球団復活?
一つの球団が消滅した。
そんな厳しい現実をつきつけられて、その球団のファンは嘆く。来年から自分たちは、どうすればいいのか。他の球団を応援しろというのか。
悲しむファンの中には、小学生の姿もあった。
球団消滅を目の当たりにして、小学生は心に誓う。将来大金持ちになって、この球団を必ず復活させるんだ!
そして、三〇年の月日が流れた。
ある日、一人の社長が記者会見を開く。大企業の社長だ。
「かつて一つの球団が消滅しました。その球団の名前は、『関西ヤキソバーズ』といいます」
そう前置きしてから、社長は宣言する。新球団の発足を。
この社長こそ、あの時の小学生だった。ついに夢を叶えたのである。
ただし、関西にはすでに別の球団が存在しているため、そこを本拠地にすることはできなかった。
したがって、新球団の名前は『関西ヤキソバーズ』ではなく、『北陸ヤキソバーズ』。
本拠地は変わってしまったし、新球団という体裁こそとっているものの、これは『ヤキソバーズ』の復活である。三〇年の時を超えて、『ヤキソバーズ』が帰ってきた。
この日、『北陸ヤキソバーズ』以外にも、日本各地で新球団が誕生していた。『北関東ヤキソバーズ』、『山陰ヤキソバーズ』、『四国ヤキソバーズ』、『南九州ヤキソバーズ』。
三〇年前、球団復活の夢を抱いた小学生は、一人ではなかった。五人いたのだ。
で、その五人が日本各地で同時に、夢を叶えたのである。
まさかの状況に、プロ野球のコミッショナーは頭を抱えていた。
新しい五球団はどこも、「『ヤキソバーズ』の名前は絶対に譲れない!」と主張している。
(だったら・・・・・・)
コミッショナーは緊急記者会見を開くと、
「『ヤキソバーズ』をあと一球団増やして、『ヤキソバーズ』だけのリーグをつくることにします!」
ヤ・リーグの誕生である。
次回は「闇オークション」のお話です。