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繊維工場改造プラン その⑬ 漁港リヒハイト村

港町にする予定のリヒハイト村を視察します。

ここも貧しい村ですが、開発次第で重要な拠点になるかもしれません。

海賊問題を解決するために行動を始めます。

先程、討議した漁村のリヒハイト村を視察しにいく。

将来には輸出向けの港町として機能してもらいたい思いがある。



勿論、お供もついてくる。

騒がしい人達だ。


「皆さん、ついてこなくて良いですよ。

 王都に戻って、学問が待っていますから。」

「どうせそこに寄ったら王都に帰るんじゃろ。

 なら妾としては、大きくは変わらない。」

「エリたんが漁村に行くなら、チェリーも買い物に行くんだから。」


おまけも着いてきた。

物好きな方々だ。


「わざわざ田舎の漁村に見に行くんだから、

 それなりの理由はあるんだよね。」

「輸出と海上防衛の拠点として。

 ここを奪われると伯爵領が危険な状態になる。

 今は田舎町だけどね。」

「目的はあるんですね。

 主に軍事上の目的ですか?

 経済上の目的ですか?」


色々と質問される。

ちょっと注意して考える。

まだ案は固まっていないのだ。


「それよりエリオス様。

 久しぶりにお魚が食べたいです。」

「ティアナも新鮮なくだもの食べたいです。」


エルフも魚を食べるのかな?

王都で生活しはじめてから君たちは雑食化してませんか?

僕の偏見かな?


「シルヴィ君とティアナさんは最近色々なモノを食べますね。

 森の精霊のエルフはそんなに雑食でしたっけ?」

「人間社会の料理は美味しいです。

 大都会の食文化を感じます。」

「王都の美味しいお菓子が私を駄目にしているんです。  

 ね、この前女子会で食べたあのお店とか。」


やはり都会に毒されているな。

その女子会のお店を僕にも紹介して下さい。


「・・・君たちいつの間にグルメに。

 元の国に帰ったら辛いよ。」

「エリオス様は僕らを追放する気ですか?

 ぼ、僕らは秩序神様の使いで・・・」

「そ、そうですわよ。

 エリオス様がそんな事をする訳無いですよね。」


すっかり都会っ子の双子エルフ。

良いんですかね?秩序神様。

堕落していますよ。神様。

こんなのだと、現代の東京にでも行ったら発狂しそうだな。

現代日本のB級グルメは世界一だもんな。日本人にとって。

お米食べたい。


「エリオス君。双子をイジメてないで。

 シルヴィ君とティアナさん。

 また美味しいお菓子を食べに行きましょうね。」

「チェリーも王都に行きたいのだ。

 皆ずるいのだ。」


何故か怒られる。

まあ雑談しながら漁村に到着する。

すっかり寂れた雰囲気のある村である。

特に港や市場という雰囲気は無い。曰く付きだな。


「キルテル村より貧しいね。活気がなさすぎる。」

「何やら問題がありそうだ。

 村長さんに聞いてみよう。」


ちょっと尋ねてみる。


「村長さんはいますか?

 伯爵領の内政官のエリオスです。」

「ああ、伯爵様の使いか。

 あちらの家だがついて来な。」

「ありがとうございます。」


村長さんの家まで押しかける一同。

ドアをノックして確認する。


「村長さん。伯爵様のお使いだ。」

「それはそれは、入って頂く様に。」


中から返事が返ってくるので家に入れてもらう。

中に入ると村長さんらしき30歳前後の夫婦と

12歳位の子供が二人いた。


「初めまして。

 伯爵領の内政官のエリオスです。」

「初めまして。

 リヒハイト村の村長です。

 此度は何用でしょうか?」

「海に近い漁村のこの村を視察しに来ました。

 将来、貿易の拠点として有望だと考えています。」

「それはありがたい。のですが・・・」


やはり何か曰く付きであろうか。

ちょっとお聞きしてみよう。


「何かお困り事でも?」

「実は海賊が不定期に出ており、襲撃があるのです。

 海で安心して漁が出来ませんので。

 生活に困って苦しいこのありさまです。」

「伯爵様には相談されていますか?」

「いやまだです。

 脅迫されていて迂闊に動けないのです。」

「そうですか。」


人質でも取られていると面倒である。

海賊は退治しなくてはならないが、こちらは陸軍戦力である。

うーむどうするか。


「何を悩んでいるエリオス。

 海賊などこの戦力で一網打尽してしまえばよかろう。」


嬉々とした表情を浮かべて発言するのは、

勿論ロザリーナお嬢様である。


「僕らは陸戦力だから、海上に逃げられると拿捕出来ない。

 下手に動くと村が報復にあう。

 海軍力が無いと海上とアジトまで追いきれない。」

「確かに。

 陸戦なら何とでもなるんだが。」


二人して頭を抱える。

伯爵様に報告して国軍を出してもらうか。

それとも・・・ソマリア海賊「すしざん●い」方式にするか。


「彼らとは対話の余地はありますか?」

「元々、伯爵領の漁民が殆どです。

 この村の住民もいました。

 対話するだけなら面会出来ない事は無いです。」

「よし、一度対話してみましょう。

 解決の余地があるかもしれません。」


驚く一同。

盗賊団の時とは対応が違う。


「何故殲滅せぬ?」

「抵抗する様であれば容赦はしないが

 彼らの貧困という根本の問題は解決しない。

 裏で煽動する者がいれば引きずり出す。」

「犯罪者に躊躇する必要があるのか?」

「根本の根を断たねば、犯罪は無くなりませぬ。

 昔凄い人が言いました。

 「海賊が生まれる原因をなくし、彼らが今後暮らしていくための

  形を整えていかなければなりません。」

 ひょっとしたらそういう考え方もあるかもしれません。

 勿論、それだけでは理想論なので悪党は悪党。

 正しい情報を取って両論を考えています。」

「両方の意見を戦わせるのだな。それこそ理想論だ。」

「正しい情報を入手する。それが基本です。」


ロザリーナお嬢様が噛み付いてくる。

時代背景を考えれば理解出来る。

ただしそれは情報を入手してからでも今回は遅くはない。

それに今の僕らには海の向こうまで追いかける足が無い。

陸地での戦闘ならまだ救いがある。


「では対話の場を調整お願いします。

 ただし陸で戦闘になっても対抗出来る備えはしておきます。

 ご協力宜しくお願い致します。」


こうして海賊とのコンタクトを始めることにした。

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