうしないと、裁判で負けるからよ。弁護士が私達の上げ足取りが上手いのは、知ってるはずでしょう?」


 リーザさんが俺達に新しいコーヒーポットを持って来てくれた。元警察官だからニックさんのボヤキを、それはそれと教えているのかな?

 それにしても、報告書が多いってことだな。進路に警察官を外しておこう。

 とはいえ銃社会ということで、発砲事件は結構あるようだ。他者を守るために発砲したとしても、それが正義の行動であったかどうかを判定するのは裁判所ということになるんだろう。その為の報告書と言うのもなぁ……。


「まぁ、こんなもんだろう。今日は準備ってことで良いだろう。明日は1班の俺達が屋根に上って翌日まで頑張るつもりだ。明日の周囲の警戒と、明後日の迎はよろしく頼むぞ」


 ウイル小父さんの言葉に全員が頷くと、焚火傍に置いてあったポットからコーヒーを注いで世間話を始める。

 準備といっても拡声器に目覚まし時計、それに伸縮ハシゴと旗ぐらいなものだと思うんだけどなぁ。

コーヒーを飲み終えたところで解散となる。

 明日は、再び屋上で一晩明かすことになる。標高が2千mほどあるから、夜は結構冷えるのが分かったから、スタジャンでも着て行った方が良いのかもしれないな。


 部屋で装備ベルトの弾薬ポーチに18発入った銃弾をそのまま入れようとしていると、ニックが短いゴムのベルトのようなものを渡してくれた。


「スピードストリップと言う物らしい。パイソンならスピードローダーで6発一度に装填できるだろうけど、ウインチェスターではそうもいかないだろう? かといって箱から1発ずつ出すのも面倒だろうから、これを使うと良いよ。6発をそのベルトの穴にあらかじめ押し込んでおくんだ。5枚あるから、それに銃弾を取り付ければ一々箱から出さなくても済むよ」


「へぇ~、便利な代物だな。ありがとう。使ってみるよ」


 箱から銃弾を取り出して、ベルトの穴に玉のお尻を差し込んでみる。簡単に差し込めるし、抜くときにも力はいらないんだな。

 5つのベルト銃弾を差し込んで弾丸ポーチの中に押し込んだ。

 残った銃弾は箱のままリュックに入れておいて、休憩の度毎に銃弾をベルトに取り付けていこう。


「38SPは、コヨーテやオオカミ相手の再度アームとして持つ連中も多いらしいからな。案外この先も調達できるんじゃないか?」


「それなら良いんだけどなぁ。そうなるとニック達は猟銃になるんだろう? ショットガンも使うんだろうか?」


「鹿狩りならライフルだな。それも7.62mmNATO弾のはずだ。さすがに5.56mmは使わないと思うぞ。長距離射撃ができるし、多分照準スコープ付きだ。この前よりも命中させることができるんじゃないかな」


 今使っている銃よりも大口径と言う事らしいが、ちゃんと撃てるんだろうか? ライルお爺さんの銃を借りた時には当たらなかったからなぁ。


 それほど時間を掛けずに荷造りを終えたところで、ウイル小父さん達の様子を見に出かけた。

 あまり色々と持っていくと、持ち帰りが大変に思える。必要最低限と言うことになるんだけど、ウイル小父さん達なら、いろいろと必要理由を話し合いながら詰めるだけ積んで行こうとするんじゃないかな。


ピックアップトラック2台に、ウイル小父さんとバリーさんが荷物を積み込んでいる。

屋根にトランシーバーのアンテナを立てたようだ。屋根に穴をあけたんだろうかと、よく見ると磁石でくっ付いている。これなら屋根を痛めることもないだろう。

 前と違って、伸縮ハシゴは長い物を乗せている。ライルお爺さんも一緒だからなぁ。頑丈そうなハシゴはお爺さんを心配しての事だろう。


「バッテリーも大きいんですね?」


「これか? 照明用だ。道路と駐車場をライトで照らせば夜間でも戦えるからな。拡声器用のも少し大きいぞ。なるべく遠くまで救助の知らせを伝えたい」


 その裏には、ゾンビを沢山集めたいということもあるんだろう。

 何度も行えば、その内に集まる数も少なくなるに違いない。秋の訪れ前にはあらかたの掃討を終えたいところだな。


「簡易テントも用意したぞ。雨でも降ったら避ける場所が無いからなぁ。ワンタッチで広がるし、小さな椅子も用意してある」


 ウイル小父さんの話を聞いていると、これからキャンプにでも出掛けるように思えてしまう。

 だけどこの辺りの天候は変わりやすいと聞いたことがあるし、そんな事態にも対処できると言われてしまうと、あまり荷物を増やさないようにと話すことも出来ないんだよなぁ。


 バリーさんの方も似たり寄ったりだ。6人乗車になるんだが、ニック達は荷物の上に座ることになるに違いない。

 俺もそうかもしれないけど、少しはマシに思える。


 首を捻ってウイル小父さん達の準備を見ていたところに、エディ達が重そうにトランクを運んできた。

 何を運んで来たのか聞いてみると、軍用のレーションらしい。


「場合によっては、その場でサミー達を援護しないといけないだろう? 3日位は待たせないといけないとバリーさんが言ってたよ」


 バリーさんは用意周到な性格だと思っていたんだが、どうやら心配性に違いない。

 もっとも、5人を預かることになるんだからなぁ。それも分かる気がする。


「さて、これで終わりだ。パット達が柵の警備をしてるから、行ってコーヒーをご馳走になろう」


「女性ばかりなんだけど、皆元気だよねぇ。キャシイお婆さんなんか、ウージーを担いでたよ」


 山小屋で安楽椅子を揺らしながら、編み物をする姿が似合ってると思うんだけどなぁ。

 女性に関する見方が、あの事故から大分変ってきたのも確かだ。

 うかうかしてると、お尻を蹴飛ばされそうにも思える時があるからね。


 3人連れだって柵に向かって歩いていく。

 子供達がワイワイ騒いでいるのは、オリーさんと一緒に湖で魚釣りをしているからだろう。あの騒ぎだと、誰かの竿に魚が掛かったのかもしれないな。


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