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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-023 生存者を探すために


 俺達3人が道路の監視という名目でサボっているところに、ウイル小父さんがバリーさんとエンリケさんを伴って歩いてきた。

 転がっている丸太をベンチ代わりに座ると、焚火で温められていたコーヒーポットを手に取って手持ちのシェラカップに注いでいる。

 サボりがバレたか……。ここでお説教はちょっとなぁ。

 ニック達と顔を見合わせながら、苦笑いを浮かべる。


「面白い案を教えて貰ったぞ。明日にでも試してみようと考えてるんだが、お前達でやってくれないか?」


「何のことでしょう? 急に言われても何が何だか……」


 エディの言葉にウイル小父さんが一瞬首を傾けると、俺に顔を向ける。


「サミー、ニック達に話してなかったのか? ライル爺さんが話してくれたんだが、サミーから聞いたと言っていたからなぁ。てっきりお前達で相談した結果だと思っていたんだが?」


「俺の私案ですよ。ライルお爺さんが朝方悩んでいたんで、あの方法があると……」


「そういうことか。まあ、私案とはいえ俺達から比べればはるかにましだ。道具はライル爺さんが作っているぞ。明日やってみよう。問題があるのは分かっているな?」


 そうなんだよなぁ。1つ大きな問題がある。

 屋根の上ならゾンビは上がってこれないが、俺達を回収する車は傍にいることができない。ゾンビが去ってから改めて呼ぶ必要があるのだ。


「回収は明後日ということになるでしょうね。状況をトランシーバーで連絡すれば何とかなると思ってます。最悪は強硬突破になりそうですけど、離れた場所にタイマーを付けたレコダーを置けばそっちに移動するのではないかと」


「拡声器に旗、それにタイマー付きのレコーダー、全て用意するよ。それとだ。万が一にもお前達が屋根から落ちたら終わりだからな。屋根の平らな2階建てを探すことになるが、見当たらない場合は、煙突にロープを結んでベルトに繋ぐしかなさそうだ」


 屋根を壊して梁に結んでも良さそうだな。その辺りは臨機応変と言うことになるだろう。

 ハンマーも忘れずに持っていこう。


「周囲に拡声器で呼び掛けるんだから、ゾンビが沢山集まるはずだ。銃と銃弾、それに食料と水はエディがリーダーになってしっかり用意するんだぞ」


「分かりました。3人で相談して準備します」


「救出は俺達がしっかりやるからな。安心して周囲に呼び掛けてくれよ」


 最後にバリーさんが俺達1人ずつ肩を叩いて去って行った。

 直ぐに2人の顔が俺に向く。もっと詳しく話を聞かせろと言うことなんだろう。

 コーヒーを飲みながら、2人に救助を待つ人達に拡声器を使って呼び掛け、居場所を教えて貰おうという話をもう1度することになってしまった。


「なるほど。目立つ旗を作って、その下で呼び掛けるんだな。それで屋根の上か……」


「屋根なら安心できるね。でも落ちたら……、そういうことだね」


「本当にいるかどうかわからないけど、やらないよりはマシだろう? それに少しはゾンビを減らせるからね」


「真下を狙うようなものだからなぁ。20m以内ならかなり当てられるよ。それに発砲音を気にする必要が無いのが一番だ」


 銃は2人ともM16とベレッタ92を使うようだ。俺はM1カービンで十分だろう。拳銃は念の為だからパイソンで十分だ。

 各自180発の銃弾と、拳銃のマガジン2つということになったけど、俺の場合はリボルバーだからなぁ。1箱24発を持っていけば十分だろう。

 その他に手榴弾が1個ずつ。後はバールとハンマーぐらいかな?

 

「ロープは10mは必要だぞ。余分にもう1本持っていけば良いだろう。荷物も落とさないようにロープに繋いでおかないと」

「カラビナも何個か欲しいところだね。それは俺のリュックに入っているからそれを使えば良い」


 食料は3食分、水は各自水筒を持った上に、ペットボトルを1つということにした。

 小さなコッヘルと燃料缶ももっていこう。屋根の上で飲むコーヒーも美味しいかもしれないからね。

 雨が降っても良いように、ポンチョは必要だろう。予備も入れておけば濡れては困る荷物も包んでおける。

 

「双眼鏡は持ってるよな?」


「ああ、リュックに入ってるよ。確かに使いそうだな。小型だからポーチに入れとくか」


 手袋も必要だろう。春の終わりだから寒くは無いんだが、場合によっては屋根を壊すことになるからね。


「こんなものかな?」


 メモを付けていたニックが呟いた。

 後は嗜好品ぐらいだが、それは忘れないんじゃないかな。


「それじゃあ、準備だ!」


 すっかり下火になった焚火の傍から腰を上げると、山小屋に向かって歩き出した。

 自分達の部屋に向かうと、リュックの中身を取り出して明日の準備品を入れ始める。

 携帯食料や銃弾は部屋にあるけど、ロープは無いんだよなぁ。ライルお爺さんに聞けば出してくれるかな?

 夜は冷えそうだから、フリースを1つ入れておくか。皮手袋と双眼鏡は大きめのポーチに入れとけば良い。

 銃弾ポーチにカービン銃のマガジンを6個入れておく。予備の銃弾マガジン4つをリュックに入れて、後は片方が鶴嘴になっているハンマーを入れておこう。

 食料と衣類を除けたからそれほど大きな荷物ではないんだが、結構重い。

 これを背負って屋根に上るとなれば、早めにリュックを下ろしておかないと転げ落ちそうだ。


 どうにか荷物を詰め込んだところでリビングに戻ると、部屋の端にロープが積まれてあった。あれは明日出掛ける前で良さそうだな。

 部屋の真ん中の焚火の傍に腰を下ろすと、パット達がコーヒーを持って来てくれた。

 焚火でタバコの火を点けて、とりあえず一服。

 明日になるのが楽しみだ。

 

「準備は出来たってことか?」


 ウイル小父さんが俺達の前に座ると、スキットルから直にブランディ―を飲み始めた。


「どうにかです。拡声器とタイマー付きの仕掛けは用意して頂けるんですよね?」


「もうトラックに積み込んであるぞ。トランシーバーは明日渡す。少し出力が大きいからここで確認できるだろう。通話ができなければSWで送ってくれ」


「了解です。屋根の上から周囲を確認しますが、見つからない時には、次に向かうことになりますね」


「ああ、そうやって町に向かうことで良いだろう。それでも見逃すかもしれんが、そこまでは俺達も責任が持てん。出来る限りの事をする。これが基本だ」

 

 山奥で事態をやり過ごそうとしている人達もいるに違いないが、どうやって探すか分からないからなぁ。ヘリコプターでもあれば良いんだが、ロッキー山脈は広大だ。

 そもそもの俺達の目的は、グランドレイクとグランビイ湖周辺に安全圏を確保することだからね。

 その過程で出来る限りの事ということになれば、これぐらいになるんだろうな。


 その夜の事だ。

 夕食を終えて、リビングの真ん中の焚火を囲んでいる俺達にウイル小父さんがアメリカの状況を教えてくれた。

 やはりミシガンとフロリダはダメだったか。現在残っているのはワシントン東部にあるデルマーバ半島だけらしい。ワシントンとの間の湾に軍艦を並べているとのことだ。

 現在確認されている人間は1千万人ほどになるということだ。

 たったの3%だ。97%が亡くなったかゾンビになってしまった。


「僻地の軍の基地と少数のコミューンが残っているが、早めに手を打たねばコミューンは全滅しかねない。ここも食料生産を考えないといけないんだが、現在は温室1つだからなぁ。

 まだ残っている食料を探すことが冬までにやらねばならないことだ。それと、グランドレイクの町からゾンビをある程度掃討できたなら、近くのコミューンから人を送りたいと北米防衛組織から連絡があった。俺達と一緒に暮らすことにはならないだろうが、人間なら歓迎したいところだな」


「ここで農業? トウモロコシだって、実入りが少ないんじゃないのか?」


「仕方なかろう。平地はゾンビが群れてるんだからなぁ。あいつらを掃討しない限り平地には向かえんぞ」


 テリーさんの呟きを聞いて、慰めるようにエンリケさんが肩を叩いて説明している。

 だけど、掃討できるんだろうか?

 数の差が大きいからなぁ。

 それこそ耕すように砲弾を撃ちこんでから、進まないと兵士を新たなゾンビにしてしまいかねない。


「周囲をぐるりと塀か堀で囲んだ場所で農業をしないといけないんでしょうね」


「実際に軍隊を使ってそれを行っているそうだ。1千万人の食料となるとかなりの量になるんだろうな。大平原の大型サイロの奪還作戦を何度か行っているそうだぞ」


 サイロ1つに千tの小麦と言われてもピンとこないんだよなぁ。それが10本以上立ち並んでいるということだから、政府としても何とかしたいところなんだろう。

 上手く確保できれば良いんだけどね。


 最後にワインをカップ半分飲んだところで、部屋に引き上げる。

 ベッドに入ってもなかなか眠れないんだよなぁ。これから先どうなるんだろう?


「まあ、俺達に出来ることは少ないってことなんだろうけど、できることはしないといけないな。将来が不安になるけど、子供達が俺達の歳になる頃には安心して外で遊べるようにしてあげないと……」


「少しずつ切り開いていくことになりそうだね。先ずはグランドレイク、次はグランビイだ。それが上手くいけばコミューンの人達を集めて開拓を始めることになるんだろうね」


 エディの呟きにニックが話を続けて行く。

 それでアメリカは良いとしても、日本や世界はどうなるんだろう?

 まだ、俺達のように頑張っている人達がいるんだろうか?

 それとも、俺達以外は、皆ゾンビになってしまったんだろうか……。


「そうだ! サミーの事をパットに話してやったぞ。パット達も気にしていたみたいだな。ナナの様子を心配していたみたいだから、直ぐに賛成してくれたよ」


 急にニックが俺のベッドを下から突いて教えてくれた。

 それって、余計なお世話ってやつに違いないけど、本人達は真剣なんだよね。


「ありがとう。でも、ナナを強制するようなことはしないでくれよ」


「当たり前だ。ここはアメリカだぞ。そんな国もあるんだろうけど、本人の自由意思は尊重されるんだからな」


 エディが声を大きくして言っているけど、俺の意思は尊重してくれないんだろうか?

 だけど俺を思っての行動なんだろうからなぁ。それにナナが美人であることは間違いない。

 出来ればガールフレンドにしたいとは思っているんだけどねぇ……。


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― 新着の感想 ―
[一言] 録音か無線経由でメッセージをスピーカーから流して、離れた見晴らしのいいところから生存者を探せば安全だと思うのだが
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