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ゆるふわ愛されお天気雨

作者: 六地蔵

人を好きになるのに理由はいらない。


英語だとI do not need a reason to love the people。


最初に言い出したのは誰だろうか。


由来は知らないものの一度はみんな聞いたことのあるこの言葉をぼんやりと思い浮かべ、隣席の彼を盗みみる。



たった2人の新入社員。


同期で入社して新人研修の時代から、彼の隣は私の指定席だ。


並んで学び、共に働いてきた。


飲み会の幹事も2人でこなし、たまにプロジェクトが分かれても別のプロジェクトが始まるとまた一緒になる。


入社5年。腐れ縁と言うには短かすぎるが、心の中でそう思ってた。


これからも、このままだって。



彼は向上心の高い人だ。


いつも効率の良い仕事のやり方を探していたし、どんなに困難な仕事でもだからこそやりがいがあるんだと目を輝かせて取り組んでいた。


仕事が心底好きなのだろう。


新人の尻拭いで3日ほど会社に缶詰させられた時はさすがにげんなりしたようだが、それでも、彼の目の輝きが失われることは無かった。



独立するのは、必然かもしれない。



彼は今月末で会社を辞める。


この5年で培った人脈や知識を生かし、今後はフリーでやるのだそうだ。


人づてにその話を聞いたとき心臓に刺すような痛みが走り血の気が引いた。


あまりにも大げさに反応する自分の体で、私は、ようやく彼が好きなんだと気がついたのだった。


私のショックなんて無視してカレンダーは進む。


あと、1週間で彼はいなくなる。


あと、3日。


あと、2日。


今日が彼の最終出勤日だ。



定時後、お世話になった人たちに挨拶をして回る彼から逃げるように退社する。


挨拶を避けたところで現実は変わらないのはわかっているが、どうしてもいたたまれなかった。


この恋も、私にしか知られずに死んでいくのだ。


今は辛いがいつものように数ヶ月もすれば落ち着くだろう。いつものように。


外は、雨。


雨が私の乾いた心まで潤すことはないのだろう。


それでも、傘をさせば人混みに紛れ匿名なることを容易にさせる。


それは、今の私にとって救いだった。



私のために、雨よ。降れ。


乾いた私の代わりに泣いてくれ。


ゆるふわ愛されお天気雨。なんて。

英語を使ってみたいという意気込みが感じられます。そういう年頃でしょうか?

恥ずかしいですね。


--


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