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3年戦争 難攻不落の要塞と攻めあぐねるパッカード将軍 その17

「馬鹿な。こんな屈強な要塞がこんな所にあるはずがない」



 驚愕するグリーヴィス公爵軍のラッドガー大佐。

ここはアナトハイム伯爵様が立て籠もる山を利用した砦であった。

元々は山賊の拠点を改造した砦である。

しかし目の前にある山を改造して作った砦は正に難攻不落の要塞であった。

ただでさえ険しい山道に高い城壁を作り断崖絶壁となり、上方からは攻撃出来て下からは狙えない。

そして分厚いコンクリートと巨大な要塞砲が待ち構えている。

完全に防御された城壁に小さい窓があり、マスケット銃で上から狙撃可能である。

砦の周囲は完全に伐採されて更地になり、防護壁となる建築物も存在しない。

山の周囲には川から流れる水を利用して巨大な堀が作られており進軍を阻む。



「見ろレイモンド大佐。敵がこの砦に驚いておるぞ」

「流石はエリオス殿と言った所でしょう。先見の明ですな。

 水も食料も十分な備蓄がございます」

「よろしい。余の伯爵旗を掲げよ。

 余がここで健在である事を奴らに知らしめてやれ」

「承知しました。伯爵様」



 国境警備隊のレイモンド大佐が伯爵様と合流し、この砦に立て籠もる。

伯爵様の旗を砦に掲げ、健在をアピールする。

早く攻めてこい、と。挑発する



「伯爵様。防衛準備は完璧だにゃ。魔法使い隊も攻撃準備OKにゃ」

「そうか。アイヴィーリ殿もよろしく頼む」

「頼まれましたにゃ」



 筆頭魔法使いのアイヴィーリさんが言う。防衛設備の上から魔法使い隊が迎撃する。

圧倒的有利な地形と言えるであろう。

しかし多勢に無勢。この戦力ではこの砦を守る事が限界であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ラッドガー大佐。

 どう攻める?」

「パッカード将軍。

 なかなかの要塞で攻め手に苦しんでおります。

 断崖絶壁。難攻不落」

「卿はこの戦争でかなりの戦果を上げた。

 この砦攻めでも活躍して頂きたい」

「・・・承知しました」


 

 ラッドガー大佐と合流したパッカード将軍がこの難攻不落の要塞を下から見上げる。

これまでアナトハイム伯爵軍を殲滅して来たが、ここで攻め手に苦しむ事になる

アナトハイム伯爵様を捕らえればこの戦争は勝ち。終結である。

しかしそれをこの要塞が阻む。

敵将の首がすぐ近くにあるにも関わらず、果てしなく遠く感じる事になった。



「パッカード将軍、ラッドガー大佐。

 包囲は完了いたしました」

「よろしい。

 無理な力攻めは避けよ。

 軍を2つに分ける。

 片方はこの砦の包囲。もう片方はアナトハイム伯爵領の蹂躙と占領。

 まずはアナトハイム伯爵の経済力と民衆を奪う。

 包囲にはラッドガー大佐が指揮を取れ。

 もう片方の軍にはミュンスター大佐に指揮を取らせろ」

「承知しました」



 名将と言われたグリーヴィス公爵家のパッカード将軍が指示を出す。

まとまった戦力など他に伯爵軍に残ってはいないだろう、そう判断した。

であれば併合して、反乱を弾圧する。

他の問題はその後でもよい。そう判断した。



 如何に難攻不落の要塞と言えども、領民を守るためのものではない。

領内が占拠されて、領地が蹂躙されてしまえば孤立して終わりである。

籠城というものは援軍のアテがあって初めて成立する。

しかしパッカード将軍もラッドガー大佐も知らなかった。

傭兵、外国軍、グリーヴィス公爵家のエリカお嬢様。援軍が近づいていたことを。

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