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いつだって日はまた昇る  作者: paiちゃん
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H-124 逆恨みをされないように別の作戦に参加しよう


「『グッド・ネイバー』ですって! それはまた、問題でしたな。まぁ無事でよかったです。でも、そうなると海軍さんはかなり頭を抱えることになるでしょうな」


「首謀者とその協力者の軍法会議と言うところで幕を下ろしたいということだが、場合によっては艦を沈めるとまで言っていたぞ。誰がどこまで危険な思想に染まっているかなど分からんからな。海軍としても、今後は同じ作戦に参加させることは無いだろう。単艦で作戦を行うことになるのだろうな」


 グッド・ネイバーと言うのは、どうもカルト教団の1つらしい。

 堕落した人間を神が御怒りになり、神の啓示に従わぬ者共に天罰を与えるらしい、その後は神の啓示に従った者だけが平穏に暮らせるというんだかなぁ……。

 今回のゾンビ騒動は恰好の事例となったわけだ。そのまま自分の信じる神に祈っていれば良いようなものの、まだ残されている神の啓示に従わぬ者達を神の意向に沿うよう努力するのが自分達の務めになると考えているらしい。

 ゾンビによる災禍を神の怒りとするなら、俺達はそれに逆らう異端者になるわけだ。

 やはり宗教は怖いな。

 このまま多神教の信者でいた方が良さそうだ。


「とはいえ、我等がグッド・ネイバーの存在を明らかにしたようなものだ。そのようなことで恨みを買うのも馬鹿らしく思えるが、少将殿は『根は深い』と考えているようだ。我等を島のゾンビを駆逐するという作戦から外し、別の任務に向かわせるべく指示を受けた。海兵隊の拠点でもあるペンデルトン基地の威力偵察になる」


「ミラマーは海軍の基地でしたね。なるほど、それなら問題なさそうです。あそこで訓練を受けましたからね。案内人は不要ですよ」


「私もそうだ。ゾンビ騒ぎが無かったならペンデルトンで訓練を受けている海兵隊員は1万を越えるはずなんだが……」


 2人の話を聞くと、どうやら海兵隊になって新兵訓練を受けた後も、訓練が行われるらしい。位が上がればまた異なるスキルが必要ということなんだろうな。


「1つ問題があるぞ。乗り物は現地調達とのことだ。資材運搬用にバギーとトレーラーは持ち込むらしいが、それ以外は無理とのことだ。今日中に準備を整えて、明日の0900時にペンデルトンへと向かう。揚陸指揮艦にオスプレイが着艦出来ないそうだから、強襲揚陸艦に0840時この艦の後部甲板からヘリで移動する」


 今日は荷物整理になりそうだな。

 久ぶりに夕食は七海さん達と食べられそうだ。どんな任務を行っているのか聞いてみよう。


 何を準備したら良いか、レディさんに聞いてみる。

 俺がバイクに乗っていた格好で十分らしい。食料とシュラフにマット等はコンテナに纏めて積み込むらしい。銃弾もたっぷりと運ぶらしいんだけど、俺達は偵察任務ということなんだけどなぁ。


「それなら、この格好で行けば十分ってことなんじゃないか?」


「そうなるね。予備のマガジンを少し背中に入れとこうかな」


「あまり詰め込み過ぎると、動きが悪くなるぞ!」


 娯楽室でコーヒーを飲みながら、エディ達と荷物の確認をする。

 あの鉄パイプは持っていこう。室内なら拳銃を使うより効果的だ。そのままゾンビに突きだせば、ゾンビとの距離を取れるからなぁ。そのまましっかりと保持していればエディ達が銃で始末をつけるのも簡単だろう。


「あのパイプを持っていくのか? 俺達も持っていくよ。先を少し曲げて貰ってるんだ」


「ホッケースティックのように?」


「ああ、あれがけっこう使い易いんだ。足を払えるし、抑え込むことも出来るだろう? それに何と言っても頭を割るのに丁度良いんだ」


 あのブレード付近で殴り付けるってことかな?

 接触面積が小さいほど衝撃がその場所に集中するからだろう。俺は今のままで十分だ。


 夕食は2日ぶりに七海さん達と頂く。

 一緒にいる女性は初めて見る人だけど、どうやら七海さん達の取りまとめをしてくれているらしい。伍長と言っていたから、七海さん達にとっては上官になる。


「エミリア伍長も苦労しているようだな?」


「そんなことは無いですよ。3人ともドローンの操縦は、他の連中と同等以上ですから。私は上からの指示を伝え、彼女達のドローン画像を関係部署に送っているだけです」


「我々は、この島から離れて別の任務を行うことになった。何かあったら大佐に直接直訴してもお咎め無しだぞ。上手くやってくれ」


 ドローン部隊を指揮する少尉を飛び越えて、直訴出来ると知ってちょっと驚いているようだ。


「後で、問題になりませんか?」


「黙っていた方が問題になる。このワッペンはそれだけの意味があるんだ」


「それって、鳥ですよねぇ。真っ黒ですけど、足が3本と言うのはおかしくありません?」


 初めて見たなら、そう思うだろうな。だけど紋章なんて結構いろんなのがあるからね。だいたい頭が2つあるワシなんて、3本脚のカラスよりファンタジーに思える。ドラゴンや一角獣もあった気がするな。


「ワッペンのデザインは色々だ。想像の産物と思えば良い」


 俺達の存在を知らない人は結構いるみたいだな。出る杭は打たれるとも言われているから、目立たない方が良いんだけどね。


 夕食が終わると客用士官室でのんびり過ごす。

 揚陸指揮艦だから他の軍からも関係者が来ているはずなんだけど、客用を使っているのは俺達だけみたいだ。

 おかげで気兼ねなく過ごせる。

コーヒーを飲みながら、皆でモノポリーを楽しむ。

 笑いながら、ふと思い出すのはグランビーの山小屋の暮らしだ。

初雪が降ったんじゃないかな? 今年の蒸気機関はどんなシフトを組んで動かすんだろう?


ゲームを終えると、皆でワインを頂く。カップに半分ほどだから悪酔いすることは無い。

明日も早いからなぁ……。早めに寝た方が良さそうだ。

               ・

               ・

               ・

揚陸指揮艦から強襲揚陸艦にヘリで移動して、今度はオスプレイに乗り込んだ。

ペンデルトン基地まではおよそ70km。オスプレイの最大速度は時速500kmにもなるらしいから、10分ほどで到着できるらしい。

一緒に行くのは海兵隊1個小隊。小隊長はワトソン少尉だ。

ウイル小父さんよりはだいぶ若いけど、同じような体型なんだよなぁ。握手したんだけど、飛んでもない握力だった。

オスプレイは1機で2個分隊を運べるらしい。今回は俺達以外に、基地で保管している機材の調査ということで整備兵が1個分隊追加されている。

3機に兵士が搭乗し、1機に俺達が1週間ほど滞在するための資材を搭載している。都合4機で編隊を組んでの飛行だ。

俺達と一緒にキャビンに乗り込んだのはワトソン少尉と曹長のボルトンさん、それに通信兵のキャルルさんの3人だ。座席は25席あるから全員が座れるし、開いた席を畳んで幾つかの頑丈そうなプラスチックケースが積まれていた。


「オスプレイは初めてかな?」


「俺達はそうですが……」


ボルトンさんが笑みを浮かべて問い掛けてきた。

 エディが答えながら俺に顔を向ける。


「3日間で20回以上搭乗させて貰いました。あの後部扉を開いてのエアボーン訓練でした……」


「なるほど、それで訓練章を付けてるのか……。だが、なぜ1人なんだ?」


「ヘリボーンをやらせたら、初回にオーストラリアンスタイルで降下したからな。それなら、ということだ」


「ほう!……」


 曹長だけでなく、小隊長まで感心してるんだよなぁ。

 それほど難しいとは思えないんだけどねぇ。小学校時代にお祖父さんの家の納屋でさんざん練習した成果でもあるんだよね。


「となると、他の技能も知りたいところだが?」


「ゾンビの発見は彼が一番だろう。3体程なら銃を使わずに倒せる。射撃は100m以内ならスナイパー並みだが、それ以上は新兵も良いところだ。バイクを手足のように使うぞ。だが彼の運転する自動車はゾンビ以上に危険だ」


 ボルトンさんの質問にレディさんが答えてくれたんだけど、それを聞いて皆が大笑いを始めた。

 どこがおかしいのかな?

 やはり俺の自動車の運転技術辺りかな? 結構上手くなったと思うんだけど……。


「ゾンビ並みとはなぁ……。まさか免許は持っていないだろうな?」


「所持しているから私も困っている。発行元が政府だからなぁ。取り上げることも出来ないから、彼が自動車を動かす時には近付かない方が良いだろう。ちなみに遊園地のアトラクション並みのスリルが味わえるとエディ達のお相手には好評だぞ」


「それも凄いなぁ。皆に教えてやろう。たまにスリルを味わいたいと言っている連中もいるからな。それで病み付きになっても困ってしまうが……」


「ボルトン、あまり笑わせないでくれよ。これでも厳格な少尉だと言われてるんだからなぁ」


「それもそうですな。では、これぐらいにしましょう。それに、ペンデルトンが見えてきましたよ」


 俺の位置からでは外が見えないんだよね。ニックが小さな窓から外を見ている。次に乗る時には窓際に席を取ろう。


「降下する。垂直降下ではなく短距離着陸するぞ!」


 機長の声がスピーカーから聞こえる。

 飛行場が広いからねぇ。その方が着陸失敗の可能性も無さそうだ。


 飛行速度が落ち、高度が下がる。

 やがて、ガツン! と言う軽いショックが伝わってきた。ゴロゴロとタイヤが転がる振動が伝わって来るが、ブレーキを掛けるように滑走速度が落ちて来た。

 そのままゆっくりとオスプレイが動いているのは、飛行場の管制塔のある建物に向かうのだろう。


 オスプレイの動きが止まった。まだエンジンは動いているようだけど周囲の安全を確認するまではこのままと言うことなんだろうな。

 後部の扉が開き、斜路を作ったから早速降りてみた。

 周囲を素早く見渡して、中のレディさん達に「異常なし!」のサインを送る。

 直ぐに皆が降りてくると、レディさんがエディ達を連れて俺のところにやって来た。


「あの建物に向かうぞ。飛行場の全体を管理している建物だ」


「大きい飛行場の割には、小さい建物だよなぁ。もっと大きな建物かと思ったよ」


「民間飛行場は、乗客の手続きや待合室があるからなぁ。それにいろんな航空会社の飛行機が出入りしているから、それらの事務所もあるんだ。ここは基地だから、利用者は海兵隊だけになる。大きな建物は必要ないってことだ」


 確かにそうなるよなぁ。だけど駐機している機体が、全てオスプレイとヘリコプターばかりだ。戦闘機を海兵隊は持っていないんだろうか?


 飛行場側の窓はカーテンが下ろされていた。両扉があるので、扉に近づいてヘルメットの聴音装置のスイッチを入れる。

 相変わらずコオロギだな。結構いるみたいだ。

 扉に接触する程近付けて、扉近くのゾンビを確認する。


「レディさん。扉近くにはいませんけど、扉の向こうには何体かいるみたいです。方向は、こっちですね。数は……数体というところでしょうか」


「了解だ。……『今、管制棟建屋前にいる。扉の向こうに数体とのことだ。サミーの聴音ではその外にもかなりいるようだが……。了解、ここで待機する!』」


 トランシーバーで小隊長に連絡したみたいだな。

 オスプレイから1個分隊の兵士がこっちに走って来る。この建物は彼らが制圧してくれるのかな?


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