研究室で製図の勉強会
チート技術として図学を広める為、研究室で勉強会。
まず教授から理解してもらい伝えてもらう。
まだ中世では幾何学がそれほど発達していないので、
数学の概念で難しいかもしれない。
しかし、紙で形状を全て表現出来るのは凄く便利なので
諦めずに普及させようと思ったエリオス君。
実物や模型で形状を説明するのが面倒になってきた。
やはり図学は必要である。
紙だけで図面を説明できると便利。
手紙で送れるし。
しかし中世では幾何学と図面がまだ未発達である。
ならば、教授に教えて広めれば良い。
他力本願である。
という事で研究室で製図の勉強会を研究報告と称して行う。
「ええと今回報告しますのは、形状を正確に図面に表現する
「図学」を報告します。
規格化された製図があれば、形状を見ただけで特定出来ます。
簡単なので誰でも勉強すれば直ぐ形状が分かるようになります。」
「それは、3次元の形状を表現する方法なのか?」
「そうです。簡単です。」
教授と研究室のメンバーに説明する。
実際、製図なんぞ少し勉強すれば誰でも読み書き出来る。
中世にはデカルト座標の概念が既にあって表現は可能。
書く方は大変だけど。
機械図面の方はJISで書き方が決まっていて、
そのJISルールに従う。
今回はそのJISルールを纏めて報告するのである。
日本の場合、投影法としてJISで第3角法が使われる。
上、下、横から見た投影図で描く方法で
隠れた部分を点線で表現するやり方。
諸外国では第1角法が使われるらしいがあまり見たことはない。
「ふーん。この第3角法というのは一見難しそうで便利だな。
慣れないと隠れた部分=点線部分の形状が識別出来ない。
しかし物体を紙で表現するには便利だな。
上下左右対称的な部分を省略するのも斬新である。」
流石は教授である。
利便性を直ぐ理解して頂ける。
そして、
「この寸法公差の概念はどういう意味なんだ。
寸法の数字に小さく±と書いてある。」
「それはその±○の間までに寸法を仕上げて下さいという記号です。
外れたら不合格です。」
「どういうメリットがあるのかね。」
「相手と組み合わせる時に、お互いの最小寸法と
最大寸法を規定するとぶつからないです。
また寸法公差を見ると、どうやって加工できるかの
方法が特定されます。」
「・・・なるほど。単なる数字じゃないのか。」
「ええ、ご明察です。
この寸法規格内で加工できる方法、検査出来る方法は
既に決まってしまうのです。
それはコストを意味します。
ゆるく設計すれば性能は落ちますが作るのは楽です。
厳しく設計すれば性能は上がりますが作るのは難しくなります。」
加工方法、加工設備で出来るばらつきと公差は決まるので、
厳しくなるとより精度の高い設備が必要です。
つまり高くなる訳です。
それを簡単に定義したのが一般規格。
図面を見れば、作り方や設備のレベルが分かる様にするのが
正しい設計方法。
使う側じゃなくて作る側の環境も考えて決める。
「面白いな。
適当に書いてみて削ってみるか。
言葉が通じなくても形状が伝わればOKだな。」
という話から研究所内で皆で図面を書いて試行錯誤する。
インテリは説明が楽で便利だわ。
ただし寸法公差や統計的JIS規格値、はめ合わせ、抜き取り検査規格などは
現在無くてはならない当たり前であるが、
紛れもなく第2次世界大戦後の概念である事として
数百年後の超チート技術であることをお断りしておく。
だって便利なんだもん。
勉強すれば誰でも使える。
広めないと、広まれ早く。




