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3年戦争 エリカお嬢様と合流 その19

 ロザリーナお嬢様と合流すべく、北に向かうエリオス君。

地の利があるとは言え、グリーヴィス公爵軍に発見される表道を歩く訳にはいかない。

隠れながら見つからない様に慎重に移動する。


 しかし、村伝いで移動しながら聞き込みする限りでは、グリーヴィス公爵軍に

川の上流に毒が投げ込まれた事で、下流側の村々で大きな損害が出ているとの事であった。

当然農民はもちろん、地元有力者や中小貴族も怒りに満ちておりグリーヴィス公爵軍に反発していた。

アナトハイム軍に義勇軍として参戦するものも出てきている。

数の上だけでは戦力の立て直しは少しづつ進んでいた。


 そして運良くロザリーナお嬢様の一団と合流したエリオス君。

事前に伝書鳩を送っており、合流地点を指定してあった。

ここで正規軍と、義勇軍、そして傭兵が合流する事になった。



「少数で大軍に挑む激戦と聞いておったが無事生き残ったの、エリオスよ。立派じゃ」

「皆さんが奮戦して頂いたためです。僕だけ生き残ってしまいました」

「伯爵の配慮じゃの。気にするでないわ。

 生き残って再戦して勝つのが戦いの定めじゃ」

「・・・慰めてもらっているのですか。

 ロザリーナお嬢様らしくないですね」

「汝は妾をなんじゃと思っておるのか、そういう汝はいまだに小僧じゃの」



 ロザリーナお嬢様の意図を理解したエリオス君は、目を瞑り意識を入れ替える。

再戦して勝てば良い。

近くにいたエリカお嬢様がにこやかな顔をしてこちらを見つめてくる。

このお嬢様も国難の危機にわざわざエリオス君の元に駆けつけてくれたのだ。



「そうよエリオス君。無事でなりよりですわ」

「エリカお嬢様も帰国されましたか。

 そのまま魔王国にいれば安全だったのですが」

「私一人のためにこの国を内戦にして放置する気は無いわ」

「しかし挙兵しなくても。

 国家を分ける内戦になってしまいました。しかも外国勢力までも巻き込んで」

「今更であろう。アナトハイム伯爵の内政官殿?」

「そうじゃそうじゃ。妾を巻き込んでおいて何を今更」

「がははは」



 そういうと苦笑いしたエリカお嬢様の隣で笑う北国のラリオロフ陛下とロザリーナお嬢様。

思惑込めて参戦した二人と国家を見てため息をつくエリオス君。

しかしとても頼もしいのは確かであった。

今ここで傭兵軍と合流できたのはこの二人の力なくしては成立しなかった。



「報告です」

「どうした?」

「敵が鉱山のセントハイム村を占拠した情報が入りました」

「敵が僕らの鉱山資源を狙ってきた?何故だ???

 確かに僕らには鉱山資源は重要だが、この戦争中に持ち運べない」



 一人の兵士が報告する。

エリオス君はこの情報を聞いて困惑する。

何故グリーヴィス公爵軍はセントハイム村を襲ったのか?

戦略的動機が想定できない。



「恐らく妾のカンじゃと、金銀財宝でもあるのかと思ったのじゃなかろうか」

「財宝目当てですか?あそこは金銀鉱山ではありませんよ」

「奴らはそんな事知らん」

「確か、グリーヴィス公爵軍の主力は、伯爵様のいる砦を攻めているはず?」


「ちゃーには敵は軍を2つに分けたと、思うた。エリオス殿かエリカ殿を探しておるのじゃろう」

「ちゃー殿もそう思いますか?」

「そう思われる。

 敵が軍を2つに分けたのであれば、各個撃破のチャンスである」

「しかし敵の位置が分かりました。

 ここから20km程ですね。急行すれば4〜5時間の位置」

「ちょっと距離があるの}



 ちゃー様が答える。

エリオス君も各個撃破のチャンスだと思った。

兵力が劣勢である今、正面から会戦は望めない。

敵の戦力が分散されている所を襲うしかないのであった。



「続報。

 敵は騎馬隊を出して周囲の村々を襲っている情報」

「!」

「ほう、2つに分けた軍をさらに分けたか。

 奴らはもう勝ったとでも思っておろうか」

「どうされるおつもりか?内政官殿?」

「・・・今から急行すれば夜前にはセントハイム村に到着します。

 そこで会敵して、各個撃破です」

「よろしい。妾もそう思う。

 ここで叩かねば男じゃないの。血がたぎるわ」

「ロザリーナお嬢様は女性じゃないですか」

「蛮族ですな」

「蛮族じゃ」

「蛮族、としか言いようがないわ」



 それぞれがロザリーナお嬢様の蛮族っぷりを見て笑う。

しかし騎兵隊もなく、歩兵だけで戦略的に価値の小さい村に軍を集める

グリーヴィス公爵軍。 ここで勝負するしかない。



「ただちに急行しましょう。ここで勝って敵を半壊させます」

「出陣じゃ」



 こうしてエリオス君は20kmの強行軍で敵を追いかける事になった。 

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