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「人間」対「機械」
人間と機械、野球の試合をしたら、どちらが勝つのか。
そんな対戦が、数十年前からくり返し行われてきた。
その結果、機械は長い間、ボロ負けしてきた。「人型であること」という制約が、厳しすぎたのだ。
しかし、ここ数年は良い勝負ができるようになっていた。人間が本気で戦っても、負けることが珍しくなくなった。
だが、これまでの人間側の負けは、いずれも接戦ばかり。
なのに、今回の三本勝負、初戦でいきなり惨敗したのである。屈辱的な大敗北で、力の差は歴然だった。
試合終了後、人間チームのベンチは、まるでお通夜の雰囲気だ。
そこに、機械チームの監督がやって来る。人間ではなく、人型をした機械だ。
そして、丁寧に挨拶してから、こんなことを言ってきた。
「難易度を設定できます」
「え? 難易度?」
「現在の難易度は『やさしい』ですが、次の試合からは、『もっとやさしい』にしますか? それとも、『もっともっとやさしい』にしますか? あと、『接待モード』もありますけど」
次回は『つるつるポイント』というお話です。