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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
188/677

H-188 建物が大きいとゾンビの数も多い気がする


「早速俺達の出番か! それで?」


 オスカー少尉と後ろの4人が銃を手に笑みを浮かべてるんだよなぁ。ひょっとして戦闘狂なのか?


「サミーの話では、右奥に10体以上、中央に数体で左手は左のシャッター付近にいるとのことだ。我等で左を倒して中央に進む。オスカー少尉殿は右奥を頼めるか?」


 レディさんが目の前に開いたシャッターに向かって腕を伸ばしながら説明をすると、オスカーさん達が笑みを浮かべたままで頷いている。


「ここから見た限りでは倉庫の中は空っぽのようだな。あるとしても奥に2機というところだろう」


「予備機と言うことでしょうか。となれば元は整備兵かもしれませんな。ところで、10体以上ということはその倍もあり得るのでしょうか?」


 軍曹が問い掛けて来た。俺が准尉の肩書だから言葉使いが丁寧なんだよなぁ。


「そこまで多くはありません。多くとも十数体と推測します」


「なら、問題はありませんな。……分かっているな。レディ殿達は2人で数体を相手にするんだ。我等は5人、短時間でケリをつけるぞ!」


「「オオ!」」


 レンジャーの人達も元気だなぁ。

 ノリが海兵隊に近いんじゃないか?


「さて、突入タイミングはサミーに任せるぞ。スタングレネードを使うか?」


「先ずは2体だけですよ。中央は格納庫の奥の方ですから、素早く倒して次に向かいましょう。オスカー少尉、行きますよ……3……2……1……ゴォー!!」


 一気にシャッターまで走り込みながらセーフティを解除する。

シャッターを通り過ぎたところで右足を伸ばして急制動を掛け、体が左に回る動きに合わせてゾンビの頭部に銃弾放った。

 

 バシュ……バシュ!!

 2射した後はレディさんに任せておくに向かって走っていく。

 そんな俺に片手を上げて、テンジャー隊員が激励してくれた。

 向こうも大変だろうけど、手伝うとしてもこっちを倒してからだな。

 

 集音装置のおかげで位置が分かっているし、薄暗い格納庫にも眼が順応している。

 直ぐに、此方に向かって動き出した数体を見付けることができた。

 15m程の距離で立射を始める。

 1発外したけど、どうにか倒せたな。

 ゆっくりとゾンビに近づいて、頭部に確実に銃弾が当たっていることを確認した。

 1体の頭の位置が拙いのか銃撃を受けた跡が明確ではないので改めて1発を頭部に放っておく。


「終わったか? シャッターの2体は問題なかったぞ」


「ありがとうございます。オスカー少尉の方も終わったみたいですね」


「銃撃が止んでいるな。だいぶ撃っていたように思うが、サプレッサーを付けてなおかつ格納庫の中だ。ゾンビが集まってくることもないだろう」


 シャッター付近でオスカー少尉達を待つことにした。

 しばらくしてこちらに歩いて来たのは、倒れているゾンビを再確認したからだろう。面倒だけど、一番大事だからなぁ。


「全く、恐れ入ったよ。銃撃の数が倒した数なんじゃないのか?」


「1発外しましたし、確認時にさらに銃撃をする始末です。やはりゾンビの数が少ない時には棒で殴るのが一番ですね」


 そんな俺の言葉に、オスカーさんが笑みを大きくしてる。


「確かに、確実でしかも仲間を呼ぶことは無いだろうな。だがそれをできる兵士は少ないんだ。私だってゾンビ数体に棒で挑むようなことはしないよ」


 そう言って、俺の肩をポン! と叩く。


「これで格納庫は安全になったが、できれば屋上に監視員を配置したいところだ」


「私もそれを考えていた。レディ達の確認を終えるまではブラボーチームに任せるつもりだ。レディ達の確認が終わったなら、ブラボーチームと交代してくれないか?」


「オスプレイのパイロットにも手伝って貰おう。サミーはどちらかにチームに加えて欲しい」


「了解だ! さっそく始めて欲しい。パイロットには私から説明して協力して貰おう」


 オスカーさん達と別れて、エディ達の待つ俺達の乗り物がある場所へと向かう。

 バイクに乗るとエンジンを掛ける。アイドリングは必要だな。タバコを取り出して一服をしていると、レディさん達がバギーに乗り込み始めた。

 運転はニックがするみたいだな。助手席でレディさんがヘッドセットを付けながら銃を握っている。後部のステップにエディが銃を担いで乗り込んでいるから、そろそろトランシーバーに連絡が入るだろう。


『サミー、準備は出来てるか?』


『何時でも行けますよ。後ろを付いていきますから、先行してください』 


 俺の横をバギーが走り抜けていく。

 後ろに取り付いているエディが片手を上げて俺に手を振っているんだけど、しっかりとガードパイプを握っていないと振り落とされるんじゃないか。

 タバコを携帯灰皿に投げ込んで、バイクで後を追う。

 格納庫の西の小道を進んで駐車場を通り過ぎると道路に出る。左に曲がって西に進むと弾薬庫が見えてきた。

 土塁で囲んであるから直ぐにそれと分かるんだよなぁ。

 ゲートが開いているのは、誰かが逃げ込んだ可能性もありそうだ。

 警備室手前で止まったバギーを追い越してバイクを停めると、警備室の中に聞き耳を立てる。

 3体いるようだ。場所は……、室内を動いているな。

 レディさんにトランシーバーで連絡すると、次の建物に向かうように指示を受けた。

 エディがバギーから降りてくると、扉に『3』とマーカーで大きく書き込んでいる。


 次は……時計周りに建物を見て回るか。

 最初は赤い屋根の建屋だ。右に栗屋根の建物が3つ続いている。

 扉と窓、壁に近づいて中のゾンビの声を聴く。


「赤が5体だな。黒い屋根の一何右には10体程いるようだ。左と真ん中からは声が聞こえない」


「了解だ。次に向かってくれ!」


 エディに数を告げたところで、今度は道路の反対側の建物に向かう。

 1階建ての倉庫に次々と横に倉庫を増築したような倉庫だ。

 大きな倉庫を1つ作れば良いようなものを……。

 ゾンビの声を聴くと、かなりの数がいる。少なくとも50体はいるかもしれないな。

 俺の向かって走ってきたエディの数を告げると、ヒュー! と口笛を吹いて驚いている。


「一応、知らせて置くよ。ここはサミーと一緒の方が間違いは無さそうだ」


 次は……、あれだな!


 20分ほどで土塁に囲まれた内部の建物に潜むゾンビの数を確認したんだが、やはり小さな建物や、コンクリ―との援兵豪のような建物にはゾンビは潜んでいなかった。

 入口近くの大きな3つの倉庫だけのようだ。


 弾薬保管庫の土塁から出ようとしたら、警備所にオスカーさんが立っていた。


「やはりゾンビは少ないみたいだね。あの3つの建物だけなら助かるよ」


「私は、格納庫の屋上に向かいます。3か所だけですが、潜んでいるゾンビの数は多いですから慎重に処理してください。サミーを残していきます。屋内ならかなり役立つでしょう」


「ありがとう。助かるよ。近付いて来たゾンビなら倒しても構わないが、数が多いようなら連絡して欲しい」


「了解です。それでは……」


 レディさん達はヘリポートの方向にバギーを走らせて行った。

 バイクから降りると、背中に担いだM4カービンのストックを短くして胸元に移動する。スリングがそのままになるけど、銃身下部のスリング取り付け部分がサイドリリースのバックルになっているから、開放すれば直ぐに構えることができる。

 イエローボーイでは無理だけど、全長を短くできるM4カービンならではできることなんだろう。

 バイクのハンドルガードに取り付けてある棒を取り外して、3本を繋ぎ合わせた。これで全長1.2mの棒になるんだよね。機能はそれだけなんだが、力一杯殴れる熾きに入りの品だ。


 準備ができたところで、オスカーさんのところに歩いて行くとアルファチームの作業が終わったのだろう。5人が揃っていた。


「それで行くのか?」


 金属性の棒を担いでいる俺を見て、首を傾げているんだよなぁ。


「結構便利に使えます。何といっても、銃声音がしません」


「まぁ、それはそうだろうな。……なるほど、レディが彼に着くわけだ」


 オスカーさんが呟いているけど、最後の言葉は木来てないほど小さなものだった。

 

「準備は良いな!……サミー、始めてくれ。先ずは赤い屋根からだな」


「了解です。ここは少し面倒ですよ……」


 事務所らしき場所の扉の前に立ち、集音装置のスイッチを入れる。

 

「5体ですね。この扉の直ぐ傍に2体います。残り3体は部屋の奥です」


「分かった。カーク!! ちょっと来てくれ」

 オスカーさんが隊員に一人を呼んで、マスターキーでドアロックの破壊を指示する。


「了解しました。突入は直ぐに?」


「2体直ぐ近くにいるそうだ。合図はサミー准尉に出して貰う。破壊したらすぐに私と突入。サミー准尉のバックアップをする。そっちの3人! 私達が突入した後に続いて部屋の奥にいる3体をし止めてくれ」


「了解です!」


 全員の役割が決まったところで、棒を両手で握る。扉の直ぐ近くを2体が一緒になって動いているんだよなぁ。


「ゾンビが右手に向かったら合図します。飛び込みながら足を払いますから、上手く行けば2体とも倒れてくれるでしょう」


「あまり危険なことはしないでくれよ」


 オスカーさんの言葉に、後ろを振り返って小さく頷いた。

 ゆっくりとゾンビが動いている。その方向を左手で指差しながら、カークさんに状況を教えている……。


「今です!」


 途端に大きな音が響き、カークさんが扉を蹴り開けた。

 素早く中に入ると右手に体を向けて、左から大きなスイングで鉄棒をゾンビの頭に叩き込む。

 ボグッ! と良い音と共に鈍い衝撃が腕に伝わる。

 完全に頭蓋骨を粉砕したようだな。

 もう1体に向けて棒を振り上げている途中で、銃声と共にゾンビの額に穴が開いた。


「手前はクリアー、入って来て下さい!」


「鮮やかなものだな。右奥は私達に任せてくれ。この奥は頼んだぞ!」


「了解です!」


 棒を扉近くに置くと、M4カービンの銃身近くのスリングの再度リリースを摘まむようにして外す。

 ストックは伸ばさずに、このまま射撃をしても良さそうだ。

 俺達に向かって近づいて来るゾンビとの距離を取って、銃弾を撃ち込む。

 やはりレディさんの方が手馴れているなぁ。俺が1体、レディさんが2体だからね。

 奥の方から銃声が聞こえてきた。少し間を置いて再度2発の銃声がしたのは確実に頭部破壊を行ったからだろう。


 さて次は奥の建物だな。先程ゾンビがいたあたりに扉があるから、そこから繋がっているのかもしれない。



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