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3年戦争 伯都アントウェルペン攻城戦 城壁をまたいだ攻防 その8

「攻撃を開始しろ」


「敵が来るぞ。防衛体制につけ」



 両軍が戦闘を開始した。

まずは双方の大砲の打ち合いであるが、これは防御側が圧倒的に有利である。

しかし大砲の打ち合いが勝敗をわける訳ではない。

あくまでも城壁次第である。



「大佐。

 大砲で城壁が破れませぬ」

「穴は小さいが大砲で開いている。

 集中砲火すれば城壁は崩れるぞ。

 しっかり狙え」

「承知しました」



 グリーヴィス公爵家のラッドガー大佐が指示し大砲を集中砲火に切り替える。

エリオス君とちゃー様は当然見逃さない。そこが生命線だと分かっているからだ。

城壁の上から敵の大砲の位置を探る。

逆襲のチャンスでもある。



「敵の大砲の位置が判明しました」

「ちゃーとしてはそれを破壊すれば、一旦は城壁は破れぬと思う」

「承知しました。

 こちらも集中砲火で応戦しましょう」


「エリオス殿。ミルチャー卿。

 敵の砲撃で城壁が破壊されました」

「分かった。ちゃーは迎撃に出る。

 お主らは城壁を修繕せよ」

「お任せします。ちゃー殿」

「エリオス殿は大砲の指揮を。

 敵の大砲の破壊を頼みます」

「任されました」



 ちゃー様は精鋭を率い、城壁の穴を広げて中に入り込もうとする敵兵を各個撃破する。

少数対少数であれば、ちゃー様は剣技で敵を圧倒する。

敵を一旦押し返すと、マスケット兵の銃撃で牽制しながら

土嚢を積み応急的に壁を作る。

簡易的な修理だが効果的でもある。



「エリオス様。

 敵の大砲の砲手を弓で狙います」

「お願いします。

 ティアナさん、シルヴィ君。

 エルフの皆さんの最優先攻撃目標は大砲の無力化です」

「了解。いくわよみんな」



 エリオス君はエルフの皆さんに大砲への攻撃を依頼する。

エルフの弓は極めて正確に大砲の砲手を狙撃する。

この時代の大砲は最前線に出さねばならず、砲兵は常に危険に晒される。

敵も盾を用意して必死に防衛しようとするが、相手が悪かった。


 敵はハンマーを持ち込み土嚢を破壊しようとする。

土嚢は物理強度に強いが万能ではない。



「城壁に近づく敵は弓や投石で迎撃して下さい。

 上から油を投げて、火を放って下さい。

 火炎瓶を投下して下さい」

「承知しました。エリオス殿」



 エリオス君は城壁に近づく敵兵に火炎瓶の投射を指示する。

割れやすく作った陶器の瓶を城壁の下の敵兵へ投げつける。改良版であった。

蒸留したアルコールに可燃性の混ぜ物をして蓋をし、布に火を付けて投げつける

火炎瓶はこの時代ではまだ一部の材料が入手難しかったが、

簡易的なものなら製造出来ない事はない。


 敵兵は火に包まれる。

中には外したり、自分でアルコールを被ってしまう兵もいたが、

火炎瓶の効果ありである。

将来に火炎瓶は更に改良され「エリオス・カクテル」として

ロイスター国内は元より諸外国にまで恐れられる事となる。



「敵兵が梯子を掛けて城壁を登ってこようとしています」

「梯子を倒して下さい。

 火炎瓶を投げつけて燃やして下さい。

 弓で攻撃して下さい」



 城壁をまたいだ攻防は一時は防衛側が有利に見えた。

このまま夜まで粘れば城壁の修理が出来る時間が確保出来る。

そう思ったエリオス君。



「敵兵が城壁を突破しました」



 まだ波乱は収まりそうにない攻城戦は続くのであった。

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