繊維工場改造プラン その② 無事帰郷
内容は本編で書きましたが
とりあえず砦に寄ってから無事帰郷しました。
貴族様がどんどん増えてくる事態に驚きつつも
やはり一枚も二枚も上手な実家の方々でしょうか。
工場の話は次回に書きます。
さて事前に皆に連絡したので、さっさとキルテル村に帰郷する。
盗賊団退治のおかげで街道の安全が確保されたので
商業ギルドから荷物は別便で送ってある。
そのうち届くであろう。
実家へのお土産だけ持って馬で移動する。
「という事でわざわざ僕に着いてきた方は少尉殿ですか。」
「妾は付属学校の単位には困っていないからな。
汝と同じ様に飛び級で大学の講義を受けているから試験は期末だけである。
だから少ししか問題はない。
・・・後で教授に講義内容はちゃんと教えてもらうが。」
そう言えば飛び級でしたね。
実はこの方はかなりの実力派エリートだったりする。
このお嬢様も教授と仲良くなったので、
個人的に研究室で色々と教えてもらえる立場になったのであろうか?
「お嬢様は勤勉な方なので大丈夫です。」
「お嬢様は立派な方なので大丈夫であります。」
当然、メイドさんと執事さんも一緒である。
この2人の達人相手なら護衛としても問題ないであろう。
盗賊団は多分、出ないはずだが。
「じゃあ折角だから、盗賊団の峠を見ていきますか。
ちょっと見えにくいですが、あちらの山間の方です。」
「ふむ。汝が襲撃を掛けたのはその付近か。
地理的に向こうからこちらは丸見えじゃの。
下手に布陣するとバレバレになってしまう訳じゃな。」
「あの時は盗賊団が逃げる最中に追いかけて包囲しましたから。
奇襲ですからね。
包囲してしまえば盗賊団も容易には撤退できない。」
「伯爵も想定して近くまで軍を集めていたと聞く。
汝はやはり囮だったんだな。」
「たまたま盗賊団が引っかかっただけです。護衛も集めていましたし。」
その当時の出来事をイメージしながら説明する。
ロザリーナお嬢様は念入りに観察しながら情報を確認する。
恐らく、頭の中で作戦を考えているのだろう。
「当時はただの洞窟だけだったらしいが、
今建築中の砦が完成すれば、難攻不落の要塞となるな。
伯爵も目の付け所が良い。」
「まあ、この戦いが無ければ気づかれる事は全く無かったかもしれませんが。」
こちらとしては盗賊団を長年放置していた様なものなので、
半分呆れているのであるが。
「そろそろ行きましょうか。」
「妾がこの砦を攻めるとしたら・・・」
ああロザリーナお嬢様は周りが見えなくなっていますね。
天才タイプか・・・
「少尉殿はいつもあの様な感じですか?」
「お嬢様は戦闘の事になると考え込む癖があります。」
執事さんが答えてくれる。
軍人だからな。
適当に引っ張って連れてこよう。
メイドさんと執事さんにお願いする。
キルテル村に着くと、一応両親に紹介する。
一地方の寂れた村に見えるが、今は繊維産業のお陰で活気ある。
「ロザリーナ殿。
私がエリオスの父のボッシュです。」
「母のアイリアです。」
驚いた表情で両親が自己紹介する。
そりゃ、こんな魔王国のアルビノお嬢様が来るなんて言ってないから。
来るなって言っても着いてくるんだもん。
「妾はロザリーナ・フォン・ルシフェルです。」
「ロザリーナお嬢様のメイドをしていますイザベラです。」
「同じく執事をしていますランベルトです。」
ロザリーナお嬢様方も丁寧にご挨拶。
至極普通の挨拶に見えるが、こちらは平民で向こうは貴族である。
メイドさんも執事さんもどう見ても高貴な貴族にしか見えない。
雲の上の人種の方々である。
意外にも思いつつ顔を観察していると、
「汝の父上と母上だからな。」
「それはどういう意味ですか?少尉殿。」
「内緒じゃ。」
意味あり気な表情でニッコリ答える。
うん全然分からない。
まあ考えても仕方がないので流しておく。
「で、少尉殿はどうされますか?
この村で観察できるものは殆どありませんが。」
「汝のご両親と実家であろうな。
妾達は村長殿に相談して泊めて頂こう。
伯爵からの口利きがあるからな。」
「いつの間に・・・」
「外交や政治とはそういうものじゃ。
汝も勉強するが良い。」
という話をしていると、
マスコットガールのチェリーちゃんがやってくる。
「エリたーーーん。
やっと帰ってきたのね。
会いたかったよ。寂しいよ。」
どこかで聞いた様な声を上げて
チェリーちゃんが抱きついてくる。
「よしよし。」
頭を撫でてあげる。
王都の魔物共と比べると、この娘はまだ子供だなぁ。
途端にロザリーナお嬢様の顔色が変わる。
「ム。汝が噂に名高い憎き幼馴染その2か。」
「少尉殿、その言い方は流石に・・・」
ロザリーナお嬢様の態度にドン引きである。
何故、王都の方々は僕の幼馴染に過剰反応するのだろうか。
驚いた表情をしたチェリーちゃんが聞いてくる。
「エリたん。この方々は誰?」
「王都での学友さんです。」
「うむ、汝がどうしても友達になって欲しいと言うからな。」
誰もそんな事言ってませんが。
まあ多分、雹華お嬢様も絶対同じ事を言うだろうなと
想像しつつ。プライド高すぎるもん。
「嘘。エリたんが、あの美少女エルフだけじゃなくて
こんなに美しいお姫様を王都から連れてくるなんて・・・」
驚いた表情を隠せないチェリーちゃんが呟く。
ニーナさんとは全然反応が違うな・・・
確かにロザリーナお嬢様は絶世のアルビノ美少女である。
美男美女揃いの王侯貴族の中でも比較にならないレベルである。
しかし、性格が独特過ぎて人を近寄せない雰囲気がありすぎる。
実は孤高の人であった。
「妾の事をお姫様とな。
買いかぶり過ぎじゃな。お嬢ちゃん。」
「・・・嘘。どうしてそんな事を言うの?」
ちょっと引っかかる所があるが、
動揺している娘をこちらに向けると
我にかえったチェリーちゃんがいつもの言葉を言う。
「エリたんは他の娘と仲良くしちゃダメ。」
「はいはい。チェリーちゃんも一緒に仲良くしましょうね。」
「ぶー、あたしはエリたんのお嫁さんになる運命なんだから。
忘れちゃだめよ。」
急に恐ろしい事を言うチェリーちゃん。
やはりこの親子は本当に侮れない。
「それはともかく、エリオス。
妾らはとりあえず荷物を置いて一休みしてくるから、また後程な。」
「そうですか。
あと皆様、護衛同伴して頂き誠にありがとうございました。」
と言ってお礼を言う。
色々と気を使って頂いたのだ。
流石に気づかない訳ではない。
「ふふん。エリたんに気があるのは
あのお姫様?メイドさん?それとも・・・」
「・・・なんて事を言うんだ。
チェリーちゃん。冗談でも人前では絶対にそんな事を言わないでね。」
「じゃあ、あたしと遊んでね。」
手のひらで遊ばれている気がしてきた。
この娘の動物的なカンの鋭さが正直分からなくなってきた気がする。
「わははははは。」
「お、お父様・・・」
「エリオスちゃんもしっかり尻にしかれているわね。
お母様もちょっと心配になってきたわ。」
そこで突っ込むな両親。
という事で無事、帰郷出来たのでした。




