第一次囲い込み アナトハイム伯爵領の討伐戦③
戦後の出来事です。
戦闘は勝ちましたが内容は厳しい評価。
この一戦を研究テーマとして、軍事改革は進んでいくのでありました。
次は再びキルテル村の事情です。
掃討戦も概ね終了した。
被害は死傷者が伯爵家が5人で傭兵側が400人、捕虜が200人である。
結果としては圧勝であったが、伯爵様とトーマス殿下の
表情は明るくはなかった。
何故なら、傭兵のボスを取り逃がしてしまったからだ。
「伯爵よ。
此度の戦いは見事だった。
しかし、課題も沢山露見された様にも思える。」
「はっ。
傭兵のボスを取り逃がしてしまいました。
多数の敵兵に対し、募兵が足りず
少数の騎兵で対抗せざるを得なくなりました。
軍の育成は課題とも言えます。」
「まあ、伯爵が自覚していればそれで良い。
勝ちは勝ちだ。よくやった。」
「ありがたき幸せ。」
トーマス殿下と伯爵様が会話する。
また伯爵様が続けて宣言する。
「第1には村長に助けられた。
敵の正確な兵力と概要を把握していたので対抗出来た。
第2にはレイモンド大佐の見事な突撃。
敵陣形に致命的な打撃を与えたのが勝利の一因である。
第3には双子エルフおよび魔法使いの諸君。
遠距離から敵の陣形を破壊し大いに打撃を与えた。
この3つが我が軍の勝利の一因である。」
伯爵様が勝因を上げて感謝の言葉を口にする。
まあ、魔法が主体になるとエリート集団でしか出来ない。
戦争は数であり、エリートだけで戦争は出来ない。
魔法使いに対抗出来る歩兵部隊を作らねば戦争は成立しなくなる。
ことさら魔王軍に対しては。
「まあ、地主も開放したし
交渉事は内政官に任せて一旦はキルテル村に戻ろう。」
ご隠居様が宣言する。
ん?内政官って誰だっけ・・・
忘れても良いですか?
「教授は今日の戦闘をどう考えますか?」
「うむ、戦闘の距離間が悩ましい。
魔王国の魔法使いに対抗するのは数であるが、
武器として射程が200〜300mは欲しい。
現時点では射程距離を満たすのは大砲だけである。
マスケット銃も射程を伸ばさないと
アウトレンジで魔法攻撃されてしまうな。
後は物量。武器を作り込む工業力が必要だ。傭兵を雇うには金だ。
どれも今の我が国には足りないものだな。」
「マスケット銃の射程は研究が必要ですね。
ただ、今の我が軍に必要なのは移動可能な軽大砲です。
軽い大砲が無ければ歩兵の動きについてこれません。
魔法使いをアウトレンジする距離を作る機動力が必要です。」
「流石はエリオス君。
まあその課題もカバーする試作研究テーマを置こう。
今後の軍事力強化は必須課題だ。」
エリオス君と教授と会話する。
今回の戦いで勝てたのは偶然である。
敵が陣形を捨てて突撃してくれば、数に劣る伯爵軍は
騎乗して白兵戦を回避するしかなかった。
魔法にしても相手に騎兵がいて、同等の魔法使いがいれば
条件は全く同じである。つまり消耗戦になる。
だから勝利は容易では無くなるのである。
今回は敵が伯爵軍を少数と見て油断したのが勝因であった。
そんな偶然では戦争は出来ないと思ったのである。
「さあ、後はエリオス君の最新の繊維工場を見せてもらおうか。
本来の目的はそちらである。
繊維の村と呼ばれるまでになったその工場は楽しみだ。」
「確かにな。戦闘はおまけだ。
わざわざ地方に来たのはそれを見るためである。」
トーマス殿下とご隠居様が言うと他の人も賛同する。
ぐぬぬ。秘密事項だ。見せんぞ・・・伯爵様やご隠居様までいると無理か。
僕もまだお父様の工場を見ていない。
本音では楽しみである。




