マティアス(4)
たくさんの方からブクマや評価をいただき、ありがとうございます!
おかげさまでランキングの上位にも入ることが出来ました。感謝、感謝です。
ということで、御礼の話をUPいたします。
夏休みから断罪までをマティアス視点で。
(全4話?もしかしたら5話になるかも??おまけ話なのに多すぎ……。一応、毎日更新予定です。一気に全話上げられないんです、まだ書き終えていないので…)
ひたすらマティアスが「ロクサーヌ可愛い」を連呼する話(笑。
居ても居なくても気にならない……としか意識していなかった婚約者が、実はすごく可愛くて魅力的だと突然、気付いた。
しかし、それに気付くのが遅かったらしい。俺は今、それまでの塩対応のツケを払わされている。
会おうとしても───完全に相手に避けられているのだ。
悪友のヒューゴに相談しても、自業自得だと冷たい答えしか返ってこない。ああ、分かってる、そんなことは!
それでも、なんとか挽回することは出来ないだろうか?
ある日、街への買い物に付き合えとヒューゴが言い出した。
ヤロウと2人で買い物へ行って何が楽しいんだ、さっさと1人で行ってこいと返すが、首根っこを掴まれて無理矢理、連れ出される。
憮然としながら歩いていたら、ロクサーヌと出会った。彼女も街へ買い物に行くらしい。……あれほど会おうと思っても会えなかったロクサーヌ。まさか一緒に買い物へ行くことが出来るとは。こんな偶然は大歓迎だ。
しかし、街に着く直前でわざとらしくヒューゴが帰ると言い出して、はたと気付いた。
あいつ、謀ったな。
これは……しばらくあいつに頭が上がらない。
さて、ロクサーヌと2人になったものの、ここからどうすればいいのか。難題だ。
とりあえず、最初のデートのやり直しをしたい。ヒューゴに、屋台で買い食いした話をしたら、そんな色気のないデートはあるかと怒られた。女子とは、ちゃんとお洒落なカフェで食べなければいけないらしい。あと、アクセサリーなどをプレゼントしろとも言われている。かなり緊張してデートのやり直しをしようと提案し、手を繋ぐことまでは出来た。嫌がられていない……ので、少し安心する。
手にぎゅっと力を入れると、目元が赤くなって俯くロクサーヌが可愛い。
まずは文房具の買い物をした。
本当にいるのかどうだか、ヒューゴに頼まれたものを買う。
ふと、ロクサーヌが店頭のガラスペンを熱心に見つめているのに気付いた。
「欲しいのか?」
「いえ、綺麗だなと思っただけで……」
言いながら、まだチラチラとガラスペンを見ている。その様子がまた可愛い。
せっかくだから、揃いのペンを買おうと言ってみた。ヒューゴにはアクセサリーを買ってやれと言われていたが、ロクサーヌがアクセサリーを身に付けているのをあまり見た覚えがない。それより、本人が欲しがっていて、日常的に使う物の方がいいんじゃないだろうか。
ロクサーヌはしばらく逡巡し、やがて金と翠の螺旋模様のペンを手に取った。
……俺の、色。
俺に気を使って、その色を選んだ訳ではないよな?
嬉しくなって、俺はロクサーヌの色のペンを選んだ。ロクサーヌはまた赤くなって俯いた。
うう、抱き締めたい。
文房具屋を出てすぐに、自分も買わねばならないものがあったことを思い出した。ロクサーヌ同伴でどうかと思いつつ、武具屋へ行く。
剣の手入れ用具を購入している間、ロクサーヌは物珍しそうに店内を見て回っていた。そして店頭の剣を危なっかしい手付きで持ち上げて、目を丸くする。
「こ、こんな重いものを持って戦うのですか?!」
俺は4~5才から剣を握っていたので、正直あまり重いと感じたことがない。
だが、学院に来て剣技を始めた者には重いらしい。ヒューゴなどは、そういえばフラフラになっていたな。「僕には魔法があるから剣技なんて必要ないのに、なんで必修なんだよぉ」とボヤいていたことを思い出す。
「わたくしでは、持って歩くだけでヘトヘトになりますわね。マティアス様、すごいですわ」
ロクサーヌからの思わぬ称賛に、つい、顔が綻んでしまった。
さらに、おずおずと二の腕が触られる。ロクサーヌから俺に触れてくるなど、初めてだ。しかも、本気で感心した顔で筋肉を見ている。
うわぁ……これは予想外に照れるな……。もっと上腕二頭筋を鍛えておけば良かった……。
その後は話題の店で昼食を食べた。
少し物足りない量だと思っていたら、ロクサーヌが自身の皿から肉を半分、俺の皿に分けてくれた。
「わたくしには多いので、マティアス様、食べてくださいます?」
「ああ……」
「ふふ、王宮でこんなことをしたら、怒られてしまいますわね」
怒られていいから、毎日、こうやって食べたい。幸せだ。
肉のお礼に、ロクサーヌが目をキラキラさせて頬張っているパンケーキを渡すことにした。
半分食べてくれと言ったら、嬉しげに頷く。コクコクと何度も頷く姿は、いつもの俯き加減なロクサーヌとは全く様相が違う。なんてことだ、ロクサーヌの可愛いが止まらない……。
もっとその可愛さを堪能したくて、俺の手からパンケーキを食べさせる。
目元を赤くさせながら、ロクサーヌは素直に口を開いてくれた。恥ずかしげに食べる姿は、国宝級だ。
唇に付いたハチミツを指で拭ったら、驚くほど唇が柔らかかった。
はあ。もっと……触れたい…………。
こちらの話を面白い!と思っていただいた方は、もしまだ読んでいなければ『ピュアな少女、悪女に転生する』も読んでみてください。そちらものほほ~んと笑える話になっています。
ただ、1人称書きでなく固めの文章で書いているので、最初は少し読みにくいかも?
でも2話か3話あたりから面白い展開なので(個人的には4話目)、ぜひ……!





