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第2話 老兵、受付嬢?に転職する

「何を言ってるんだ!?」

 思わず、聞き返してしまった。そもそも、ギルドの受付は女がやるものだと相場が決まっている。たしかに、ピンチヒッターで男が短い期間受け持つこともあるが……


「ふふ、あなたは王国に仕える前は、冒険者だったでしょ。なら、受付の重要性はわかるわよね」


「……たしかに、冒険者たちの能力や才能を考えて、仕事をあっせんしたり、アフターフォローをしたり、住民との緩衝材になったり、地域の需要をくみ取って仕事を作る大変な仕事だとわかってはいるが……それは、女性の仕事のはず……」


「それを誰が決めたの? 法律に書いてある?」


「いや……」


「なら、いいじゃない。私は、あなたほど適性がある人を知らないの。冒険者時代は、危険度S級のレッドドラゴンの討伐に成功したS級冒険者としての実力。仕官後は、魔王軍との戦争に従事し、大陸戦争においては、1大反攻作戦であるオペレーション・ルビコンを成功させた伝説の英雄としての指導力と洞察力。戦争後は、軍人として、そして、外交官として平和維持に大きな役割を果たしたその政治力。まさに、傑物。あなたが、欲しい」

 女は、自信満々にそうまくしたてる。


「ただの乗り合い客のはずなのに、ずいぶん、わしのことに詳しいな」


「あなたのファンなのよ。あなたの価値が分からずに暗殺しようとしてくる国よりも、私と一緒に来た方が絶対に楽しいと思うけど?」


「違いない。だが、名前も知らないぞ」


「あら、申し遅れましたわ。私は、ルイ=クロム。シェーラの街のギルドマスターよ」

 女性のギルドマスターは珍しい。シェーラの街と言えば、水がうまく、農業が盛んな場所だったはず。王都の騒がしい喧騒からも離れたい。下手に王都に近い場所に根をさせば、また刺客を送られる危険性もある。それに、身寄りもない。


「……身の回りの世話などはしてもらえるのかな?」


「もちろん。伝説の英雄を招けるなら、それくらいはさせてもらうわよ」


「とても魅力的な提案じゃな」


「なら、いいじゃない」

 そう言って、彼女はこちらに手を向ける。

 自分のしわがれた手が、無意識にその手を取ってしまう。


「よろしく頼む」


「契約成立ね。あの馬車もらっちゃってもいいわよね」


「刺客を送りつけてくる業者に、わざわざ返す奴なんているもんか」


「それもそうね」

 新しい女主人は、楽しそうに笑いながら、馬車に移動していく。

 第二の人生が始まった。


 ※


―王宮―


「そろそろ、あの爺は死んだ頃だろうな?」


「はい、閣下。マルスがすぐに報告してくれるでしょう」


 そして、伝令がやってきた。


「報告です。トールギスの森で、マルス隊長が瀕死の重傷で発見されました」


「なんだと!?」


――――

(登場人物紹介)


ジークフリート=オートリー(S級冒険者→マッシリア王国騎士団長→シェーラ=ギルド協会受付)


政治力:85

戦闘力:96

指揮力:92

魔 力:78

策 略:88


冒険者として名前をあげたのち、先代のマッシリア王国国王にスカウトされる形で、騎士団長に就任。

30年前の大陸戦争時に軍を率いて、大陸からの魔王軍の駆逐に成功した。大陸戦争における人類側最大の英雄。恩義ある先代国王が死去後に、現国王との対立を深めており、ついに即位1周年の式典上で解任された。指導力には定評があり、優秀な騎士団員を数多く育成した。騎士団長後期は、本人の名声よりも育成に重点を置いていたため、ほとんど力を発揮していなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 意外とステレオタイプなのはご老人だからでしょうかね? それでも、そこからの飲み込みの良さは流石と言った所でしょうか? [一言] ステータスの数値はスペース使っても数字縦に綺麗に並べた方が…
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