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ロクサーヌ(8)

投稿時間がだいぶ遅れてしまいました、すみません。

 リゼットからの手紙に、久々にお会いしたいと綴られていた。

 わたくしも会いたい。学院にいる頃はあれほど行動を共にしていたのに、卒業後は夜想宮で1回会ったくらいだ。

 恐る恐る王妃様にお伺いを立てたら、光魔法の使い手にはぜひ会ってみたいとすぐに許可が出た。

 良かった、これでリゼットを王宮に招けるわ。

 

 久しぶりに会ったリゼットは、前よりも光輝いているように見えた。

 王宮にはびこる作り物の笑顔ではない、本物の笑顔……ああ、本物の笑顔が眩しい~!

「リゼット!会えてうれしいわ!!」

「わたしもです、ロキシー様!うわあ、ロキシー様ってば、美しさに磨きがかかっていませんか?殿下と幸せいっぱい、ラブラブなんですね~」

「えっ……そ、そんなことは……」

 いや、まあ、マティアス様には愛されてる……とは思うけれど。そんな、一目見て分かるほど顔に出てるの、わたくし?!

 思わず自分の頬をペタペタ触ったら、リゼットはうふふと笑った。

「王宮での生活は大変なのかなぁって心配していましたが、お元気そうで良かったです」

 ……そうね。わたくしも、思ったよりは順応してる気がするわ。

 これはたぶん、マティアス様にカロリーヌ様、ノエミ様のおかげよね。


 サンルームへリゼットを案内する。

 リゼットは、初めて拝謁した王妃様に(少し大袈裟なほど)感激して挨拶をした。王妃様は満足そうだ。

 ということで、案外短時間で友好的な面会は終わり、わたくし達は退室した。

「……リゼットがあんなに王妃様とお会いしたかったとは想像してなかったわ」

「え?お会いしたかったのは、ロキシー様ですよ?王妃様には、好印象を持ってもらった方が今後、王宮へ来やすくなるかと思って……えへへ、ゴマすりしただけです!」

 唖然とした。

「リ、リゼット……」

「わたし、元は庶民ですし。市場でアルバイトもしてましたからね。年輩女性の扱いはそれなりに慣れているんです」

 意外と強かな一面を知ってビックリだわ。これがヒロインの強さの秘密なのかしら。

 ───わたくしの部屋でお茶をする。マティアス様とのお茶会は必ず侍女が部屋の隅に控えているけれど、女性同士ならということで、2人にさせてもらった。

「はああ~……なんだか久々に楽に息ができる気分だわ」

「常に侍女に囲まれているんですか?」

「そうなの。マティアス様とも2人だけでは過ごさせてもらえないのよ」

「うわあ、それは厳しい~」

 とはいえ結婚するまでは、仕方ないのかも知れないわね。

 代わりにリゼットやノエミ様と会える機会を少しずつ増やして、息抜きできるようにしないと。……でもあまり頻繁にお友達とお茶会をしていたら、“お気に入りと遊んでばかり”なんて悪い噂を流されるようになるのかしら?


 お互いに、会えなかった期間の話をして盛り上がっていたら、お祖父様の来訪が告げられた。

 なんて嫌なタイミング。

 だけど、事前連絡無しの訪問なので、来客中だからと帰ってもらうことにした。次に会うときが怖いけれど、これも新たな一歩。わたくしだって、お祖父様相手に毅然と振る舞えるのよ!

 ……だけど、何故かリゼットが「ロキシー様のお祖父様にもご挨拶がしたいです」と言い出した。

 う、ううーん……リゼットがそう言うなら。

 ……どうかお祖父様がリゼットに失礼な態度を取りませんように。


「ほう。光魔法の使い手のリゼット嬢か」

「初めてお目にかかります、ゴティエ公爵。リゼット・マルタンにございます。公爵は、あっという間に領を立て直しされたすごい方だと伺っておりまして。まさか、ここでお会いできるなんて……光栄です!」

 祖父はまんざらでもなさそうな顔になった。

 ……これも王妃様のときと同じ、“ゴマすり”なのだろうか。

 リゼット、お祖父様にそんなにサービスしなくてもいいのよ?

 それと、ここでゴティエ公爵を前公爵に直すべきか、わたくしは悩んでいた。祖父が言わないのに、わたくしがそれを言うと確実に怒りそうな気がする。

「……領の立て直しなど、古い話ですよ」

「いいえ。今も変わらず見事な手腕を発揮されているとか」

「リゼット嬢は意外と噂話がお好きなようですな」

 祖父の苦笑混じりの言葉に、リゼットは純真無垢そのものの瞳で、ふるふると首を振った。

「いいえ、わたしの婚約者のジュール様が……あ、トマ伯爵令息なのですが、その方が公爵様のことを誉めていらしたのです」

「ほう?」

 ジュール様が?祖父のことを誉めている?

 リゼットとジュール様って一体、どんな話をしているの?

「トマ伯爵のご令息が……」

「はい。ジュール様も、いつか公爵様と面識を得たいものだと言っておりました。機会がありましたら、ぜひ」

「こちらこそ。……ああ。今日、ロクサーヌのために持ってきたものだが……我が公爵領の自慢の紅茶をお渡ししよう。リゼット嬢も、トマ伯爵ご令息も、ぜひ味わってみて欲しい」

「ありがとうございます!」

 ───リゼット。

 ねえ、もしかして何か企んでいる?

 なんだか、あなたらしくないわ。

週末、週明けに予定があり、次の更新は水曜日(6/21)の予定です。もしかすると木曜日になるかも。

6月後半は少々、バタバタしております。

できれば一気にラストまで持っていきたいのですが、解決編あたりは勢いだけではなかなか書けなくて……。

あと数話ほどですが、お付き合いよろしくお願いいたします。

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