オードリック
予定より遅くなりましたが、2章を開始します!
1章に比べると、サイテーなじいちゃんが出てくるせいで、途中、やや重い展開にもなります…。
儂の名は、オードリック・ゴティエ。
ベルフォーレ王国の中でも特に古い歴史がある公爵家の生まれだ。
息子のエルネストに爵位を譲ってずいぶん経つが───今でも多くの者にゴティエ公爵と呼ばれている。もっともそれは、息子が公爵としての職務をほとんど果たしていないせいだが。
儂の父親は物静かで博識な人だった。しかし人の好さが仇となり、自称友人達によく騙された。おかげで、由緒ある公爵家なのに財政はいつも苦しかった。
このままでは、我が家は没落する一方。なので、10代で強引に爵位を継いだ。父親を片田舎へ隠居させ、そこから数年でなんとか傾いていた財政を立て直す。非常に大変だったが、よくあの短期間で成し遂げたものだと思う。
その後、人より少し遅くに結婚したが、運良くすぐ子供に恵まれた。儂の人徳というものかも知れない。
そして早くに爵位を継いだ分、早めに引退してのんびり過ごそうと思ったが……馬鹿な息子は身分の低いつまらない女に夢中になった。親の反対を押し切って結婚。その上、その女が子供を産んで亡くなるとすっかり腑抜けになってしまった。
儂が必死で立て直した公爵家が、たった一人の女のために全て駄目になってしまう。
儂の怒りが深くなるのも当然のことと言えるだろう───。
このあと、続けて話をUPさせます。