学生新聞と出版ビジネスの進め方を打ち合わせ
手始めに学生新聞と薄い本から始めます。
実績を作ってからマスメディアへ転換します。
大量出版にはまず製紙工場と印刷工場が必要になるので、
現時点では出来ません。
それを考慮して、伯爵様との約束を守るつもりで考えているエリオス君。
手始めに学生新聞でも作ろうという話になった。
予算が無い為である。
ニールさんが編集長になってネタをまとめる。
慣れたら商業ギルドを介して販売する形を想定している。
まあ、作ってから考えようかという子供の発想。
個人的にそれでもありかなと思った。
で、役割分担。
・編集長、商業ギルドニュース担当:ニールさん
・グルメ、ファッション担当:ニーナさんとティアナさん
・スポーツ、地域ニュース関連担当:エルン君、シルヴィ君
・その他、4コママンガなど担当:エリオス
という感じ。
A4の用紙1枚を4分割して
3〜400文字程度に記事を書いてもらう。
まあ中世版ブログである。
それを木版の凸活字を箱の中に入れて並べ、
油性インクを付けて紙に押し付ける。
昔プリントゴッコみたいなので年賀状を作ったね。
それの簡易版。
幸い日本語と中国語と異なりアルファベットなので、
活字数が少なくて済むので使い回し出来る。
本来は銅板に書いて薬液エッチングして活版を作るのが本来。
まだそこまで予算が無いので人力である。
印刷機は構造が簡単なので木材で作れる。
蒸気機関の自動機はケーニヒ印刷機の1812年、
ローラー型の輪転印刷機は1851年とまだまだ先の話である。
ちなみに絵は完全に木版を削って印刷。
昔、中学生の時によく作ったので覚えている。
当時はパソコンは当然、ワープロも高くて変えなかったのである。
面倒だがオッサン世代は手作りの時代も経験しているので自作可能。
「じゃあ、役割は決めたから週末までに原稿を用意すること。
で休日に活字を並べて100部位印刷。多分午前中で終わると思う。
それを月曜日の朝に大学と付属学校で無くなるまで配る。」
「当面は無償?」
「無料。紙と油性インク代が結構かかるから作りすぎない。
ある程度記事が溜まってきた段階で薄い本にして有料で販売する。
グルメやファッション、スポーツ関係は人気が出るだろう。
政治や軍事の様なネタも内容を作り込めば買う人は出る。
時間があれば木版に直接削りこんで版画として残して欲しい。
そうすれば何時でもいくらでも再印刷可能。」
「広告はとりあえず学校にお願いしようか。
まずは購買と食堂から。あとは商店街の皆様。
商業ギルドや冒険者ギルドから募っても良い。」
と皆で協議する。
やれる事は簡単な事。それで十分。
「質問。
紙とインクはどこで入手しますか?」
「そこはアナトハイム伯爵様にも協力して頂こうかと。
将来は製紙工場を作る。そこで本格的に製本作業も行う。」
伯爵様の商売の種にしてもらう。
ちゃんとWIN-WINにするつもり。
一方、伯爵様の方では聖書の翻訳を進めているはず。
ある程度進んだ段階でビジネス化すれば良い。
「・・・。いつのまに、エリオス君は伯爵様と仲良くなったのか?」
「この前館に呼ばれて、アナトハイム領内のアドバイザーとして採用頂いた。
領内のビジネスの管理は伯爵様と共に僕にもやらさせてもらう。」
「・・・」
ニールさんが驚く。
いつの間に、という感じだ。
何でもかんでもは自分1人では出来ないので、
そのために商業ギルド関係はニールさんに自立して欲しいのが僕の希望。
今は子供だが将来は大商人になってもらわなければ困る。
「はーい、私達にも手伝わせて下さい。
エリオス様と一緒に活動するのは、神様からのお告げなのです。」
「二人ともは神様のお告げも重要だが、自分の人生も楽しんで欲しい。」
「大丈夫です、王都のグルメは美味しいです。楽しんでいます。もぐもぐ。」
シルヴィ君とティアナさんが手を上げる。
良いんですか?秩序神さま。
そのうちお会いする機会がもしあれば聞いてみよう。
まずは新聞を作ってみて、人が集まったら別途考えよう。
そして僕は裏から林業関係の工業化をキルテル村から領内で構築する。
マスメディアになって情報を1手に独占するんだ。
うんうん。
しかしこの手の商売は競合が増えるもので、そう上手くいかないものだった。
実は競合が沢山出来て、出版業と識字率を向上させるのが本来の目的である。
労働者の識字率が低いと工業化は難しくなる。初期は識字率が生産性に影響した。
教育の仕組みを広く定着させる第一歩であった。




