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桜の咲く季節に  作者: 中島夢姫
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桜の木の下1

私立夢並高等学校の入学式で瀬川と再び見ることになる。入学試験の成績最優秀者が行う新入生のスピーチの担当としてその姿を目にした。

数十日ぶりの彼女の淡々とした話し方に抑揚のない声のトーン、アクセントのない発生の仕方に懐かしく感じてしまっていた。中学3年間と何も変わらない日常がまた3年間続くのだろうとそう思ってしまうほど懐かしく感じたのだ。

入学式のあとというのはどこか落ち着かない気持ちで教室に移動するのだが、なんの偶然かそこに瀬川の姿があった。5人ほどいる同じ中学を卒業した顔くらいは知っている。その中の1人に忘れようにも忘れることの出来ない彼女の姿もそこにあり、目が合ったのだ。中学最後の1年間同じ教室で過ごし、これから少なくとも1年は同じ教室で過ごすことになる唯一の人物だったからなのかもしれないが目が合った。

「不慣れなところも多いと思うが、明日から普通に授業を行うので気を抜かないように。それでは解散」

担任はそう言い残すと教室から去っていった。扉が閉まるのと同時にクラスの面々は見知った顔や近くの席のものと口々に会話を始めた。僕はそれを横目に教室を静かに立ち去った。

廊下に出ると僕よりも先に教室を出ていた担任とその後ろを少し離れて瀬川の姿があった。最初に出たつもりだったがどうもそうではなかったようだ。

下駄箱の周辺は同じように直ぐに帰ろうとする新入生と部活勧誘をする生徒でいっぱいだった。

「そこの君ちょといいかな」

不意に声をかけてきたその生徒はそこにはどこか掴みどころない雰囲気をまとっていた。ネクタイの色から1つ上の学年で部活勧誘をしているようだったが手には勧誘のチラシは持っていなかった。

「僕部活とか入る予定ないのでほか当たってください」

「そんなこといわないでさ、ちょっと話だけでも聞いていってよ。なんなら部室でお茶くらい出すからさ」

「いや、そういうのいいですって」

「まぁまぁ、そう言わずに人助けだと思って」

と強引に肩を組まれてしまった。連れていかれたのは旧校舎の部室らしき部屋だった。

部屋に入って最初に目に飛び込んできたのは先に帰ったはずの瀬川だった。

「えっと彼女は、、、」

「さっき声掛けてここに行くように行っておいた。」

こんな胡散臭いやつの言うことを素直に聞いて律儀にもここまで足を運んだというのか。

「ちーす。新入生捕まったか。」

「もちろんさ、2人見つけてきたよ。」

部屋に入ってきたのは部員と思われる2年生を示すリボンをつけた生徒だった。

「ようこそ我がオカルト研究へ、私は部長の山野楓でこっちは副部長の楠木よ。ここではこの学校にまつわる噂やジンクスなんか調べたりしてそれを毎年まとめてるの。」

「あの、僕無理やり連れてこられただけで部活に入るわけじゃないんですが、、、」

「何乗りの悪いこと言ってるのよ。ここまで来たなら観念しなさい」

「観念ってそんな勝手な、僕は無理やり連れてこられただけなんですが」

「はいこれ入部届けね、これにサインして」

「だから人の話聞いてくださいよ」

この後強引にというよりも無理やり入部届けに名前をかかされ僕と瀬川はオカルト研究部に入部することになったのだった。


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